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呪い6-常識の範囲内

そして、玄関で代美は詠美に


「それでは行ってきます」

「行ってきまーす」


そうして二人は玄関を出た。

代美は指さして


「車はあっちに止めてるからここで待ってて」


バチバチバチ!!


切れた電線が代にぶち当たって感電していた。


「だっ大丈夫!」

「大丈夫大丈夫、車取りに行って」


そう言ってプシュウ―と煙が漂い代は立っていた。

代美は急いで車を取りに行く事にした。

そして、門の前までに車を寄せると



「おら! おら!」

「死ねやオラ!」

先程車で代を撥ね飛ばした不良二人に鉄パイプで殴られていた。

一人は金髪のサングラスを掛けた背の高い男、もう一人は茶髪の眉のない背の低いその金髪の男の腰巾着の様な男だった。


ベギイイ!


と腕を殴られて代の腕はへし折れた。


「何をしてるの!」

「ああ? 何だあ? 文句あんのか!」

「こいつ何て死んでも生き返るんだろ! だったら別に鬱憤晴らししてもいいだろうが!」


そう言って代の顔面を鉄パイプで


ゴシャア!!!


と殴り潰した。

代美は怒りが込み上がり


「止めなさい!」


と睨み付けながら不良達に怒鳴った。

不良は代美を睨み返しながら鉄パイプを捨てて


「ああ? っやんのか?」

「痛い目見たいようだなア、それにいい女じゃねえか」


と厭らしい目で代美を見ていると


「うっ!」

「くうう!!」


不良二人は突然冷汗をブワッと流した。

代美はそんな不良達を見て不審に思った。

不良達は悔しそうにしながら


「チッ! まあいい! 今日のところはこれぐらいで勘弁してやる!」

「フン! 感謝するんだな!」


と言ってそのまま帰っていった。

そして、先程代を撥ね飛ばした車に乗って帰った。

代美は先程の不良達が見た方向に目線を向けると

不審なスーツの人間が曲がり角に入っていった。

すると代は立ちあがって


「じゃあ行こうか」


と言って代美のいる車へと歩き出す。

代美は代を心配そうに


「だっ大丈夫! 苦しかったりしない!」


と聞くと代は不思議そうに


「ああ? いつもの事なんだし別に苦しくもないかな? そもそもこの呪いは精神自体も勝手に回復するし」


そして、代はそのまま助手席のドアを開けて乗り込んだ。


「では学校へとレッツゴー!」


そう言って前を方向に指を差す。

代美は車を発進させなかった。

代は不思議そうに


「どったの? 何か不安事? 初心者マークついてたけどまだ運転は慣れてないタイプ?」

「いや! そうじゃなくて! あのさっきの事なんだけど?」

「さっき?」

「ほら! 君が車に撥ねられたり鉄パイプで殴られたことを警察とか弁護士に相談するとか!」


それを聞いて代は


「ああ、それ無駄だから」


と即答した。

代美はその言葉を聞いて


「ドっどうして! あんなことが許されるはずが……」


と動揺しながら代に訴えかけると


「だったら姫島さんは車の事故に遭った人間、鉄パイプで殴られた人間がピンピンした状態で警察署に現れたらどう思います? 全く傷跡も殴られた痕跡も撥ねられた後遺症もなく全くの無傷で健康優良体ですよ?」

「え……」


代美は答えられなかった。

法律の知識がなくとも、そんな証拠のない人間が訴えたところでどうなるかが代美にも理解出来たからだ。

更に続けて代は


「訴えたところで全く相手にされません、救急搬送しようとした時気付いたでしょうけど俺が負傷した時に関しては皆常識的な対応何てしませんよ、だって怪我もしてないし病院にも通わず怪我は忽ち治るんですから怪我への対応何てする必要もない」


すると代美は震えながら


「証拠! そう証拠を出せば! 例えば監視カメラで君が殴られたり撥ねられたりするところを映像で残せば!」

「でも全く傷もなく診断書もない人間がそんな動画だけ持ってきても偽映像を見せているだけにしか思われませんよ」


と即反論されてしまう。

代美はそれでも代に対して


「だったらあなたが呪いで無理矢理傷が治ってしまう事を言えば」

「ああ、無理無理、そんなヤバい事伝えたって全く無理だよ、そんな明らかに話してはまずい事を言って信じて貰ってもそれは果たして人間と呼べるのかってことですよ、法律って人間に対してだけに作られた……そう人間にとっての常識の範囲内で作られたルールですから……自分から常識の範囲内を超えてしまったらそれは最早適応されない……そんなもんでしょ?」


その言葉を聞いて代美は悲しい気持ちになった。


(私は……何を言ってるんだろう……そんなことをすれば彼の人生を壊してしまうかもしれないのに……)


しかし、代美は代が今後の人生もあんな酷い目に合わされると思うと耐えきれない気持ちになった。

代はそんな代美を見て


「大丈夫ですよ、別に……俺はもう慣れましたからあいつ等のヤバさは……いくら俺がこの呪いで復活出来るからってあんなことをすればいつか歯止めが効かなくなるってことぐらいは……」

「あれ以上の事をされるかもってこと?」

「ある意味では」


代は代美にニタっと嗤った後


「もう早くうう、学校遅れちゃううう!」


と代美にせがむ様に腕を掴んで左右に振った。

代美はハッとなって


「わっ分かったわ、一応この話はまた後でってことで!」

「まだその話するのおお? 好きだねエ」

「好きっていうか……心配っていうか」

「心配したら負けって思った方が良いのでは?」

「良くない、あんなの見て心配しない方がおかしい」

「ふーん」


そう言ってその話は終わり、代を学校まで送った。

時間は大してかからず学校までは2分ぐらいで着いた。

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