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⑶『絶望の淵で、笑っている』
⑶『絶望の淵で、笑っている』
㈠
俺は、明朝の光に導かれる、なんてことがなかった人生において、まさに、小説家として、絶望しているのだ。どこかに、新しい光がないか、探すなんてことも、無意味な堕落の様に思えて、俺は人生をとんずらするんだろう、そうだろう。そう、笑っている。
㈡
結果論になるだろうが、結句、俺は小説を書き過ぎて、もう何が何だか、訳が分からないよ。注目されたいとも、名誉を得たいとも、もう思わない。ただ、生きる、つまり、その日その日をしのぐための、金があれば、死までの道さ。
㈢
それでも、この、絶望の淵で、笑っている、という小説は、俺にしては特殊なんだ。何だか、小説家が苦痛だ、何て言う小説を書くのは初めてでね、気分爽快とでも言おうか、何か、気楽になった気分で、先の人生は、明るそうだよ。