呪い53-寝る前のお話
代美は一度張り直したお風呂に入り、風呂場で髪を乾かして、風呂場で着替え直した。
「はあ……こんなことは言いたくないけど……あの父親がいるだけで身の危険がとんでもなく感じるんだけど……」
溜息を吐きながらも露出の少ない、ジャージを着て自分の魅力を出来るだけ下げていた。
「へえ! そこでナンシーは何を言ったのおお!」
夜にも関わらず、どこか期待したような代の声が漏れて来た。
代美は扉を少し開けてバレない様に覗く。
「ああ! そこでナンシーはお父さんにあそこを激しく突かれてああああ! ダメええええ! そんなのそんなのおおおおお! とイッちゃう共言えず果てたんだ!」
「へええ! 凄いやあああ! それでそれでええ! どうなったの!」
「涎を垂らしながら果てて項垂れる様にベッドにダランと脱力したように倒れ込む!」
「凄い凄おおい! 僕もお父さんみたいに激しく満足させられるかなあ!」
「きっと出来るさ! なんせ代はお父さんの息子だ! お前にもお父さんの様な息子が生えている! そして、その知識とDNAとセンスはきっとお父さんと同じく強くなれる!」
「わあああ! もっと聞かせてよ! 次は誰としたのおお!」
そんな会話を聞いて代美は何とも言えないと云わんばかりの表情になった。
まるで寝る前の楽しいお話を聞いているように代の目はキラキラ輝いている。
父親も、久しぶりの息子とのコミュニケーションにウキウキしている。
二人を繋げているモノが性であることでなければ微笑ましい場面だろうと代美は思った。
そして、こんなことで思いたくもなかった事が頭を過る。
(あの子……あんなふうに嗤えるんだ……)
そして、代美はすぐさまその部屋から離れた。
そして、父親は微笑みながら
「次はそうだなあ……田中五郎さんの話を……」
「出て行け」
「え?」
父親はギョッとしながら代を見ると今までの微笑ましい場面とは違い、見下したような目で代はATMに対して
「お前なんて父親でも何でもねえ! さっさと出て行け! このATMガアア!」
そして、追い出す様に父親を自分の部屋から押し出した。
「ああ! 息子よ! 酷いじゃないか!」
「うるせえエ! 出てけ!」
バアアアン!
と勢いよくドアを閉めて、鍵を掛けた。
「うう……酷い」
ATMは仕方なさそうに庭に出て寝袋で寝た。
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「ああ……馬鹿だなあ……」
「どうしたんですか?」
代美は呆れように声を出す詠美に聞くと
「あの男バイセクシャルなのよ……男との行為なんてノンケにはきついでしょうに」
「あははは……」
代美は苦笑いをした。




