呪い113-様子が変だ
煽っていたDT男子達は
「俺等もあのナマナニがどんな話をしているのか気になるな……」
「俺等も行ってみようぜ!」
と野次馬になりに行った。
その頃坂本と春郎は校長先生と教頭先生に直談判に行っていた。
代が春郎を嵌めて彼女の涼子を汚した事。
春郎は涼子の名誉を守る為に黙っていた事。
その上で代が春郎に罪を擦り付けようとした事。
全て都合の良い様に話した。
すると
プルプルプル!
と校長の携帯が鳴った。
「失礼……」
そして、校長は携帯に出て数分会話した。
坂本は教頭の方に目線を向けて
「教頭! 奴を退学にするべきですよね! このままじゃあの屑に我が校の評判を落とされます!」
「うーん……」
と怪しみながら教頭は二人を見ていた。
すると校長は電話を終えて二人に向かって
「すまないがこの話はなかったことにして貰う」
「!!」
「何故ですか!」
坂本は声を上げてしまう。
校長は冷静な表情で
「上からの指示でね、君の持って来たこの話についてはもう何もしない様に言われてね……すまないが対応はしない」
「そんな! 馬鹿な事があるんですか!」
校長は冷徹な声で
「そんなことがあるのがこの世界なのだよ……」
と言い切った。
坂本は拳を握り
「そんなの認められ!」
「良いんです! 先生! 俺は大丈夫ですから……」
と言って春郎は坂本を止めた。
坂本は歯がゆそうにしながら
「すまない……俺にもっと力があれば……」
「こちらこそ……信じてくれてありがとうございます……先生……」
とその場で涙を流す。
代はそんな様子を見て
「うわー……気色悪りい……ここまで来ると奇跡だなあ……」
と引いていた。
すると後から来た男子も
「本当だ、奇跡的に気色悪い……」
「気色悪い奇跡って……あるんだな……」
とそれぞれが頬を膨らませながら嗤うのを堪えていた。
その後、先程一緒に見ていたDT男子達はその後の事は興味もなく帰宅していった。
代も二人が出てくる前に退散しようとすると
「待ちたまえ……」
と校長に呼び止められる。
校長に対し代は
「鬼ヶ島組の人に言われませんでしたか? このことに関してはもう関わるなって……」
「ああ、先程電話でね……しかし彼らの情報と今他の教員に集めさせている情報を搔き集めているが統合すると君には何も罪はない……それどころか君はただ青野君に巻き込まれただけに見えるが……放置しても君は誰にも咎められない……だが青野君が責任を取るべき問題に我々が手を出すことが出来なくなってしまった……このままでは神土さんに全て責任が圧し掛かってしまう……」
その話を聞いて代は真面目な顔で
「それは仕方ないですよ……あいつ等はどうしたって俺の責任にしたいんだ……そうなるとこの問題が漏れる可能性がある……だからあの人達を頼ってこの情報を断絶した方が良いと思ってさ……連絡したらやっぱりそうなったよ……まだあの教師が俺を一発殺したぐらいなら殴られたと誤魔化せば何とかなったけど……」
「そうか……そうなると彼女は……」
「まあ俺が知ったことはないんですけど……多分自分達で解決するしかないんじゃないですか? 結局他人じゃなくて自分の問題なんですからそこの観点からは逃げられないですよ……特に神土さんは」
「そうか……だが君はそれで良いのかい? 坂本をこの一件で解雇することも出来るのに……」
その言葉を聞いて代はニタっと嗤い
「それなら大丈夫ですよ……明日になったら効果は出てきますしね……それじゃあ俺はこれで! もう17時で帰る時間なので」
そして、代はカバンを持って帰っていった。
次の日、坂本はいつも通りに学校へと出勤した。
彼は奥さんと小さな子供が一人いる。
その為、お金を稼ぎに、子供を教育しに学校へと向かう。
そして、いつも通り体育の授業を始めようと
「ほら集まれ! 授業はもう始まってるぞ!」
と生徒を呼び集めようとするが誰一人集まろうとしない。
校庭にはいるが誰もが無視して好き勝手に
「おーい! サッカーしようぜ!」
「サッカーボールで野球しようか!!」
「それじゃあキックベースになるだろうが!」
「そうかそうか!」
「俺ここで休んでる」
「体弱いんだし仕方ねえよ!」
「そうだな! なら仕方ないかあ!」
そんな生徒を見て坂本は
「貴様等ア! 何勝手にしている! 俺の言う事を聞け!」
と怒鳴るが生徒皆が全員無視している。
先程の体の弱い生徒に
「貴様! たるんでるぞ! さっさと立て!」
と無理矢理立たそうとするが
「嫌ああああ! 誰か助けてえええ! 殺されるううう!」
と悲鳴を上げた。
すると他の生徒達は坂本を異常者を見る目で
