触59・触手さん遺骨を掘り出す
雪深い山中をイーラの先導の元コンテナで進んでいく、豪雪地帯でも楽々進むな~このコンテナ。周囲には最早木も生えておらず、文字通りの銀世界、案内が無ければ遭難確定であろう。
静まり返った中、雪を巻き上げる風音だけが響き渡る、聖域と言ってもいいかもしれない物を感じる。
と、イーラが降りてきて地面を尻尾で探り始める。
「此処です、この雪の下に先祖達の遺骨が眠っています、掘り起こしましょう、手伝って頂けますか?」
視た感じ何にも無いんだけど、言うんだから埋ってるんだろう。乙女汁でシャベルを触手分の数と、イーラの分も作って一緒に掘り始める。
「御子殿の分泌液便利ですね」
【でしょ?色々応用が効くのよコレ】
二人してザックザックと掘っていく、しっかし深いなこれ、どんだけ雪積もってんだ?
おおよそ5Mは掘ったんじゃなかろうか?私がすっぽり入れるくらいの穴を空けてやっと茶色い地面が見えた。
「土の直ぐ下に埋めてあるのでもう出て来ますよ」
土も掘ると何か硬い感触がした、土を取り除いていくと白いのが見える、コレか。丁寧に掻き分けると巨大な骨が現れた。
「コレが我々先祖の遺骨です、全て回収しましょう」
更に周囲も掘り進め、出てくる骨を拾っていく、しっかし恐竜の化石の発掘みたいだな。
「はい、これで全部ですね、それでは次に参りましょうか」
ある程度拾ってまだ残ってんのかなと思ってたら、どうやら揃ったらしい、ドラゴンの骨格なんてサッパリ解らんからイーラ頼みである。
【後何ヵ所あるの?】
「そうですね……我々の分は残り5ヶ所です、何れもそこまで遠くは無いので割りと早く終わるかと」
遺骨をコンテナに積み終えて次の場所へと移動を開始する。道中深い谷間を越えたり(風魔法でコンテナ毎飛んだ、短距離なら何とかなる)崖を越えつつ(こっちは土魔法で緩い傾斜を作った)順調に回収を行い、そして最後の地点に辿り着いた。今までの場所同様、雪以外は何も無い。特に問題なく作業進んだなぁ、さてさっさと済ませようかな……
と、おんやぁ~?やや遠い前方に妙なもんが見える。片目には雪意外なーんも見えて無いんだが……サーモアイはそれをしっかりと捉えていた。人の形をした赤い熱源が三つ、ハハーン成程こいつらが……
降りてきたイーラに指示を出す。
【彼処、あの辺に向かって火とか吐ける?】
触手で場所を示すとイーラが頷く。
「はい、ドラゴンなんで火炎ブレスは吐けますが……彼処に何が?特に何も無いようですが」
やや困惑して聞き返してくる、まあ見えてないし仕方ないんだが。パパッと盛大に燃やして貰おう。
【まあいいからいいから、特大のかましちゃって】
「はぁ……ではいきます」
イーラが大きく息を吸い込むと、口を大きく開けて燃え盛る火炎を放出した。真っ赤な灼熱のブレスが轟音を伴って前方を焼き焔が舐め尽くして行く。
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!」
雪上にて燃え上がる人影、炙り出しの成功だ、転がってのたうち回っている。
「何と、人種が居たのですか、全く分かりませんでした」
【鼻効かないドラゴンって普段どうやってこいつら見破ってんの?】
「後手にはなるのですが、掘ってる最中等は雪が動きますからそれで判別しています。後は遺骨を持っている時ですね、ドラゴンの骨は魔力を帯びていますので」
【成程ね】
普段はそれで判別してるのか、ふんふん。火達磨になっていたが雪で消えたのか黒焦げになっている人種共、まだ息があるようで全員起き上がろうとしている、随分頑丈だなぁ。止め刺すか。
墓泥棒に慈悲は無し、死者を冒涜する輩には死を。古代ピラミッドにもそうある。恨むなら自分の愚かさを呪うがいい、成敗!!
風魔法で一気に間合いを詰めて超水圧カッターで全員胴体から真っ二つにする、苦悶の断末魔を上げながら骨泥棒は地に伏した、これで良しっと。
【これどうしようか】
「此処では寒すぎて自然にも還りませんからね、土地も穢れますし完全に灰にします、骨も残らぬように」
イーラはそう言うと死体目掛けて火炎ブレスを放射し始める、強烈な焔に炙られ続け、それは完全に灰塵に帰した。
「浄化も終わりましたし最後の遺骨を回収してしまいましょうか」
綺麗すっきりしたところで雪を掘り始める、辺り一帯焼き払ったんで結構溶けてて手間も省けたな。土から全部掘り出してコンテナに積む。
【これで私達の分は終わりだよね?】
「はい、全て回収し終えましたので戻りましょう」
私がコンテナに乗るとイーラも上昇して帰路に着く、道中人種も見当たらず、問題なくドラゴン達の集落へと戻って行った。
【お帰りなさいませ、そちらはどうでしたか?】
既に戻っていたメアリー達と合流する、まだ幾つか居ない部隊があるが直に帰ってくるだろう。メアリーの後ろには見慣れないドラゴンが居る、羽無いし四足歩行っぽくて、でっかい蜥蜴って感じだが。
「おおイーラ、先に戻っていたぞ」
「アード、そちらはどうでしたか?」
「追っていた人種は片付けておいた、その後こちらのメアリー殿達と合流してな、先祖達の遺骨を回収して来た」
あれがアードか、赤銅色で地竜ってやつかね。二人が話し合っている間も着々と皆が他のドラゴン達と共に帰って来た。
「ふむ、一同戻ったようだな、無事で何より」
全員が中央の広場へ集まるとキードが歩いてやって来る。
「よし、では遺骨を納める壺を用意したので各々入れていってくれ。入れ終わった物を逐次この広場に埋めるとしよう」
別のドラゴン達が次々と黒くて巨大な壺を運んでくる、それらに私達は遺骨を個別に入れていく。その数は50を軽く越えて、大量の骨壺が完成したのだった。




