呪い50-依存とATM
「親父いい! 仕事終わったぞおお!」
鬼女は頭を掻きながらあくびをし、1人の中年に話し掛ける。
「おお……そうか……それは良かった……四二杉代はどうなった……」
「取り敢えずは無断欠席でなく出席扱いになる、取り敢えずは面倒にはならないだろう」
中年の男は溜息を吐き
「全く……呪いだけでなく人からの面倒事が多いなあ……」
煙草を吸いながら落ち着こうとする。
「臭ええなあ……癌で死ぬぞ?」
「年取ると寧ろ趣向に依存してしまうんだろうなあ……自分の死期が近いと出来る事はなんでもしたくなるんだろう……そうでもしないと死ぬという恐怖には打ち勝てないから」
怯える様に酒瓶をラッパ飲みして、煙草を吸って副流煙を吐く。
「全く……どんだけ怖いんだよ……」
「怖いよ……あの子の死を見る度に俺もああなるんじゃないかってなあ ……あいつは性格は悪いが別に各段悪い事はあまりしていない……なのにあの死に方だ……わしもあんな酷い苦しむ死を迎えたくない……常にアルコールで脳を腐らせて煙草で肺を腐らせてハイにならんと耐えられん」
「いや……酒に関しては鬼ヶ島の鬼としては強いから脳が腐ることは無いんじゃないのか?」
寂しそうにしながら瓶を再びラッパ飲みすると、銘柄が明らかに消毒液などで使うエタノールであった。
「それ酒じゃなくて消毒液では?」
「似たようなもんだろ」
「似てねえよ……」
すると一人の男が現れた。
「組長!……あの男が帰ってきました」
「!!」
「へえ、良いんじゃねえ? 別に問題はないだろ?」
組長が驚く中、鬼女は特に驚かなかった。
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「ただいまああ! 我が愛しき妻よ! 息子ヨ! パパのお帰りだあああ!」
笑顔で帰って来た男に対して詠美はジトっと見ながら手を差し出す。
「おや? 可愛らしいお姫様だ……キスを求めているのかな? この王子のキ……」
バアアアアン!!
「えギャアアア!!」
「私の知っているATMはそんなこと言わない! 黙って100万円を下ろしてくれるの! 貴方は誰! 私のATMを何処へやったの!!」
「ちょっと待ってええええええ! お願い開けて! 詠美チャアアアン!! 誠悲しい!」
「ATM! 私が知っているのはATMよ! マコト? 一体何者なの! うちへ入り込むなんて! 警察呼ぶわよ!」
「わかった! 俺はATM! これで良いい!」
すると詠美はそっとドアを開けて
「本当?」
涙ぐみながら聞く。
男あ明るい表情で
「そうともそうとも!」
と伝えるが、詠美は手を差し出して
「100万」
と金をせびった。
「今はない」
ガシャン!
「開けてええええええええええええええええええ!」
その後、ATMはコンビニで100万を下ろした。