「止めろよ……高田泣いてんじゃねえか……」
「そうだそうだ、体弱いって知ってるだろ……止めてやれよ……人殺しが」
その言葉にギョッとしながら坂本は
「な! 何を言ってるんだ! 俺がそんなことするわけないだろうが!」
と反論するが他の生徒達は
「はあ? あんたまだ自分のしたことに分かってないのか? フン」
と見下す様に鼻で嗤う生徒に
「この野郎が!」
と言って坂本は胸倉を掴んだ。
「おお? 俺も殺すのか? 最低だな……言うこと聞かない生徒は殺して脅すのか?」
「!! くう!!」
とその言葉を聞いて自分が冷静でないことを悟り離した。
「糞お」
「フン、おい! キックベースしようぜ!」
とその後生徒が好き勝手やってしまい授業にならなかった。
その後、坂本は生徒指導の仕事もしていた。
すると明らかにスカートの丈が短い女子が歩いていた。
「おい! お前! スカートの丈が短いぞ! どういうつもりだ!」
と厳しく起こるが女子生徒は
「……異常者が何か言ってる」
「本当だ、キモ……どっか行こ」
「おい! 何だその口の利き方は!」
と注意をする為捕まえると
「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! 殺されるううう!!」
「嫌ああああ! 亜里いいいいいいいいいいいいいい!! 誰か助けてええええ!!」
と悲鳴を上げる。
すると他の生徒達が出てきて
「おい! 止めろよ! 異常者が!」
「おい誰か助けろ!」
「止めてえええ!」
と悲鳴が上がる。
坂本は何かしようとすると絶対に生徒達が過剰な反応をする。
坂本は焦りながら
「一体何を言っている! 俺は別にそんなことは!」
「誤魔化す気か! 騙されないぞ!」
「そうだそうだ!」
「そうやって騙そうって言うんだろ!」
とヤンキー系の生徒ならともかく他の真面目そうな生徒も坂本を敵視している。
坂本は戸惑っていた。
「かーえれ! かーえれ! かーえれ!」
とどこからか帰れコールが始まった。
「誰だ! そんな事を言うのは!」
と坂本はギロッと睨みながら周りを見渡すが
「うるせえ! かーえれ! かーえれ! かーえれ!」
「かーえれ! かーえれ! かーえれ!」
と周りの生徒達もドンドンと帰れコールが広がる。
そんなな状態を異常に思い
「ウワアアアアアアアアアアアアア!!」
と逃げ出した。
「あ! 逃げたぞ!」
「逃げるのか! 都合が悪くなると逃げるのか! 最低だ!」
と生徒達が責め立てる様に坂本を見ていた。
そして、坂本は不審に思いながらもある場所へと向かった。
「校長! 少しお話が!」
「何だね……突然……」
校長はジト目で坂本を見ていた。
坂本は汗をダラダラと掻き乍ら涙目で
「校長! 生徒が変なんです! 俺の言う事を聞かないというか!」
「落ち着きたまえ……事を整理して話してください」
と言って坂本を冷静になる様に伝えた。
そして、坂本は自分が学校に来てからの事を話した。
授業での指示を聞いてくれない生徒。
生活指導で過剰な反応をする生徒。
そして、自分の事を異常者と呼び人殺し呼ばわりしてくることを全て話した。
すると校長は
「それは一部の生徒だけかね?」
「え?」
「それは一部の生徒のみなのかと聞いている……」
坂本は困惑しながらも
「分かりません、私が話し掛けると他の生徒も集まって帰れと言ってくるのです……」
「そうか……一部というよりもしかしたらほとんどの生徒が君を嫌っているのかもしれないな」
「そんな! 私はどうすれば!」
坂本は必死に校長に懇願するが
「さあ?」
「え……」
とあっさりと校長は突き放した。
そして、
「一部の生徒だけが君を嫌っているならともかく、ほとんどの生徒が君にそんな態度を示すならそれは君が何かしたのではないのかね? 嫌われる行為を?」
「そんな! 私は生徒全員の為に!」
「それは知らないよ……君が生徒とどのように接しているのか全てを把握しているわけではない……私が知らないところで生徒を蔑ろにしている場合は私が言い聞かせても効果はないだろう……それどころかこの学校の沽券に関わるかもしれない……君自身で対処するしかないだろうね……」
「そんな!」
「では、私はこれから会議なのでね……精々頑張りたまえ」
そう言って校長は席を立って部屋を出た。
坂本は震えながら拳を握り
「糞おおお!」
ドン!
と机を殴りつける。
そして、校長室から出るとすれ違う生徒全員から偏見の目で見られる。
坂本はギリギリと歯を食い縛り歩いていると
「あっれえええ~?? 坂本先生じゃあねえですか! 元気ないですねええ? どうかしましたああ?」




