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触手さんは今日も這いずる  作者: トイレの花子
一触・触手さん魔大陸編
72/82

触71・触手さん迷宮二層目

 迷宮に入ってどんくらい経ったかね、ちょいちょい遭遇するアンデッド達を燃やしたり消し飛ばして通路を進んでいるが他の魔物は現れず、この階層マジでアンデッドしか居ないんかな。

 それと、たまーに他のパーティーを見かけるけど、前衛2中衛2後衛2っていうバランスタイプが殆ど。これが一番無難なんだろう、稀に複数パーティが一緒に行動しているのもあったが。

 新人パーティなんかも結構居て、危なっかしく戦っている場面もあったり。まあ戦闘ド素人って事は無いだろうが、組み立てなのかあまり連携取れて無いのは幾つか見受けられた、まあ頑張りたまえ、皆最初は初心者である。

 そういや他所のパーティ見てて気が付いたんだけど、回復魔法とか有るのな、よー考えたら回復魔法使ってるとこって見た事無かったわ。私は傷とか直ぐに治っちゃうから必要無かったし、他の皆も怪我してるの見て無いんだよな。

 というかポーションすら此処来るまで存在知らんかったくらいだぞ、まあ有っても不思議じゃ無いけどさ、あの創造神が創った世界だし。


 飽きもせず出てくるアンデッドを倒して進んでいたら、大きな部屋が有って、中には下りの階段が、私でも余裕で降りられそうなくらいには幅が広い。やーっと次に行けるのか、結構移動したよなぁ……それじゃあ下に降りますか。

 階段に近寄るとボフンッと白い煙が吹き上がって、唐突に木箱が床に現れた。……え、何ぞ?いきなりポップしたんですが?


「おやこれは宝箱か、ダンジョンでは自然発生すると聞いたことがあったが、実際に見るのは初めてだな、どれどれ」


 クオが興味深そうに宝箱を調べ始める、軽く叩いたり、箱の隙間に薄い金属を差し込んだりして色々確認を行い蓋を開けると、中には「あの」カードリッジが一枚。貼られたシールには「星の●ービィ」と書かれている。


「おお、これは魔王が喜びそうだね、いやしかし懐かしいな。昔は良く遊んだよこれで」


 何か嬉しそうにして荷物袋にそれを納める、てかクオってもしかして前世は四十代辺りだったのか?そんくらいだよな、あれで遊んでたって。


「他には何も無さそうだし下に降りるとしようか」


 空になった宝箱を通りすぎて階段を降りていく、踊り場が壁で死角になっているので警戒するが特に何も無く素通りして階下に。

 周囲は古い遺跡っぽかったのが一変して、岩肌の洞窟みたいになっている、層で外見が違うのか。

 うちの神殿の下にある洞窟みたいだな~と思っていたら前方から大量に何か羽ばたいて飛んできた、キーキー鳴いているがどうやら蝙蝠っぽい。大きさは羽含めて1Mくらいある。

 そいつが一際大きく、耳を劈《つんざ》くように鳴くと、皆の前に居た私の肌を鋭く切り裂いた。

 痛ってぇぇぇ!!!深くは無いが結構ザックリ切られて出血し、触手の一本が赤く染まる。何だこれ、もしかして超音波メスとかか?某ギャ●スが使うあれみたいな奴。つかこれ魔法じゃないな、純粋な物理攻撃だ、無効化が出来ていない。


「ソニックバットですか、一匹一匹は大したこと無いのですが、音波攻撃が厄介なのと、この数は驚異ですね……」


 ビノセが火球でソニックバットを焼き落とすが次から次へと飛んでくる、こりゃキリがないな。


「ブレスで焼き払うにしても限度があるので、止みそうにないなら一旦引くのも宜しいかと」


 イーラが火焔のブレスで纏めて灰塵にしていくが減るどころか益々増えている、どんだけおるんじゃい!!

 戦争は数だよと言うが正にその通りであり、一撃で倒せても数で押し潰されたらどうにもならないのである、疲弊し続ければ何れ負けるのだ。

 こうなったら仕方ない、飛んで来るんだから通路を塞いでしまえ。ソニックバットが飛来する方向に土魔法で簡易な壁を作って、少しだけ穴を空けておく。後はその穴から火の魔法や火焔ブレスを入れてやればいい。

 問題は暫く此処を通れないって事、この通路しか行先が無く、階段の直ぐ側なもんで完全に通せんぼである、他の冒険者達も降りてくるんで事情説明して一旦皆で待機、交代で火をべる。

 壁の向こうでひたすら焼かれる蝙蝠達、パチパチ爆ぜる音と、けたたましい絶叫が響いていたが段々小さくなって、最後は静かになった。


 もういいかな?土壁が熱で赤くなっているので水魔法で中に放水して温度を下げ、壁を壊すと焼け焦げて炭化している無数の死骸が散らばっている。もう飛んで来る気配も無いので大丈夫そうだ、死骸を道の端に退けて片付けておく、歩くとき邪魔だしな。


 他の冒険者達も皆進んで行ったので私達も後に続こうかね、真っ直ぐの道を進んでいると分岐路に出た、五つに別れてんだけど……まあ適当に左二つ目で。

 適当、と言ったが実は意味が無いって訳じゃーない。これが三つに別れてるなら大抵は進路が殆ど均一に分散するのだが、分路が多くなってくると少し片寄るのである。

 選びがちなのは正面と左右、他はあまり選らばないのだ。例えば席が五つあったとして、中途半端な右二つ目や左二つ目を選んで座る人はそんなに居ないんだなこれが、電車とかな。

 これを利用した誘導なんて物もあるくらいである、よってあまり人が通ってなさそうな道を選んだのだ。


 思った通り誰も居らず、代わりに魔物が多い、それと宝箱がボチボチ。中身は項かやら小さな宝石類、小銭にはなりそうかねぇ、宝石は売ってみないと分からんか。


 たまに飛んで来る蝙蝠をしばき倒しながらで進んでいると、床に何かがへばり付いているのを見つけた。あ、これスライムじゃん、そういや補充しとかないとまた乙女汁の出が悪くなるし食っておこうかな。


 ……しかしこのスライム色違くね?まあいいか、それじゃ頂きま……


 このとき、迂闊に近寄ったのを激しく後悔するとは想わんかった。

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