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どうやら俺をいじめているギャルが俺のことを好きらしい  作者: ぺいぺい
橘目線(下の主人公目線がメインストーリーです:更新停止)
7/97

7 一緒

主人公目線の時に橘はどう思ってたのかを書いているので、先に主人公目線の7話 相合傘 を読むことをお勧めします。



 ホームで電車を待つ。

今日は雨模様。

みんな手に傘を持っている。

それぞれ傘に個性があっていい。


 私は雨は嫌いじゃない。

街の雰囲気が変わる。

しっとりした雰囲気が大好きだ。


 ホームに電車が入ってくる。

電車の中と外の気温差で窓が曇っている。

外は雨が降っていて寒いけど電車の中は人がいて暖かい。


 電車に乗り込む。

私はいつも反対側の窓際の場所にいるようにしている。

そこが私の定位置になっている。

でも今日は私の定位置に先客がいた。


 加藤だ。

窓の外を見つめている。

思わず駆け寄る。


「ね、ねぇ!」


突然の出会いに興奮してしまう。


「なんでいるの?自転車じゃないの?」


挨拶なんて無しで食い気味で聞く。


「あー、雨の日は電車にしてるんだ」


「そうなんだ!」


加藤の新たな情報にテンションが上がってしまう。


「あっ、おはよう!」


「お、おはよう」


遅すぎる挨拶に二人で笑い合う。








学校までの一本道をふたりで歩く。


「雨の日は電車にしてるんだね」


「そう」


平静を装っているが、内心めちゃくちゃドキドキしている。


「ずっと電車にすれば?」


 加藤も電車通学なら一緒に学校来たり帰ったりできるのかな。

私専用ってことになってるし。


「うーん」


「電車は楽だよ?」


加藤を電車通学にさせようと畳み掛ける。


「そうしようかなー」


やった!


「絶対電車の方がいいって!」


 これはいける。

加藤は押しに弱いみたい。


「考えとくよ」


 よし!

この考えとくよ、は肯定的なやつだ!







 教室に到着するが、席が隣なので2人で席に直行する。

席が隣なので話続けることができる。

ほんとに加藤と隣の席で良かった。

これが隣の席じゃなかったらもう教室に入って解散だった。


「もうすぐテストだね」


 私は大丈夫だけど加藤は勉強しなきゃまずいはず。

この前も勉強を教えてあげたけど、また2人で教室で勉強会したいな。


「もうそんな時期か」


あっ、と加藤が思い出したような顔をする。


「そういえば今度、席替えあるかもしれないって」


 うそ、席替えあるんだ・・・

席替えをすれば加藤と隣の席は終わってしまう。

もう一回、加藤と隣の席になるなんてありえないもん。


「・・・そうなんだ、でもまだ決まったわけじゃないでしょ?」


「俺もクラスの奴が話してたの聞いただけだし・・・」


「そっか・・・」


 ショックで黙り込んでしまう。

加藤と隣の席が終わってしまうなんて悲しすぎる。

もっと色んなこと話したかったな。

考えを遮るように授業開始のチャイムが鳴った。






 放課後、加藤は部活に行った。

加藤は私専用ってことにしてあるから放課後は部活に行けるようになった。

でもたまに体育倉庫にも来ている。

一応加藤がちょっとでも顔を出しとかないと里奈たちが不審に思うからね。


 でも、加藤が部活に行き始めてから話す機会は減った。

それに席替えするなんてなったら、より話すことなんてなくなるかも。





嫌だな。





 私は帰らずに昇降口で立っていた。

もしかしたら声をかけてくれるかもしれないと思ったから。

その想いは伝わった。


「何してるの?」


求めていた声が聞こえる。


「雨宿りしてるの。あー、雨止まないなー」


わざとらしく手振りもして呟く。


「傘は?」


「どっかいっちゃった」


 嘘です。

わざと教室に置いてきました。

チラッと加藤の方を見る。

・・・まさかこのまま私のことほっといて帰るんじゃないよね?


「あー、誰か傘入れてくれないかなー」


完全に加藤に言っているが、一人で呟いているフリをする。


「・・・よかったら入ってく?」


「まじで!ありがとう!」


食い気味でお礼を言う。



 2人で1本の傘に入りながら駅へと向かう。

やばい、私から仕掛けたのにドキドキが止まらない。

加藤は傘を私の方に寄せているし、歩くスピードも私に合わせてくれている。




優しいね。




「そっち濡れてない?」


「ああ、大丈夫だよ」



「・・・」

「・・・」


 胸の高鳴りから何を話せばいいかわからない。

教室ならいくらでも話せるのに。

普段と違う環境が2人の口を塞いだ。

このままじゃダメだ、せっかく話す機会なのに。


「美術部って具体的に何してるの?」


「えっと、デッサンとか自分の好きなように絵を描いてるよ」


「ふーん・・・私も入ろうかな」


私も美術部に入れば加藤と話す機会を増えるかも。


「ほんとに?」


「ダメなの?」


「いや・・・多分大丈夫だけど。でもデッサンって描いたことあるの?」


「・・・ないけど」


 なんか加藤が入らせないようにしてくるからふてくされてしまう。


「今度部長に聞いてみるよ」



 駅に着く、電車が来てたから走って乗り込んだ。

今日の朝みたいに、ドアの近くに二人で立つ。


「やっぱり席替えあったね」


 加藤がそう口にする。

今日のホームルームで先生がそう言ってた。


「そうだね・・・」


「これで橘ともお別れかな」


 その言葉が私にグサッと突き刺さった。

・・・なんでそんなこと言うの?

俯いて黙ってしまう。


「ま、まあこれからも話す機会はあるでしょ」


 そんな加藤のフォローも今は耳に入らない。

刺さったものは簡単には抜けなかった。


 加藤の降りる駅が近づく。

アナウンスが流れてドアが開く。


「じゃ、じゃあまた明日」


咄嗟に加藤の服の袖を掴んだ。


「?」


加藤が困っている。でもそんなの知らない。


「お、おいどうした?」


 ベルが鳴ってドアが閉まる。

電車がゆっくりと動き出す。


「どうしたんだ?」


 加藤が心配そうに顔を覗き込んでくる。

勇気を出して口を開いた。


「ねぇ、このまま二人でどっか出かけようよ」

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