表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

アーサー王100本の剣伝説

6本目の剣

作者: 中村翔

雨降れ雨降れもっと降れ

育つぞ育つぞ草木が育つ

森ゆけ林よ熱帯雨林

これこそまさに『アマゾン』なり


「ありがたきしあわせ。」


アームドパルトの任命式。


「うむ。くるしゅうない。」


アーサーの初仕事の日。


「アーサー。勲章の授与を。」


アームドパルトが引退した。


実際にはきていないアームドパルトに勲章を授与して式典は幕を閉じた。


「なあ。アーサー。親父殿は、その、幸せ、だったのか?」

「そのことなら私よりパーシバルに聞いてもらえれば。」


「そのこころは?」

「1.パーシバルとアームドパルトは同期。2.パーシバルとアームドパルトは仲がいい。3.私は絶賛記憶喪失中なので。」


「ふむ。パーシバル殿か。聞いてくる。」

「面白い。ついていこうじゃないか。」


「アーサー。なんですか?」


アーサーがチラッと目をそらす。


「パーシバル殿。」

「パーシバル殿はやめて下さい。アームドパルトに呼ばれてると思うとむず痒い。」


「ならパーシー。」

「ならこちらはアームドと呼ばせてもらいますが。」


「ついでに敬語をやめてください。そのうち私にまで、『です』。とか言いそうで怖いです。」


アームドパルトがギロっと睨み、ふー、とため息をついた。


「で。パーシー。親父殿は幸せだったかが聞きたい。」


「アームドパルト。そうですね。彼は幸せだったし幸せではなかった。と。」

「どういうことだ?」


つまりアームドパルトは結婚をしている。そしてパーシバルには5226敗1846勝で負け越している。アームドパルトは結構な豪邸に住んでいるし、蓄えもかなり。


「つまり父上殿は幸せだったと?」


「いえ。アームドパルトは常々ライバルが欲しいと言っていました。アーサーはピッタリだといっていました。しかしここにきて妻が病気になってしまった。」


「つまり不幸。」

「一見そう見えます。ですがアームドパルトの幸せは息子に自分を超えてもらうことだったのです。つまり幸せで不幸。そんな人だったと」


「あのばぁさんの言った通りってことか。」


「おばあさんとは?」


「ああ。この国に来る前に住んでた町があってな。そこのおばぁさんが『そなたの父親は近いうち不幸になる。それは幸福でもある。』ってな。」


「そのおばあさんは何者?」


「さあな。町の人とはあまり話さなかったから詳しくは知らん。ただ鏡に映ってなかったな。まぁ見間違いだろうが。」


「!。鏡に映らない老婆?それは世に言うやんばばというやつでは?」


「なにそれ?どんな話なの?それ。」


「その昔ある村になんでも知っている占い師のおばあさんがいました。そのおばあさんは占いで村のさまざまな出来事を解決していたと。そして悪い事をするとそのおばあさんにバラされると大人は言っていたそうです。


しかしそのおばあさんが何歳か分からないほど昔からいると言うので町の人はだんだん怖くなりそのおばあさんを村八分にしたそうです。そのおばあさんの名はヤン・ルーヤ。そして鏡に映らないただ1人の人間。という話です。」


「というわけでやってきました!やんばばの町!」

「おいアーサー。パーシーにバレるとどやされるぞ。」


「大丈夫大丈夫。兵士長にいいわけしといて!っていっといたから。」

「真面目がとりえで、嘘を一度もついたことがないと噂のあの?」

「そう!嘘をついてみてって言ったら嘘とはなんですか?なにかの遊びのことですか?と言わしめたあの兵士長です!」


はぁー?と呆れるアームドパルトを背に


「で?どの人ですか?」


とやる気まんまんのアーサー。


「あそこだ。あの家のおばあさんがそうだ。」


古いとも古くないとも言える家を指差した。

コンコン。こんにちはー!


「返事がありませんね。」

「もう5年くらい前の話だからな。もうおっちんじまって。」

「なんだい!人の家の前で!」


後ろに老婆が1人。


「すみません。昔この町に住んでたアームドパルトとその友です。占い師のおばあさんがいると聞いてきたのですが。」


「・・・入りな。」

家の中は蜘蛛の巣が貼っていて床は埃まみれ。


(汚!)

「まぁそんなもんさね。1人暮らしのばばあの家はね。」


「アームドパルト。ココロ読まれました。」

「アーサーがそんな顔してたからだ。」


そんな顔してただろうか?


