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23 練習終了


「今まで一番いい演技だったな」

「ソウデスカ」


 はい、私の勘違いでしたー。

 フレンド関係から進展してません。


 マモルに体育館で公開告白された後、無事?後夜祭が終了。

 ハルやマキ、メグミをはじめ、クラスメイトの女子たちからは羨望と妬みの眼差しが、そして彼女のいない男子たちは、「リア充死ね」の視線を浴びることになった。

 で、それに耐えきれなくなったわたしは、マモルを連れて逃走することに。


 そして私たちは、いつもの演劇部部室にいた。


「てか、いつまでドキドキしてんの?」

「バーカ」


 本当にバカとしか言うことはない。

 マモルも、そして私も。


「なんで部室に来たんだよ。もう帰りたいんだけど」

「ダメです。ヒガのせいでいろんな人の視線が刺さるんだから」


 よくもまあ、全校生徒の前でキスをしたものである。

 恥ずかしい。


「ま、ともあれ、ようやく終了だな」

「何が?」

「練習だよ。レベル4のキスができたんだし」

「あんなの、ヒガが無理矢理したんじゃない。今までの思い出とか語っちゃって」

「その方が、臨場感が出るだろ。文化祭の間、ずっとああいう演技してたから抜けきらなくて」

「まあ、うれしかったけど」

「なんでうれしかったの? 俺はドキドキして欲しかったんだけど」

「もちろんドキドキもしたよ。当たり前じゃん」


 両想いだった、なんて勘違いしてしまった私。

 あんな状況、誰だって勘違いするでしょ。

 逆に、ああいう風に告白する方が演技っぽいのか?

 なんか、周りを巻き込むタイプの告白だったし。


 思えば、今日はとんでもない日になってしまった。


 私がマモルに告白して、それからマモルが私に告白する。

 1日に2回、それもお互いが相手のことを好きだと伝え合う。

 それにもかかわらず、付き合うどころから、マモルは私のことを好きですらないのだ。


「これからは、イチャイチャの実践編に入るってわけだ」

「あの、練習の段階でドキドキがキャパオーバーなんですけど」

「俺、まだ満足にドキドキしたことないんだけど」

「嘘!? これ以上ドキドキさせる気ですか?」

「嫌?」

「本当に死んじゃいます」


 窓から校庭を見る。まだ多くの生徒たちが文化祭の余韻に浸りたいのか、ゆっくりと下校している。


「まだ、出れそうにないですね」

「よし、じゃあ今から始めるか」

「何を?」


 マモルは、ニヤニヤしながらスマホの画面を私に見せる。

 その画面には、私が投稿した妄想ツイートである。


「この、『ハムハムされるの好きぃ』のハムハムって何?」

「いや、ちょっ、それは!?」

「説明してもらえる?」

「ええと、言葉で説明するのは難しいと言いますか」

「じゃあ、実践で」


 生徒たちの声が部室にも聞こえる。

 どうやら時間だけはたっぷりあるようだ。


「ユウカ」


 本当に、キュン死する可能性があるな。

 それはそれで本望か。


「わかったよ、マモル」


 私は覚悟を決める。


 そして、3回目のキスをするのだった。



 夜、自室。


「うう、数えきれないほど、キスをしてしまった。

 あんなに夢中になってしまって。はしたない」


 マモルの方は、ドキドキするための演技のキスだったが、私は本気のキスだった。


「これが、これから会うたびにできるんでしょ。

 それに、妄想したこともマモルとできるんだ。

 あんなことやこんなことまで」


 えへへ、楽しみでしかない。


 でも。

 でも、これじゃあだめだ。

 このままだと、いつまでもマモルに自分の気持ちが伝わらない。

 伝えるんだ。


 フレンドを解消して、その上でマモルにもう一度好きである伝えるんだ。



 そして文化祭休日が過ぎて、登校日。

 場所は、いつもの演劇部部室。


「ヒガ、ちょっといい?」

「なんだ?」

「仮の話ですよ。仮に私がフレンドを解消しようって言ったらどうしますか?」


 すぐに告白するのは、さすがに怖い。


「そうだな、イチャイチャできないよな」

「でも、仮にですよ。仮に」


 それでも言うんだ。しっかり。


「仮に、フレンドを解消した上で、私を本当の彼女にしてイチャイチャするのはどうですか」

「それは、できないよ。俺、ワタナベのことイチャイチャしたいっていう目でしか見たことないから。

 てか、俺のこと好きなの?」

「……はい」


 しばらく、マモルは考える。

 そして結論を提示する。


「そうだね。選択肢は二つ。

 一つは、フレンドを解消すること。でも、この場合だとイチャイチャできなくなる。

 で、もう一つは、ワタナベが俺のことを好きじゃない状態になること。そうすれば、フレンドを継続してイチャイチャできる。

 どっちがいい?」


 私は、純粋な恋心と欲望にまみれたイチャイチャ心を天秤にかける。


「それは、もちろん」


 答えなんて決まっている。 


「頑張ってヒガのことを好きじゃなくなるので、これからもイチャイチャするフレンドでいさせてください」



 どうやら、私がマモルと本当に付き合うようになるには、まだ時間がかかりそうです。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 この後の展開として、『マモルのことを嫌いになる編』と『イチャイチャ編』の二つを構想しています。

 ですが、個人的に書きたかったシーンや妄想はできたので、一旦終了。

 要望があれば、番外編として追加するつもりです。

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