触61・触手さん原始の神殿へ
『……くっそー……この俺が負けるとは……』
壁に激突して気を失っていた火の大精霊は気が付いたのか、頭を振りながら起き上がり、空中で胡座をかくと右手で頭をワシワシ掻きながら悔しそうに呟いている。目の前に行くと此方を向いて腕を組む。
『お前強いじゃねーか、流石御子ってところか?認めてやるよ、火の力も持って行きな』
大精霊が何処からともなく赤色の珠を取り出すと手渡してきた。
『使い方……は言わないでも分かるか、まあ試してみな』
珠を受けとると何時もの様に飲み込む。……あー、まーた来たよこの腹に何か溜まる感じ、そして込み上げてきて……
グェェェェップゥ
ゲップと共に炎が口から放出された。それを見た大精霊が指差して爆笑してくる。
『っぶ!ぶわっはっはっはっはっは、何だよお前それ!!ゲップ魔法かよ?ちょ、面白過ぎんだろ、ぶっ!駄目だ腹痛てぇ~あーはっはっはっは!!』
うっせー何か知らんが最初だけゲップと一緒に出るんだよ、爆笑すんじゃねーわ。炎が治まって口を拭う。
『あ~笑った笑った、まあ大丈夫そうだな、慣れてくれば色々出来るようになるさ、ただ……もっと力付けた方がいいっていうか……あんた、昔より相当弱ってるぽいな』
……ん?どういう事だ?
『先代の話じゃ御子ってもんは創造神が直接産んだもんで、それこそ神に匹敵するってーくらいの強さって聞いてたんだがな……封印されたせいかもな』
んなに強かったのか、ってことはまだまだ成長出来るってことだよな、言い換えると、うっし頑張るか。
『あんたこれから原始の神殿行くつもりだろ?火の力を求めて来たくらいだからな、言われなくても分かるぜ、彼処なら少しは強さが戻るかもな』
ふうむ?キードも言ってたけど、どうやら原始の神殿は何か色々あるっぽいな……
『んじゃそろそろ俺は寝るぜ、結構疲れたからよ』
【あ、ちょいと待った】
沈んで行って溶岩に戻ろうとした火の大精霊だが、ふと思い出したことがあったので呼び止める。
『あ?まだ何かあるのか?』
胸まで浸かった所で止まる大精霊。
【上層の神殿に土の大精霊が居るんだけど……】
言われた途端に物凄く嫌そうな顔をし始める、いやお前……プリン一つで喧嘩しただけだろうに……
『……あいつ居るのかよ……っち、戻ったら言っときな、此方からはゼッテーに謝んないってよ、じゃあな!!』
捨て台詞の様に言うと、ドボン!と勢い良く溶岩に潜って行った、は~やれやれ。まあ何にせよこれで火の力も手に入ったし、次は原始の神殿か。取り敢えず一旦上に戻ろう。風魔法でサッと移動して上層へ向かって行く、外に出るともう日もほぼ落ちて夕方になっている。
魔力も切れてきたので何時もの通り這いずって自室に向かおうとすると、畑の方から土の大精霊が歩いてやって来る、畑仕事でも終わったのか。
『おや、御子ちゃん、今お帰りかい?』
呑気に語り掛けてくる大精霊だったが、さっきまでの事を話すと凄まじく嫌そうな顔に急変する、お前もか、どっちもどっちやんけ。
『はあぁぁぁぁ!?勝手に僕のプリン食っといて何だよそれ~!!謝るのそっちだろっおぉっぉおぉ!!?こっちだって絶対謝らないぞっ!!むっきー!!!』
大精霊はガキンチョみたいに地団駄踏んで手足をバタバタさせてプンプン起こると何処かに行ってしまった。喧嘩は同レベルでしかしないと言うが、ほんまやな。少し呆れつつも私は食堂へ向かった、あ~腹減ったわ~
さて明くる日、次の目的地になった原始の神殿なのだが、一つ問題が浮上した、それは余りにも極寒の地である事である。火の力を得た私や、メアリー等の気温が大して影響を及ぼさないスケルトンは良いのだが、他の面子は命に関わる。という訳で会議の結果、現地に赴くのは私とメアリーだけになった、他のスケルトン達を置いていく理由は、人数が多いと逆に遭難しかねないからだ。
正直移動コンテナもエシータスク山脈以降まともに動かせるかどうか分からんので、最悪乗り捨てて行く可能性まで考えると少数精鋭が一番だ。なもんでコンテナも私とメアリーが乗る一台のみ、その代わり物資は積めるだけ積めてくし、修理用のパーツやら機材も搭載する。修理方法は事前にクオから教えて貰って説明書も持った、まあ何かあればメアリーの帰還魔法で戻って来れるしな。
全ての準備を終えて外に出ると、神殿の前には皆が集合している、今回はお見送りである。
「道中お気を付けて」
「燃料は大量に積んでおいたはずだから足りるはずだが無理はしないように」
「彼の地は何があるか分からぬ故、ご注意の程を」
ビノセ、クオ、イーラから声を掛けられる、パディカは相変わらず言葉を発しないので頷いてるのみ。
そんじゃ出発するか、コンテナに私が乗り込むとメアリーが魔法を発動し、エシータスク山脈のドラゴン集落へと移動、そして一路、原始の神殿を目指すのだった。
さ~て何が待ってるかね~




