呪い1-姫島代美は死なない少年と出会う。
こっちの連載は続けるつもりですので
姫島 代美23歳はこの街に引っ越し自分の住むマンションに向かっていた。
彼女は優秀な成績を収めて、就職して研究者として仕事をする事になった。
研究所はこの街に最近建設されて4月後半ぐらいから仕事に就くことになった。
彼女は取り立ての車の免許で買ったばかりの車を運転していた。
今日から入る研究所の職員への挨拶をし、仕事を学んで、今帰るところであった。
通勤ラッシュなのか車は混雑していた。
しかし、住宅街に近づき家が近い人が多いのか車の数も減っていく。
少しスピードを上げて車を走らせていると、目の前の信号が赤になったので、ブレーキを踏んだ。
しかし、一切スピードが落ちることは無かった。
代美は踏み間違えを疑ったが
(なんで! ブレーキペダルは踏んでるのに! なんで! 何でええええ!)
代美は恐怖が頭の中に巡り、パニックを起こした。
すると目の前に一人の少年が歩いている。
このままだと轢かれてしまう。
必死になってブレーキを踏んだ。
ガシャ!! ガシャ! ガシャ!
しかし、一切ブレーキが効かなかった。
(嫌だ!! そんな! もう少しで!! ダメ!!)
「避けてえええええええええええええ!!」
代美は必死に叫んでハンドルを右に切り、電信柱にぶつけて止めようとした。
そして、
ゴシャ!!
と鈍い音と共に
キキイイイイイイイイイ!!
とやっとブレーキが効いて少年に当たった瞬間車は止まった。
そんな明らかに手遅れなのにブレーキが効き、代美は絶望に染まってしまった。
代美は慌てて外に出て
「だ! っ大丈夫!! そんな! 嫌だ!! 救急車!! 救急車を!! まずは警察!! ああどうしよう!!」
少年はタイヤに巻き込まれたグチャグチャになっていた。
代美はパニックを起こしていると
「あら? またあの子?」
「本当に嫌になっちゃうわ……毎度毎度スプラッターだなんて……」
そんな会話をしながら近くにいた近所の女の人達は腫物を見る様な目で少年を見ていた。
そんな異常な状況に代美は怒りと恐怖で頭がごちゃ混ぜになる。
(はあああ! なんなの! あいつ等!! 人が死んだのに平然と! 明らかにヤバい!! とにかく救急車を! いやその前に人命救助!!)
と慌てながら少年を見ると
「いってええ……」
少年は何事もなかったように立ち上がり、服に着いた砂埃を手で払っていた。
「……え?」
明らかに潰れ、タイヤに巻き込まれていたはずの少年は殆ど怪我をしていない状態で面倒臭そうに立ち上がっていた。
そして、別の方向を見て
「帰るか」
そのまま何事もなかったように、帰路に着こうとしていた。
代美は慌てて
「待って! 待って!! 救急車! 動いちゃダメ!!」
と少年を制止して携帯を見せるが
「ああ、大丈夫ですよ、車は凹んでいるだとか色々言いたい気持ちは分かりますが俺の血で全部戻ってるんで、お時間取らせて申し訳ございません、さよなら」
と言って鬱陶しそうにしながら、そのまま帰ろうとした。
代美は唖然として
「いやいや!! ちょ! 救急車!」
慌てて少年の手を必死で掴んで止めるが、少年は代美の顔も見ないで、手を振り払って帰ろうとする。
代美は仕方なさそうに
(取り敢えず救急車! 呼ばないと!)
と考えて携帯で119に連絡をしていた。
そして
『もしもし? どうかされました?』
「あの! すみません! 人を! 子供を車で轢いてしまって!」
『そうですか……確認何ですが、轢いてしまった方は少年ですか?』
「え? はい」
話してもいないのに少年であることが、異様な感じたが、取り敢えず答える。
『少年は白髪ですか?』
「はい」
『瘦せ型の眠たそうな眼をしていましたか?』
「え……はい」
『怪我もいつの間にか治っていました?』
「はい」
『では大丈夫ですのでそのまま普通に生活してください』
ブツン
「え?」
そして、電話が切られてしまった。
唖然とする代美は携帯をポカンと見ていた。
「えええええ」
と何が何だか分かっていなかった。
そして、先程言われていた車が戻っているという言葉も気になり確認すると少年の血も付いておらず、凹んだ部分ですら何事もなかったように消えていた。
理解出来ないことが一気に起こり、頭の中が混乱していた。
しかし、頭を抱えて何とか冷静さを取り戻そうとした。
そして、代美は少年を探すと、少年は信号に捕まっていた。
「ちょっと待って!」
「ええ~まだ何かあ……」
と呼び止めたが、少年は鬱陶しそうに代美を見ている。
それでも代美は必死に、しかし少し申し訳なさそうにしながら
「ちょっと待って! ……あの……本当に大丈夫なの……救急車は何でか対応してくれなかったけど……もし良かったら病院まで送るけど……」
「大丈夫です、寧ろ行っても怪我がないのでお金の無駄ですよ?」
「いや! でも! 診て貰った方が!」
「ああ、うん俺の場合は寧ろ診て貰えないですよ? 色々めんどうになるので……」
「えええ!!」
代美はもうどうすれば良いか分からない状態になった。
そして、悩んだ末
「分かった、じゃあ車だから貴方の家まで送らせて! そして親御さんに説明させて! せめてそれぐらいは!」
と頭を下げてお願いをした。
すると少年はキョトンとしながら
「分りました、じゃあお願いします」
仕方なさそうに代美の車の方へと歩き始める。
歩いている途中で代美は少年に
「えっと君の名前は?」
と恐る恐る確認すると
「四二杉代っス」
「私は姫島代美よよろしくね」
と軽く自己紹介した。
すると代美の車の後ろに沢山の車が待っていた。
代美は後ろの車の運転手に頭を下げてすぐに代を乗せて車を発進させた。
代は代美に
「そこを右に曲がってください」
と言われたので、右折させて住宅街に入った。
そして、曲がってすぐのところで
「そこです」
「……」
代の自宅は数秒で着いた。