呪い59-スロー!
坂野は代の顔面を連れて道を歩いていた。
血が滴らない様に包帯で喉元をグルグル巻きにし、更に黒い布で包んで運んでいる。
「あんた何処で体落としたの?」
「見えん、見せろ」
「目の穴は開けているはずよ」
代は頑張って首を動かして目線を穴に合わせる。
「ああ……苦しくないのが救いだ……後ちょっとぐらいで着くかな?」
「一体全体どうやって息をしてるの?」
「してないよ? する必要ないし、声は喉仏があるから何とか喋れるだけ……あ! そこそこ!」
すると沢山の人だかりが何かを蹴りつけている。
「喰らえ! 喰らえ! ゴミが!」
「おら! おらああ!」
「サンドバッグが!」
そこには包みを守る様に持っている代の体があった。
「おはぎは守ってるんだ」
「失敗すれば俺が酷い目に合うからな」
代は目を逸らしながら言った。
「まあこっちはこれを投げればいいからね」
そう言って代を包みから出して包帯を取り
「おらああ! 元の顔よ!」
「うわおおおおおおおおおおおおああああああああああ!!」
そのまま顔面を投げられた。
そして、電柱にヒットし、バンドを重ねながら元の首の近くに行くと
黒い靄が現れて代の首を掴んだ。
そのまま代の体に引っ付き
「離れろおおおおおおお! カス共がああああ! 遊びは終わりだああ!」
そう言って近くにいたヤンキーたちを追い払おうとすると
「あんっだこいつ! ぶっ殺してやる!」
鉄パイプを持った男が代の頭を叩き割ろうとする。
「フン!」
ドゴオ!
「ごべええ!」
すると、一瞬で距離を詰めた坂野がその不良の脇腹を拳で突くと不良は唾を吐きながら打っ倒れる。
「何だこいつ! 糞!」
「逃げるぞ! 勝てねえ感じがプンプンする!」
そう言って不良達はすぐさま逃げていった。
「全く、これだから君は……おはぎ持った?」
「うん」
そして、代と坂野は元の場所へと戻って行った。
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「これこれええ!」
彩夢は嬉しそうにしながらおはぎを食べる。
「うん! おいひい!」
「全くだ」
「お茶に合う」
「俺も欲しいんだけど?」
しかし代の分はない
そして、代以外の者がおはぎを食べ終わると
「さてと! 次の現場に向かおう!」
と彩夢のやる気は十分だった。
代は怪訝そうにしながら
「てかお前今何してるの? アイドル以外に何かしてるの?」
その質問に孝之は睨み付けながら
「何を言ってるんだ! 彼女は今ドラマにモデルにアイドルに様々な評価を貰っている! 今だって僕の恋人役として素晴らしい演技をしたんだ!」
と怒鳴る。
代は鼻で嗤いながら
「お前が……フン! リア充でもないのにリア充の振りか! 滑稽滑稽!」
と嘲笑う。




