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27 視線

 翌朝、いつものように電車に乗って学校に向かう。

昇降口で靴を履き替えているとなんか視線を感じた。

周りを見ると、遠くの方で女子たちが俺の方を見てコソコソ話している。

多分クラスの女子だな。


 ・・・なんかめっちゃ見られてる。

なんだ?もしかして昨日のことが広まってるのか?


 俺と橘が付き合ってること。喧嘩のこと。

多分、俺が橘たちにいじめられてることはクラスの奴らは知ってるはずだ。

俺と橘が付き合ってることはもう噂が回ってるのかな?

誰が広めたんだよ。

蓮も橘もそんなことしないだろうし、絶対梅澤たちの人間だな。 


 気にせずに昇降口を出て階段を上がる。

階段ですれ違う人たちに二度見される。


 ちょっと待て、なんでこんなに見られるんだ。

クラスの奴ならまだしも、面識のない生徒や上級生にまで見られてる。


 みんな俺を通り過ぎた後になんか話してる。

ここまでおおごとになってるとは。




 廊下を歩いていてもみんなが道を開ける。

廊下の真ん中がガラガラで全員が端による。

怖がられてる不良ってこういう気持ちなんだな。


 教室の前に到着する。

・・・後ろから入ろう。

教室の後ろの扉からこっそり入る。


「あっ、加藤だ」


 誰かに見つかったようだ。

その言葉につられるように一斉にクラスの視線が集まる。

俺の一挙手一投足を全て観察されている。


 教室の窓際の後ろの席まで遠く感じる。

橘はまだ来てないみたいだ。

席に到着して座る。


 鞄の中から本を取り出して読む。

まあ、こんな状況で読めるわけないが。

本を開いて読んでいるフリをする。

ただ、そこにある文字を眺める。

焦点の合っていない本の外側で見られているのがわかる。


 チラッ、と視線を見てくる奴に合わせる。

俺と目があうとすぐに視線を逸らす。

見てるのバレてるぞ。


 どこまで噂が広がってるんだ?

変な風に広まってないといいが。


 急にクラスの視線が別のところに集まる。

みんな一斉に教室の後ろのドアの方を見ている。


 俺も本から目を離して視線が集まる方を見る。

・・・橘だ。


こっちに向かって歩いてくる。


「おはよー」


「おはよ」


 クラスのみんなが一斉にコソコソ話し出す。

どうやら俺たちが付き合ってるのはバレてるみたいだな。


 多分、橘が俺をいじめてるってのがみんなの共通認識だったのに、

まさか2人が付き合ってるとは思わなかったんだろうな。


「なんかめっちゃ見られるんだけど」


橘も同じ事を感じていた。


「そうだね、多分噂が広まってるんじゃないかな」


「どんな噂?」


「俺と橘が付き合ってるとか、喧嘩のこととか?わかんないけど」


「ふーん」





 体育の時間。

今日はサッカーだ。

今はリフティングの練習をしている。


 すると同じクラスの男子が数人、近寄ってきた。

友達ではないし、話したこともない。


「なぁ、加藤。橘と付き合ってるってほんとか?」


 やっぱり、流れていた噂はこれのことか。

隠す必要もないか。


「う、うん、付き合ってるよ」


「マジで!?でも加藤、橘にいじめられてたんじゃないの?」


「そうなんだけど、色々あったんだ」


「そっかー、俺、橘ちょっと狙ってたんだけどな〜」


 そうか、橘を狙っていた男子もいっぱいいただろうな。

でも優越感に浸る気持ちはない。

それに学校で橘とイチャイチャするつもりもない。

俺も橘と付き合う前はそういう奴らを見て、くそがぁ!って思ってたから。


「誰から噂、流れてきたの?」


「なんか上級生が最初に言ってたぞ」


 上級生?誰だ?

・・・そんなこと知ってそうな上級生なんてバスケ部のキャプテンしかいないぞ。

でも橘を好きだったあいつが自分からそんなこと言うはずないしな。


 そういえば昨日、校長室でバスケ部のキャプテンの後ろにあいつの子分みたいなのがいたな。

蓮にボコボコにされた奴ら。

あいつらが噂を流したっぽいな。



「なあ、どこまでやったんだよ」


こいつうぜーな。


「まあまあ」


いなしてその場を去った。




 放課後、いつもなら学校から一緒に帰っていたが今日は駅で待ち合わせて帰ることに。

まあ、別にいつも通り学校から一緒に帰ってもいいけど、今日は色々噂が流れてるしな。

明日からいつも通りにしよう。

前までは俺は橘にいじめられてて荷物持ち的な感じで一緒にいると思われていたが、

今はカップルとして見られてしまう。

それが良いのか悪いのかわからない。


 駅のホームの一番後ろに橘と待ち合わせた。

ここなら人も少なくて生徒もあまりいない。


「よっ」


「うぃ」


 今日は噂も広まってたし、あまり話せなかった。

横に並んで電車を待つ。


「私たちが付き合ってること誰かに聞かれた?」


「うん、めっちゃ聞かれた。どういうことなんだって」


「私も、話したことない人にも聞かれた」


「・・・バレちゃったね。私たちが付き合ってること」


「まあ、別にいいけどな。バレても」


「うん」


 電車がホームに到着する。

ドアが開く。


「今までと一緒だよ。何も変わらない」


そう言って先に電車に乗り込む。


「そうだね」


遅れて橘も乗り込んできた。



 言った通り、付き合ってることがバレても何も変わらない。

なんでいじめてたやつといじめられてた奴が付き合ってるんだってみんな思うだろうな。

でもいい、いちいち全員に説明するつもりはない。

各自が思ったように解釈すればいい。


 気になるのは橘と梅澤の関係だ。

これを機に仲が悪くなるのはまずい。

橘も梅澤も元々は仲が良い友達だった。

でも俺のせいで関係がこじれてしまった。

なんとか元の関係に戻って欲しい。



そんな不安な気持ちを乗せて電車が動き出した。


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