9 秘密の策略
主人公目線の時に橘はどう思ってたのかを書いているので、先に主人公目線の9話 席替え を読むことをお勧めします。
一緒に放課後に出かけてから、加藤との距離がグッと近づいた気がした。
授業中もついチラチラ隣の席の加藤を見てしまう。
でも最近、加藤も私のことをよく見ている気がする。
まあ思い込みなんだろうけど。
加藤と目があっただけで、私のことを好きなんじゃないかって思う。
そんなことないのに。
それももう終わり。
明日は席替えだし。
もっと話したかったな。
加藤に会うのが学校に来る目的になっていたのに。
他の男子となんら変わらないのに、
なんでこんなにも違って見えるんだろう。
不思議だ。
加藤は窓の外の景色を見ている。
何を考えてるんだろう。
知りたいな。
私のこと考えてたりして。
なんてね、そうだったらどんなにいいか。
その瞳に私は映ってるのかな。
他の人と同じ存在、もしくは透明人間みたいに認識すらされてないのかな。
加藤の頭に少しでも私のことを考える場所があってほしいな。
そんなことばかり考える。
やっぱり私、加藤のこと好きなんだろうな。
席替え当日。
暗い気持ちが私の中に充満している。
授業も頭に入ってこない。
次は移動教室か、
めんどくさいな。
どうにかして席替えを延期できないかな。
少しでも長くこのままでいたかった。
・・・そうか、延期なんてする必要ない。
思いついた私は授業終了のチャイムと同時に教室を飛び出した。
向かったのは職員室。
ガラガラッ、と職員室の扉を開けて担任の先生を呼び出す。
「な、なに?」
担任の先生が警戒している。
「あー、今日って席替えあるじゃないですか。私と加藤くんの席はそのままにしてください」
「え?」
「いいから、言った通りにしてください。じゃないとお父さんに言いますよ」
私の親はこの高校と関係があるから、私の言うことは絶対聞くはず。
「わ、わかったよ」
よし、これでいい。
・・・これで加藤とまだいられる。
ついにホームルームの時間で席替えが行われる。
「ついにこの席ともお別れだな」
「そうだねー」
加藤も寂しがってるのかな。
まあ次も一緒だから安心して。
「そうだ、連絡先交換しない?」
え!やった!
実はずっと交換したかった。
でも恥ずかしくて言えなかった。
「いいよー」
カッコつけて平然を装ってしまう。
スマホを取り出して加藤を友達に追加する。
嬉しい。
いっぱい連絡したいな。
でも嫌がられるかな。
「話す機会少なくなるからさ」
加藤がそう呟く。
そっか、加藤も話したいと思ってくれてるんだ。
ああ、嬉しいな。
「大丈夫だよ。次も席、隣だから」
加藤が不思議な顔をしている。
すぐにどういうことかわかるよ。
席替えが始まった。
先生がくじを引いて席が決まっていく。
「またおまえかよ!」
「この席最悪!」
クラスの人が騒いでる。
加藤の番だ。
「え〜加藤、〜番」
予定通り加藤が今と同じ窓際の一番後ろの席に決定する。
加藤が驚いてる。
「今の席と同じだ」
「へ〜そんな偶然あるんだね」
超棒読みで言う。
よしよし、いいぞ。
やっと私の番。
なんか急にクラスが静かになった。
なに?私めっちゃ注目されてるじゃん。
「橘、〜番」
よし!同じ席だ。
これで完璧だね。
なんかクラスがざわざわしてるけど、
連続で同じ席だからびっくりしてるんだろう。
「また一緒だね」
満面の笑みで加藤に言ってやる。
「また一緒なんて運命じゃない?」
ニヤニヤしながら言う。
「そうかもな」
思い込みかもしれないけど、加藤も嬉しそう。
やった。
またいつもの日常が戻ってきた。




