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16 夏祭り 〜恋人〜

 色とりどりの花火が次々と上がっている。

でもどんなに綺麗な花火よりも、目の前の橘から目が離せなかった。




「もう友達じゃいられないね」




 橘のその言葉が俺の中で繰り返される。

まだ橘の唇の感触が残っていた。


 今だ。想いを伝えるのは今しかない。

絵を破ったことを謝ってくれたこと、一緒に終点の駅まで出かけたこと、夜のプールで手を繋いだこと。

橘との思い出が走馬灯のように駆け巡る。


決心して口を開く。


「あの、橘、伝えたいことがあるんだ」


 橘の手を握って見つめる。

橘が小さくうなずく。





「俺・・・橘のことが好きだ」






「橘にいじめられてたとか、そんなのどうでもいい」


「ただ・・・一緒にいたい」


言葉が溢れて止まらない。


「俺はそんなにカッコよくも賢くもないし、スポーツもそれほどできるわけじゃないけど」






「誰よりも橘のことを笑顔にするから」






 伝えたいことは全部伝えた。

俺の想いはちゃんと伝わっただろうか。

鼓動が高鳴る。

握っている手から橘の体温が伝わる。




橘が下を向いて呟く。


「・・・そんなのズルすぎ」


「え?」


「・・・そんなの聞いて断るわけないじゃん」


橘が顔を上げて俺を見つめる。






「私も・・・好きだよ」






「いじめてたことは許されないことで今更馴れ馴れしいって思われたらどうしようってずっと考えてた」


「でも、私ももっと一緒にいたいって思っちゃった」


「じゃあ・・・」


「カッコよくなくてもスポーツできなくてもいいから、ずっとそばにいてくれるって約束する?」


 橘が答えを待っている。

その瞳には花火が映っていた。



「うん、約束するよ」



 橘の手を力強く握った。

俺より小さくて暖かいその手を守ろうと思った。



 簡単なことだった。

何を迷っていたんだろう。

もっとはやく想いを伝えればよかった。

2人とも同じ気持ちだったのに。

ただ、好きという気持ちがあれば過去なんて関係なかった。




「私のこといっぱい笑顔にしてよね」




橘が微笑んで言う。



この笑顔を忘れないでおこう。



 ああ、本当に夏祭りに誘ってよかった。

忘れられない思い出になった。



 今日一番の花火が打ち上がる。

高くまで打ち上がり、夜空一面に広がって暗闇を明るく彩る。

橘と手を繋ぎながら見た花火はより綺麗に見えた。

まるで俺たちを祝福しているように感じた。




もう今までとは関係が違う。




友達じゃない・・・恋人だ。





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