「で。なんのようさね。金ならないよ!」

「ええと。占ってください!」

「・・・はあ。よくいるんだよ。具体的になにを占って欲しいか言わない奴。まあいいさ。そこに座りな。」


アームドパルトとアーサーが座る。

アームドパルトの前にカードを並べてめくる。


「あんたの親父さんは幸せとも不幸せとも言えるね。あんたは、そうだね。のらりくらりと人生を楽しめばいい。それが幸福への近道さね」


次にアーサーの前にカードをさっきとは違うように並べた。


「あんたは下にってなんだこりゃ。」

ぺらっ。ぺらっ。ぺらっ。ぺらっ。


「面白いじゃないか。あんた。この家の裏の木から南に16歩西に39歩それから北に2歩行って西に10歩行ったところに行ってみるといい。話はそのあとさね。」


「アーサー。太陽が昇るのがあっちだからこっちを向いて左が西前が南だ。」


南に16歩、西に、トコトコ。

指定された場所に行くと剣が刺さっていた。

しかし木は生えていなかった。


(抜いてみろってことですか)


「君の名は、フォールサイト、ってあれ?」

アーサーがいくらひいても抜けません。

「アームドパルト。抜けませんよ。って。」

アーサーの後ろに居たはずのアームドパルトがどこにもいない。

「アームドパルト?」


アームドパルトを探しつつ町へと戻った。

おかしい。なにがとは言えないけど違和感がある。


ドスっ!


「!」


アーサーの近くの家の屋根に矢が刺さった。

ざわざわ。


(人が集まってきたな)

すると家の中から女の子が1人男に連れられ出てきた。

「あのー?なんの騒ぎですか。」


「なんだあんちゃん。他所から来たなら早く帰ったほうがええ。」

「なぜですか?」


「ああ。この村には昔から化け物が住んでてな。その化け物を鎮める餌つまり生贄を差し出してるんだ。今年はこの家から娘1人だな。」

「それは酷い話です。」


アーサーは息を吸った。

「その化け物はこのアーサーが打ち倒して見せよう!!!!」


ザワザワ。

なんだあの子供は。

ならおまえが代わりに食われるのか!?

他所ものなら都合がいい。


「私が化け物を打ち倒せなかったなら贄になろう!」

「ほう。アーサーといったか。子供が何も知らずに。まあいいやってみるといい。」

「ところでその化け物とはどんなものなのですか?」


村人にそんなことも知らないのか!?と言われてしまった。

話によると頭が2つ尻尾が3つ目玉が4つだという。


(そんな化け物いるんですか)


その夜に神輿に担がれて林の奥の洞窟へといざなわれた。


グルルぅ。


確かにそこには言われた通りの化け物がいた。


(これは。)


頭が虎胴が鳥しっぽは猿のような化け物。

化け物は神輿を引き裂くと中にいるアーサーを食おうとした。


「おっと。そうはいきません。」


アーサーは聖剣を抜き投げた。と同時に投げた方へと飛んだ。

アーサーは化け物の頭上に立つとザクッと切り込みを入れた。


化け物が唸るとアーサーは化け物の背に剣を突き立て、それにぶら下がり腹を蹴った。すると刺さった剣が重さで傾き化け物を縦に切り裂いた。


「ふうー。こんなもんですかね。」


アーサーは聖剣をチンっとしまうと村へと戻った。

それを見ていた村人により村は大騒ぎ。

アーサーにお礼をと宴を開き一晩中騒いで回った。


チュンチュン。


いつのまにか朝になっていたようだ。

なぜこんなことになってしまったのか。

考えるに剣を抜こうとしたことが原因?

なら話は早い。剣を抜こうっと。


アーサーが南に16歩とか、とぼとぼと歩いていたら目的の剣があった。


「アーサー様!」


若い女が近づいてきた。


「アーサー様。やはり行ってしまうのですね。アーサー様のことを忘れないためにここに木を植えましょう。それをアーサー様がみて喜ばれるように。」


アーサーは小さくうなづくと剣を抜いた。


スッ。

パラパラ。

剣が音もなく崩れた。


ここは、木の下?

いつの間にか大木が日を遮っていた。


「アーサー。どうした?」

「アームドパルト。ここに木なんてありましたっけ?」

「なにを言ってるんだ?この木を目印に来たんじゃないか。よし戻るか。」


「あんたには死相がでている。それも特別なやつさね。普通死相ってのは死ぬ奴にでる。でもごく稀に死なない呪いにかかってる奴がいる。それがあんただ。それだけさね。さあ帰りな。」


あれは伝説の木。

ある英雄が怪物から村を守った記念に

植えられた木。

昔々の木の話。


6本目の剣読了。

Thi・7本目の剣を始めますよろしいですか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