呪い115-正義に憑りつかれた男
「俺も一杯!」
と白髪のオッサンが現れた。
店主は
「あいよ!」
と言って熱燗を提供する。
すると坂本は白髪のオッサンを見てギョッとした。
そして
「四二杉いいいいいいいいいいいいいい!! てめええ! てめえのせいでえええ!」
「え?」
オッサンは困惑しながら坂本を見ていると
「うりゃあああ!」
と叫びながら突然酒瓶を持って殴り掛ってくる。
「ちょ! お客さん!」
「うわああああああああああああああああああ!」
白髪のオッサンは恐怖して逃げ惑った。
坂本は逃げるオッサンを見て
「待てえええええええええええ!! 四二杉いいいいいいいいいいいいいい!」
追いかけ続けていく。
オッサンは目の前に警官が立っているのを見て
「たすけえええ!!」
と警察の後ろに隠れる。
警察はギョッとして
「何かあったのですか!」
と事情を聞こうとすると
「殺すううううううううううううううう!」
と叫びながら襲ってくる坂本を見て警官は
「動くなアあ!」
と言って拳銃を構える。
しかし、坂本は絶叫しながら止まる気配を見せなかった。
警官は震えながら銃口を向けるが引き金を引けなかった。
そんな時だった。
「落ち着いて……良く狙うんだ……頭を狙う必要はない……足を狙えば死にはしない……」
と一人の女性が話し掛けて来た。
「貴方は……」
「私は鬼ヶ島鬼女だ……落ち着いて……大丈夫……」
そして、女性の言う通りに呼吸を整えて足に銃口を向ける。
そして、
「今だ」
パアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
と辺りに乾いた音が鳴り
「ああああああああああああああああああああああああああああああああぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!」
と足から出血しながら倒れる坂本の姿があった。
坂本は転げまわりながらその場で気を失った。
その後、鬼ヶ島と呼ばれた女性は
「いい射撃だ、このまま続ければ上達するよ、この男の逮捕は任せる」
そして、鬼女は一人の男と行ってしまった。
警察と白髪のオッサンはポカンとして立っていた。
後にその警官は伝説的なスナイパーとして名を馳せる事となるがそれはまた別の話。
鬼女についている男は
「良いんですか? 逮捕の方向で?」
「良いんだよ、後はあの学校をすでに退職していることにすれば問題はなくなる、退職後の責任は取らなくてもいいからね」
「そんなものですかねえ……それにしてもあの男はどうしてああなったんでしょうか……」
その言葉に鬼女は
「正義の言葉に憑りつかれたのさ……」
「正義の言葉に? どういうことですか?」
「簡単だよ、彼は最初正しくあろうとして来たんだろう……だが次第に自分こそが正義だと信じるようになった、制御出来ている時は問題はあまり起きないが制御を失えばただただ正義と言う言葉に踊らされて自分の思う通りにならないことを悪だと断定する……いつの世もそうやって身を滅ぼした奴は多い……私達はヤクザだから正義とは程遠いがお前も気を付けろよ」
「は……はい」
男は少し震えて注意するよう心に誓った。




