触73・触手さん迷宮四層目
ありとあらゆる方向から大量に突撃してくるダツの群れ、そこまで広くない通路でこれは洒落にならんわ!!土の魔法で四方を塞ぎなんとか⋯⋯あ、駄目だ数匹突き破って来やがった!!もう一度貼ってギリッギリ持ち堪えてる状態になったが劣勢なのは変わらず、いやこれどうしろってんだよ?他の冒険者はこの対処どうやってんのさ?
うーむどないしよ、透明な壁の中に居るのは攻撃出来ないしなぁ⋯⋯今回も土の壁貼りつつ火を隙間に放り込む?でもこいつらすぐ水に戻ってくんだよなぁ⋯⋯それだと焼けないよなぁ⋯⋯
⋯⋯あ、ちょい待てよ?向こうから勝手に突っ込んで来るんなら、騎兵に対する槍兵みたいに、突撃を逆手に利用すれば良いんじゃね?
って〜訳で土壁の四方に触手を伸ばして水魔法で超水圧ランスを噴出、これで自動的にダツの串刺しが完成ってな!!
土壁を貫通した水槍にダツが刺さっていく感触が伝わってくる、お、いい感じじゃね?角度を変えたりしながらドンドン壁にぶっ刺してを繰り返していると、静かになっていき土壁や水槍にダツが刺さっていく様子も無くなった、ぼちぼち大丈夫かねぇ?
土壁の一部を解除すると新たに突撃してくる様子も見られず、床にはダツの死骸がどっさり横たわっていた、大漁大漁。
そういや見た目はクソでっかいダツだけど、食えるんかなこれ。ダツ自体は骨多いんで敬遠されがちなんだけど、天ぷらや蒲焼にすると美味いんだよね、白身ですっげー淡白。
まあちょいと食ってみますか、持ってきてた塩振ってこの前覚えた火魔法で炙り焼きにしてみる。
パチパチと焼けていき焼き魚の香ばしい匂いが立ち込めていく、他の皆が見守る中、一匹焼き上がったんで頂きます。
「これを食べると言い出したので大丈夫かと思いましたが⋯⋯どうですか?」
ビノセが心配そうに様子を伺ってくる、まあ魔物なんて普通食わないんだろうなぁ、私は慣れてるけど。
ん〜、骨多いのさえ気にしなければ割と美味いなこれ、一匹2Mもあるから骨も比例してでっけーけど。
【意外とイケる】
「おおそうでしたか、如何せん水棲の魔物は食した事が無かったので」
海底都市で食った寿司は普通の魚介類っぽかったしなぁ、安心したのか皆も私に続いて焼けたのを食い始める。まあでかいし量が量なんで余ったのは全部焼却して処分、今度持ち帰って天ぷらにでもすっか、今回はパス。
腹も満たされたんでその場を片付け奥に進んでいく、道中ダツと戦ってる連中が居たんだが、やっぱ基本はカウンター狙いで突っ込んでくるのを迎撃している。ただ先程みたいな大量に襲って来たりはしてないようで、多くて三匹程度、私達の運が悪過ぎたのか?
道中宝箱を開けたりしながら階下へ繋がる階段を降りて四層目。今度はまた雰囲気がガラッと変わって天井と床は土、壁は草花で出来ている。ただ壁は一見すると草や花だが実際は何か鉄みたいな硬質な物で出来ているうえに隙間に何も通らない、なんつーか写真貼り付けられてるような、でも時折吹いてくる風に揺られ、遠くから見ると草の茂みそのものである。咲いている花は赤いバラで薄っすらと匂いも漂っており、まるで本物の様に見える。
庭園の迷路みたいな階層を歩いていると前方に何かでっかいのが鎮座していた、壺状で蓋みたいのが上部にあって⋯⋯ああ、あれだあれ、ウツボカズラ。ほぼまんまあれなのが通路を塞いでいる、しっかしでけぇな、5Mくらいないか?天井にまで届くそれは植物の弦を振り回して、此方を攻撃してきた。
鞭のようにしなって叩きつけてくるが風ブーストでひらりと回避し弦を水カッターでバラバラに切り裂くものの、ウツボカズラは別の弦を伸ばして再び振り回してくる。
何度切ってもその都度新しい弦が生えてきて非常に鬱陶しい、いっそ焼いてしまおうかとも思ったんだが、周囲が植物なもんで万が一引火でもしたら困るしなぁ、実際植物かは怪しいんだが念の為、イーラも同じ考えのようで素手で相手をしている、他の皆も沢山生えてくる弦で精一杯。
弦だけ切ってても埒が明かない、こうなりゃ本体に接近して直接叩く!!ジェット噴射で一気にウツボカズラに肉薄し、水カッターで壺状の身体を斬りつけるが、伸びた数本の太い弦が壁のように塞いで致命傷には至らず、かすり傷を与えるに留まった。こいつ防御もしてくるのか⋯⋯
手数が多く防御も硬い相手に攻めあぐねていると、今度は壺の中から何か液体を撒き散らしてくる、草の壁にそれが付着すると白い煙を上げて草が枯れていく、うげっ、毒か何かかよ!!毒々しい紫色の液体を散布し始めて状況はドンドン悪化していく、やべーなこれどうにかしねーと⋯⋯
とりあえず前方を土壁で塞ぎ毒液が此方に飛んでこないようにするも弦は壁を迂回して槍のように突き刺してくる。つか土壁の欠点って向こう側見えなくなるんだよなぁ⋯⋯後そこまで頑丈って訳でもない、所詮土なんで。
さてどうしますかね、せめて毒液尽きたりしねーかーなー
と思いながら目を壁から少しだけ出して見てみると⋯⋯え、何あれ?ウツボカズラが蓋の中から何か丸くてでっかいの取り出して⋯⋯ドクロマーク付いてるんですけど、まさか⋯⋯
導火線が付いていて火花が散っているそれをウツボカズラは此方目掛け、弦を使って豪快に投げつけてきた。




