呪い61-公表すべき闇
記者の男はひたすらパソコンに向かい、四二杉代の生き返る気味の悪いところを……異常さと常軌を逸した人間への警戒すべき存在であるという事を記事にしていた。
「これは危険なんだ……こいつは危険だ……皆に知らせなくては! それこそが僕らマスメディアの義務であり正義だ! 世の中の闇を露わにし! 隠れた悪をあぶり出すんだ! 隠れて悪事を行う屑共の全てを見せるべきだ! あの少年も同じだ! 隠れて不死身になった! それは神の信ずる世界で許されないとされている! 無神論者の中でもそれはやってはいけない禁忌だ! 禁忌を犯したからこそ奴は死んでも平気でいられる! 死んで平気な時点で奴はすでにただの狂人だ!」
だからこそ彼は記者になった、だからこそ真実を暴く、彼は悪の心を犠牲にし善の心を守る為に真実を暴くことこそが正義だと信じた道であるからこそ彼は進む事が出来た。
「ずいぶん仕事熱心だね、関心関心!」
サングラスを掛けたネックレスをした若々しい中年の男が笑顔で話し掛ける。
「編集長! 見てください! これは僕が見つけた世界の闇の真実です! こんな少年がいる事が許されるはずはない! 不死身の力がこの世界にあると羨ましがり悪に縋る者が現れてしまう! 善がそれの犠牲になってはいけない! その為のモノがもうすぐできます!」
作っている途中であったが、男は編集長へ必死に訴えた。
「うんうん、真面目だねエ高美君! 君は本当に真面目で善人だ! 本当に素晴らしい! だがこの記事はダメだ」
「え……」
普通であればこのような人目を惹くネタはマスメディアにとって大切なモノである。
しかし、編集長は笑顔のままその記事を否定した。
当然高美は睨みながら
「どうしてですか! これは! この不死身の少年の記事は後悔するべきです! 止めるべき案件です! こんなのが許されてしまえば不死身化した人間によって不死身化していない人間を狩る最低最悪の事態が起こります! だからこそ公表してすぐにでも止めるべきなのに!」
意義を唱えた高美に対して笑顔を貼り付けたまま
「ダメだ……最後のチャンスだ……これは記事にしてはダメだ……もしそれをするならばもうこれ以上は庇わない」
その言葉を聞いて高美は背中に這うような恐怖を感じた。
だが彼は負けるつもりはなかった。
「これは記事にします、例え編集長に止められても私はこれをどんな方法を取ってもこれを公表しますからね!」
そう言い放つと記事を作成し続ける。
「そうか……それは残念だ……」
編集長は手を振った。




