触64・触手さん魔大陸へ
原始の神殿を後にし、ドラゴンの集落に寄りキードへそこで起きた事を報告(ものすっげー驚いてたが理解してくれた)私とメアリーは自分達の神殿に帰還した。
皆にはさっくりと説明、まあデヴィルスと人種の事だけ話しておいた、宇宙の事とかは言ってもあまり理解して貰えない気がしたので、放っておいたら世界がヤバイ程度で済ませた。全部聞いたら頭が宇宙になるだろう、わたしですらそうだったんだから。
クオには詳細を話しておくべきだろう、何せ私と同じ元日本人だし、この世界に疑問抱いてたからな。一旦戻った自室から這い出て、さて何処に居るかな~と探していると、あ、居た居た、原始の神殿に行くのに使ったコンテナを倉庫の前でメンテナンスしていた。そちらにゆっくり這い寄っていく。
「おや、何か用かな?」
気がついたのか、レンチ片手に此方に顔を向ける。
【さっきの話の詳細を言っておこうと思ってね】
「まあそんなところじゃないかなと思ったよ、妙にあっさりとした内容だったからね、それじゃあ聞かせて貰おうかな」
デヴィルスと人種の詳しい関連性や、前宇宙の消滅とこの世界の事、そして創造神の事。全てをクオに話すと、ウーンと唸りながら頭を下に向けた。
「……う、うん、話は理解したよ。したんだが……そ、そうか……そうだったのかー」
理解はしたが相当困惑してんなコレ、いやまあ無理もねーか。前宇宙がもう無いとか普通信じられんわ。この星は星で元女子校生が趣味全開で作ってんだもんよ。
「ま、まあそれはさておき、魔大陸か……水の大精霊に聞けということはルーデ海方面か」
【だと思うんだよね、なもんでこの後海底都市に行って聞きに行くよ】
『ですので此方に参らせて頂きました』
不意に後ろから声がしたので私とクオが振り向くと、青い女性が立っていた。うぉっ!水の大精霊!?何で居んの?驚いていると土の大精霊が両腕を頭の後ろに組んで歩いて来た。
『僕が呼んだんだ、魔大陸の事聞きに行く手間省けたでしょ?』
まあ省けたんだが、どうやって来たんだ?
『我々大精霊はお互いの居る場所へ瞬時に飛ぶ事が出来るので、この方が早いかと思いまして』
便利だなそれ、単純な使い方なら帰還魔法よりも良さそうだ、制限距離あるし。
『んじゃ僕は戻るよ、新しい畑見なきゃいけないし』
そういうと土の大精霊は手を振って歩いて行った。
『さて、魔大陸でしたね。彼処は主に魔族や獣人種が多数住まう、ルーデ海を挟んだ遥かに遠い大地。海底都市からでも大凡一ヶ月、しかも途中に陸などは一切無い為、普通では往き来出来ません』
え、じゃあどうやって行くんだ……?それだと帰還魔法も使えないし、物資も必要だから相当大きい船でもないと……
『ですので往来用の船舶をご用意しました、人種も排除されてルーデ海も安定して船も出港出来るようになりましたので』
仕事早いな~もう用意してあんのかい。
『準備が整いましたらルーデ海の海岸でこちらを鳴らして下さい、港までの案内人が参りますので。それではこれにて失礼します』
小さな金属製の青い呼び鈴を私に渡すとお辞儀をして水の大精霊はスーっと消えて行った。
「ふむ、向こうでの手筈は整っているようだし、此方も準備して行くとしようか」
【そだね、魔大陸に行く規模も調整するか、んじゃ後で】
クオと別れて食堂へ、長期間神殿を空ける事になるからメアリーとも相談しないといけない。彼女はスケルトン増員担当でもある為、あんまり長いこと此処を離れると支障が出るのだ。
そして次の日、神殿の外にメンバーが集まった。私、ビノセとパディカ、クオとイーラ、そして帰還魔法が使えるスケルトンコマンダーと部下のスケルトン達五名。
結局メアリーは留守番に相成った、残ってスケルトンを増やす事に専念して貰う為だ、ピヨ彦の事も頼んだ。
【どうかお気をつけて、此方の事はお任せ下さい。それでは行ってらっしゃいませ】
『頑張ってねー』
お辞儀をするメアリーや他数名と土の大精霊に見送られて私達は出発してまずはルーデ海の海岸に向かう。辿り着くとあんだけ臭かった海岸が嘘のようにしなくなっていて、海面もすっかり綺麗に、波も穏やかで潮風が心地好い。さて、鈴を鳴らせって言ってたよな。
袋から貰った呼び鈴を鳴らすと、涼やかに音を奏でる。すると目の前の海面から一人の女性が浮かび上がってきた、下半身は長い蛇、ラミアって奴かね?彼女が此方にやって来てペコリとお辞儀をする。
「お待ちしていました、案内の者です。船舶のある港は此処から少し離れていますのでお連れ致します」
「であれば此方に乗ってくれ、その方が早いだろう」
クオがコンテナから降りてきて誘導する、それに従って彼女はコンテナに乗り込んだ。
「ありがとうございます、それでは失礼致します」
クオも戻って全員コンテナに乗り終えると彼女の指示で海岸沿いを進んで行く、前に破壊した工場跡地の側を通過して10分くらいか、小さな港が見えてきた。
大小色々な船が停まっていて、採れた魚等を半魚人達が漁船から下ろしているのが目に映る。そしてそんな中、一際大きい……いや相当デカイぞこれ、豪華客船レベル、甲板の上にはホテルみたいな四階建て。
「あちらの船舶が魔大陸行きに使われます、此方の乗り物毎乗船出来ますので向こうの桟橋よりお入り下さい」
コンテナでも余裕で通れる桟橋から、開いた船の入口から乗船して空いているスペースに駐車して皆降車していく。中は木造で綺麗かつ明るい、色々荷物が置いてあるところを見ると運搬物資用の倉庫か。
「それでは私はこれにて、船内の担当者と替わらせて頂きます、良い船旅を」
お辞儀をすると彼女は案内を終えたのか船から降りて行った、そして入れ替わりに下半身が魚で背中に大きな羽の生えた女性がやってくる。これ何だっけ……マーメイドじゃなくて……セイレーン?
「ようこそ皆様我が船へ、歓迎いたします。わたくし船長を勤めますセーインと申します、お見知り置きを」
立派な船帽子を外してお辞儀をしてくる、セイレーンが船長……いや、まあいいか。
「魔大陸へは時間も掛かります故、ごゆるりと船旅をおたのしみ下さい。それでは客室にご案内致します、貴女達、お客様方を各部屋へとお連れして差し上げて下さい」
船長に呼ばれてやって来たラミアのメイド達に案内されて、私達は客室へと通された。中は凄い豪華で天井にはシャンデリア、でっかい王様用みたいなベッドにバーカウンターの棚には酒瓶が陳列。豪華過ぎて正直怖いくらい、まあ道中はのんびり出来そうである。
暫くして、豪華客船は大きな汽笛を鳴らして出港した、いざ魔大陸へ。




