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触手さんは今日も這いずる  作者: トイレの花子
序触・触手さん原始編
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触60・触手さん火の大精霊と闘う

 遺骨を納めた骨壺を土魔法で掘り抜いた大きい穴に設置していき、全て並べ終わった所へ再度魔法で埋めて、最後に石造りの大きく立派な墓標を設置して遺骨の移動は全て完了した。


「では一同、先祖達へ黙祷……安寧あらんことを」


 墓標の前に集まった私達やドラゴンが黙祷を捧げる、これで骨泥棒問題も解決するだろう。つか人種達ドラゴンの骨なんか何に使ってんだ?黙祷を終えると皆の前居るキードが此方に振り返る。


「うむ、皆ご苦労であった、特に御子殿には大きく助けられた、礼を述べる、ありがとう」


 言ってキードが頭を垂れる。


【いいって、いいいって、大した事してないし】


「む、そうか……まあ良い、今後何かあれば喜んで協力しよう」


【その時は宜しくね】


「お、そうだ、であればこのイーラを連れて行ってやってくれ、移動速度は我々の中でもずば抜けていてな、伝達役になるだろう、頼むぞイーラ」


「はい、お任せ下さい。御子殿、宜しくお願いします」


【そっか、それじゃあ宜しく】


「こっちは俺も居るからな、ここの守りは任せてくれ」


「ええ、頼みましたよアード」


 私達はドラゴン達に見送られながら、一度前線基地を経由して神殿にへと戻った。前線基地ではこれといって何も無かったようで一安心。


 さてと……火の大精霊を探さなくちゃ~いけないんだが……あそこに居なきゃ何処居るか見当もつかなくなるんだよな……はてさて。

 メアリー達と分かれると、一人私は中層の溶岩地帯へと向かう。知っている限り火に関係する場所はここくらいしかないのである、正直此処が外れならどうにもなんない、方々から情報を集めるしか無いだろう。


 上から降りてきて目的のエリアに到着する、相変わらずの熱波、あちこち溶けた溶岩で真っ赤である。とはいえ色々魔法が使える様になったこの私、地形も何も最早関係無いのだ、水魔法で身体を冷却しつつ風魔法で溶岩の真上もスイスイだ、いや~成長したな~わっはっは。


 時たま出てくる蜥蜴もすっかり雑魚になってしまって、蹴散らしながら探索を続ける。うーん居ねぇなぁ……もう一通り見て来たぞ?参ったなぁと思いながらも進んで居ると……尻があった。


 ……前もこんなことあったような……


 尻が溶岩から浮いているのだ、とても良い尻をしている、間違いない、以前此処で見た尻である。


 ……いや何で溶岩から尻が……???


 激しく困惑していると、唐突にドプンと尻が溶岩に沈んで、何かが中から飛び出してきた。全身が暗褐色、冷えた溶岩みたいな色の巨大な人型。

 ……居たー!!こいつで間違いない、他の大精霊と特徴が同じだ!!


 それが此方に気がついたのかゆっくりと顔を向けてきた。


『ん~?何だお前、見ない顔だが……他の大精霊の力を感じるな』


 不躾にジロジロとこっちを見てくる、何か今までのと態度違うな。


【え~っと、御子って言えば分かる?】


『御子ぉ~?』


 右手を顎に当てながら更に見下ろしてくる。


『……あぁ~、先代が言ってた御子ってあんたか。此処で封印されてんのは知ってたけど、俺じゃどうにもなんなかったしな。こっち来てまだ一年も経ってねーし』


 こやつ『俺っ娘』か?胸でけーし女だよな。


『その分だと火の力が欲しいんだろ?いいぜくれてやるよ、但し、俺に勝てたらな。他の連中と違って実力主義なんでな、御子でも力を示して貰うぜ!!』


 言うと大精霊が右掌で火球を作り出しそれを此方に向けると発射してきた。突然攻撃してきたので回避が間に合わず触手の一本に直撃する。


 あっちぃぃぃ!!ちょっと待て、これ魔法じゃないのか?


