呪い36-負担
男二人とは別に、森瀬は涼子を連れて別室で話をする事にした。
「神土さん……大丈夫?」
「……はい」
少し疲れた様子の涼子を労わりながら背中を摩る。
すると涼子から話を始めた。
「男って……あんなのばかりなんですか……」
森瀬は困りながらも
「それは分かりません、何せ私も恋愛経験があるわけではありませんから……絶対あんなのばかりとは断言できません、しかしあの会話のせいで神土さんが辛くなるのは理解出来ます……女性にとって妊娠とは特別な事でもあるので……なんせ命をお腹に宿るわけですから……その負担は大きいでしょう……やはりあの会話を聞く限り男は命を直接受け持つことが無いからとしか」
その答えに涼子は少し納得した。
自分で産むわけではない、堕ろすわけでもない、ただ待つ事しか出来ないのが男と言う宿命なのだろう。
しかし、それと同時に自分で命の重さ背負えない分、命への配慮が薄れてしまうのが男という存在の欠点なのだろう。
その欠点を理解し、女性の負担を和らげるにも人を労わる心がない限り完全に覚悟を持つことは出来ないのだろう。
涼子はまだ中学生で子供である。
その負担は大人の何倍もある状態である為、坂本の言葉も春郎の言葉も理解出来なかったのである。
まだ決まった訳ではないが、可能性があるというのはそれだけで不安になる要素としては十分であった。
涼子は俯きながら
「私は……せめて私は、それが本当になった場合……せめて私だけでもその責任は取りたい……あいつには逃げられるかもしれなくても……私は逃げる事はしたくないかな……産んで……里子に出すにしても……もしお腹に宿るなら……その子には私とアイツを恨む権利はあるはず……それを堕ろして恨む事すら奪うのは……一番やってはいけないと思いますから……」
「……そう……覚悟かどうかは今の段階では分かりません……人の心は変わりやすいですしね……子供となればもっと変わりやすい……だからいきなりめげてしまうかもしれない……苦しみを味合わない限り覚悟は身につかないものですから……でも例え堕ろしたとしても産んだとしても後悔するときは後悔します……今はそれだけしか言えないです……相談には乗りますよ……私は先生ですから」
そう言って頭を撫でて、涼子を励ました。
涼子も涙を流しながら小さく頷いた。
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その頃一方代は
「ちょっと代? 先生と無断欠席の件話しできたの?」
「忙しそうだったから話せてない」
「ええ!! 私達準備してたんだけど!」
鬼女は資料を敷き詰めた箱を落とした。




