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⑴『絶望の淵で、笑っている』
⑴『絶望の淵で、笑っている』
㈠
言葉の破綻、面白い文句だ、俺は、芥川龍之介から、埴谷雄高ときて、小林秀雄の、文体に来ていることが、何かしらの宿命を感じるんだ。面白いこと、それは、小説を書くことだった、いや、正確には、書いていることだった。
㈡
しかし、最近、小説を書くのが苦痛になってきたんだ。何、小説を書けなくなった訳ではない。書くことは出来るんだ。絶望の淵に居るような心境さ。正しいと思っていたものが、決壊し、夢遊の中で、果てしない虚無を感覚している。
㈢
言ってしまえば、無茶をやり過ぎたんだ。だから、何もかも、壊れて、笑っているんだ。つまり、絶望の淵で、笑っている、ということなんだが、考え過ぎるだけ無駄だよ。俺は、俺の本質を、捉まえ損ねたんだと、言えるだろうから。