『言っておくがあんたの魔法無効は効かないからな、大精霊の力は自然そのものなんでな、魔法じゃないぜ、気を付けな』


 そういうのは先に言え!!クッソー、蜥蜴の火球と同じかよ、明らか魔法っぽいのに。つかえっらい好戦的だな、態度大きい土の大精霊でもここまでじゃ無かったぞ。というかこの性格だと土のと相性悪そうだな、プリンで喧嘩したとか言ってたし。


『オラオラどんどん行くぜ!!』


 次々と発射してくる火球を土で作った盾で防ぐ、一瞬で水分が蒸発、表面がガラス質に変化し粉々になる、直撃するよか遥かにマシか。


『防いでるだけじゃ勝てないぜ!?』


 間髪入れず打ち込んでくる火球を捌きつつ乙女汁で作ったやじりを風魔法で高速で打ち出す、だが大精霊の目の前に現れた焔の渦で防がれてしまう。


『そんなヘッポコ矢なんか当たるかよ!!』


 こいつ強いな、硬いだけで単純なゴーレムや知性の無い本能でしか動かないキマイラとは格が違う。知性と実力が伴うとこうも差が出るのか、普通に戦ってたら勝てんぞこれ。


『どうした、御子ってのはこんなもんなのか?』


 ワハハと笑いながら攻撃の手を止めない、こんにゃろ、何時までも調子に乗れると思うなよ!!


 遠距離が駄目なら接近戦だ、風のジェットブーストで一気に間合いを詰めて口から出した超水圧ブレードで斬り掛かる。


『っへ甘いな!!行動パターンが見え見えなんだよ!!オラァ!!!』


 大精霊が焔の巨大な剣で受け止めると水のブレードが蒸発してしまう、そしてそのまま逆に斬りつけてくるのを咄嗟に私は横に避けるが、少し触手を焼き斬られ、強烈な痛みが後から襲ってくる。切り口は焦げて血も出ない。


 ぐあっ、痛ってぇぇぇ!!!……ヤバイな……遠距離も近距離も駄目ってか?幸い傷は浅いのか激しく痛いが動きはする。しっかしどうしたもんか、隙が全く無いわ……


 ……隙、隙が無いか……いや、無いなら作ってしまえばいい、だったら……


 水の魔法で濃霧を作り出しまずは視界を塞ぐ。周囲一帯が霧で真っ白に包まれていく。


『ああん?今更目眩ましか?無駄だってんだよ!!』


 大精霊が力を貯め始める、大技か!?だが構わず次に土魔法と風魔法を同時展開させる、間に合え!!


『これでも喰らいな!!』


 激しい焔の奔流が此方に押し寄せ、私は灼熱の波に飲まれた。通り過ぎた後には焼け焦げ真っ黒になった私の残滓のみ。それを見て勝利を確信する大精霊。


『ふん、御子つっても所詮この程度か。俺に勝てないんじゃどの道……ぐあっ!!?』


 大精霊の背後から取り付いてがっちりと全身を触手で絡め取る。


『んな!?確かに直撃して炭になったはず……!!』


 残念だったな、あれは土魔法で作った私そっくりの人形だ!!霧で隠れてる間に作って風の魔法で浮かばせていたのだ、そしてこっそり背後に忍び寄った。勝ったと思って油断したな。


『くそっ!離せ!ちきしょー外れねぇ!!』


 死んでも離すものか、暴れる大精霊を掴んだまま最大速度で前方へ急加速を掛ける。


『お、おいお前何するつも……』


 ……最初、私の攻撃を大精霊が焔の渦で防いだのを見て確信したことが一つあった、それは『物理攻撃が効く』ということだ。効かないのであればワザワザあんな風にする必要がないし、今もしっかりと掴め、しかも逃げることが出来ないでいる。最早確定である、ならば……


 壁に叩きつける!!


 充分に速度が乗った状態で硬そうな壁に迫っていく私と大精霊、グングンと距離が詰まっていき……


『ば、馬鹿野郎!!離せ!!やめ……!!?』


 直撃する瞬間に言われた通り離してやり大精霊は壁に大激突、私は緊急回避してその光景を眺めたのだった。

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