触70・触手さん迷宮一層目
迷宮内部に入ると中は遺跡っぽく、外と同様に白っぽい石造りで風化のせいかあちこち朽ちてボロボロだったりヒビが入っている、相当年代が経ってるんだろうか?
この迷宮、一層一層がかなり広いらしく都の十倍はあるらしい、ってーことは都が直径1kmくらいあるんで10km程か。まだ未発見の場所も多数あって、一層目でも全部は把握出来てないそうだ、原因は隠し部屋が多いせい、落とし穴の中に独立した部屋が有るとかざらのようである。
先に入って行った冒険者がそう言っていた、地図も逐次更新が続いてるとの事。
入口付近では人も多かったが中を進んで行くにつれ減っていく、それぞれ目的が違うせいだろう。私達は目下最下層を目指す。
基本的に非戦闘員のクオを囲うようにして前を私とイーラ、サイドをビノセとパディカ、後方をスケルトン部隊で陣形を取っている。まあこのメンバーなんで余程の事ない限り窮地に陥るなんて無いと思うけどね、ゴーレムだのキマイラだのが多数で攻めてこん限り。
魔物も出てこないし暇だな~なんて思っていたら通路の向こうに何かが動いてる、迷宮内部は割と明るく、あっちこっちにランタンが灯っているので視界は広い。
あれは……あ、ゾンビだ。ボロボロの服に身体は腐って骨が見えている、間違いない、ゆっくりとだが此方に歩み寄って来ている。
……そーいやゾンビって人種のしかおらんのか?それ以外見たことないんだよなぁ……聞いてみよ。
【ゾンビってエルフとかドワーフのって居るの?】
「いえ、ゾンビは人種だけですね。人種の死骸だけがそうなるのですが、これが少々面倒でして」
私の質問にビノセが魔法で火球をゾンビに放ちながら答える、あー良く燃えるなー、一瞬で燃え上がったわ。
「少しでも、例えば指一本でも残ると、時間の経過で再生するうえに、バラバラになった場合はそれだけ増えるのです。よってゾンビはしっかり灰にするのが正しい対処です」
今まで思ってたゾンビとかなり違ってた、そんな性質が有ったとは。あ~、前に作ったゾンビコンロ大丈夫かなー、中から出ては来れないだろうけど。
「ちなみにアンデッドですとスケルトンやゴーストが居ますが、これは魔力が集まって自然発生した物であり、元は人種でもなければ他の種族でもありません。メアリー殿が作成しているスケルトンとはまた少し違うのです」
メアリーのは遺骨に生前の魂憑依させるか魔力使って作成してるんだもんな、基本部分が違うのである。
【ってーことはアンデッッドって完全に排除って】
「無理ですね、その場の魔力を完全に断ってしまうか何かしらの処置をしないと。ゾンビも共食いをする事があるんで、放置したり見逃すと散った破片で増えていきますよ」
結構厄介なんだな、こんだけ冒険者居るのにゾンビ徘徊してるってことは、駆除が追い付いてないってことだ。
「また、自然発生したアンデッドは人種他問わず襲い掛かってきます、これは魔物や魔獣同様ですね」
……ちょっと待てよ?何で種族問わずに……?創造神が作ったんだろうし人種だけ攻撃するようにも出来たのでは?
と、この時は思ったんだが、これは理由があると後々判明した。どうやら人口が増えすぎるのを抑える為らしい、要するに調整の為に存在してる訳だ、天敵が居ないとドンドン増えるからな。
イーラも加わってゾンビを片っ端から焼いていく、しっかし匂いが酷い、一気に焼いてるとはいえ腐臭と焦げた匂いで臭い事このうえない。
残ったのも後少し、と思ったらぞゾンビが居る奥の方から音……と声?がしてくる。カラカラと乾いた音に何かが呻いてる声、それは段々近づいてきて……ランタンの灯りに照らし出されたのは人骨と何か輪郭がぼやけてる青白い人っぽいの。
「スケルトンとゴーストですか……スケルトンは兎も角、ゴーストは物理的な攻撃が通じないのと、魔法も破邪系統以外ほぼ効果がありません、気を付けて下さい。パディカ、あれを頼む」
「私のブレスも魔法ではないのでゴーストには効果ないですね、まあ私は破邪魔法も習得していますので問題ありませんが」
パディカとイーラが右手を前に翳すと、光の柱がスケルトンとゴーストの足元から立ち昇り、光の消滅と共にどちらも消えていく。
「破邪魔法は魔力を分散させる魔法なので、魔力で産み出された物には効果覿面というわけです。ゾンビの場合は死体が消えないのでそのまま放置するとまた動き始めるので燃やす方がいいですね」
成程ねぇ、対処法が違うのか。ゲームだったら大抵火でも光でもアンデッドには効果抜群だったりするんだが。しかし一層目から割と敵の構成が面倒くさいっつーか、物理一辺倒じゃ無理だよなこれ。
「ああそれと、ゴーストは相手を失神させる魔法の弾を撃って来ますので気を付けて下さい、油断してると命取りになりますので」
初っぱなからスタン攻撃あるとか難易度たけーなおい、まあ攻撃魔法なら私には効かないから肉壁になって防ぐのも有りか。
次々とやって来るスケルトンとゴーストを光の彼方へ消し飛ばし、私達は迷宮を進んで行った。




