呪い17-死んだ方が良い人間
桜は代のを揺さぶりながら
「ふざけるな! ふざけるな! ふざけるなあああああ! 貴様はそいつらに死ねというのか! 大切な者を失えというのか! 傷つくことを容認するのか! 自分がただ欲のままに生きる為だけに罪のない人間の死を望むというのか! お前は死ぬ事はないんだろ! お前は傷つくことは無いんだろ! その能力で精神も体も治るというのならその能力を恵まれない者達に分け与えるという事が出来ないのか!」
「当たり前だろ! 知らない人間の為にそこまでする者なんて絶対にいない! その恵まれない人間の為にお前は自分の臓器を全て無償で与える事は出来ないはずだぜ!」
舌を出して、中指を立たせて侮辱する。
桜は代を
ゴシャあ!
と殴り付けながら
「当たり前だ! 私はそれをすれば死ぬんだ! だがお前は違う! 例え他の者に臓器を与えてもその不死身の能力で相手の病を治す事も苦しみから解放する事とも出来る! 死ぬから出来ない者死なないくせにしない者と一緒にするな!」
代は鼻で嗤う。
「いやあ……凄いなあこいつら……結局俺に同情心を煽って人助けの愉悦に浸りたいんだなあ……確かにそこに金という見返りはないのかもしれないねエ……だって恵まれない奴等がそんな上等品を持っているとは思えないし……金も人を狂わせるが愉悦もまた……いや金以上に人を狂わせるのかもしれない……アヒャハハハハハ!」
山本議員は嫌悪の表情で
『愉悦だと……私は苦しんでいる人が少しでも救われればと心から思っているだけだ……私は苦しんでいる人達に笑顔を思い出して貰いたいだけだ……それが分からないのか! 今も尚こんなことをしている間にも苦しんでいる者達がいる! テレビでも見るだろ! いや見ているはずだ! 国々の武力弾圧やテロによる罪のない人間の苦しみを! 君はそれを見ても何も感じないのか!』
「俺は感じない……それに皆もテレビの前や皆の前では可哀そうだの悲しいだの酷いだの言っているが次の日には忘れている……つまり……次の日には忘れる程にそいつらの死は取るに足らない出来事でしかなんじゃないかなあ? そうだと思うよ?」
主任は机を
ドン!
と叩きつけた。
「君はそいつ等なんて死ねばいいと言ったな……死ねばいいのは貴様の方だ! 貴様の様な邪悪こそ元来死ぬべき魂だ! その腐った根性こそこの世界から消えるべき心だ! それを我々は正義の為に道を示すチャンスを与えているというのに! どこまで貴様の心は黒く染まっているんだ!」
詠美はその言葉を聞いて台所に向かった。
代美は殴りたくなったが、代が代美を手で止めた。
「違うな……この世に死んだ方がいい者はいない」
『なんだ……急に偽善者気取りか? だが残念だがこの世には死んだ方が良い者は沢山いる、人の幸せを踏み躙る外道や大切な者を己の快楽のみで奪う殺人者や金の為に人々を恐怖に陥れる者達……偽善を気取るならそこの部分を吐き違えるのはいかがなものかと思うぞ』
山本議員のドヤ顔に代は
「ははは! そんなことが正しいと思っているならお前等こそがまさに吐き違えている……快楽殺人者だろうが強盗犯だろうが何だろうが1つの生命に対して俺等が勝手にそれを殺して良い理由にはならない……お前等の言っている死んだ方が良い人間というのは死んで欲しい人間の事だ……ただそいつらは自分が生きるこの世界に……日常に平穏に! 生きていて欲しくない存在なだけだ! 死んで良い人間ではなくそいつらに俺達は死んで欲しいという殺意を向けているだけなんだよ! だから俺は俺の平穏を潰すというならそいつら全員には残念ながら死んで欲しいね! そしてお前等も俺の事を利用して愉悦に浸りたいという云わば快楽殺人者と同じような考え方を持っているだけの……政治家山本議員がいるだけの狂ったカルト集団だ! この狂った政治家が!」
「黙れえええええええええええええええええええ!」
主任は内ポケットに手を入れた瞬間
ズシャ!!
「があ!!」
詠美は机に置いていた主任の手を包丁で突き刺した。




