2 気になる視線
主人公目線の時に橘はどう思ってたのかを書いているので、先に主人公目線の2話 隣の席 を読むことをお勧めします。
授業中。
昨日は夜遅くまで起きてテレビで放送されていた映画を見てたのでめっちゃ眠い。
恋愛映画でイケイケの女の子と地味な男の子の学園恋愛ストーリーだったけど、
自分に照らし合わせてしまってつい見入ってしまった。
その映画では無事に2人が付き合うことになってハッピーエンドで終わった。
私が加藤に感じているこのモヤモヤが何かはまだ答えは出ないけど、
この映画に今の私を照らし合わせて見てしまった。
授業中だけど机に突っ伏して寝る体制に入る。
目を閉じて昨日のことを思い出す。
加藤の自転車の後ろに乗って一緒に帰った。
あの時は時間が短く感じたな。
とても楽しい時間だった。
でも私が加藤をいじめていたという事実は変わらない。
その事実をドンッ、と突きつけられる。
今さら何を馴れ馴れしくしてるんだ。
加藤は私のこと怖がってるのかな。
薄目をあけて加藤を見る。
・・・なんかめっちゃこっちみてるんだけど。
なんで?
ドキドキして顔が赤くなってないかな。
加藤がまじまじと私の顔を見ている。
・・・急に目を開けて驚かせてやろう。
なんか男子が好きな子にいたずらするってこういう感じなんだろうな。
バッと目を開ける。
加藤一瞬目が合う。
すると加藤が慌ててノートに目を写す。
シャーペンを急いで手に取り板書をしている。
あからさまに動揺してる。
バレバレだよ。
体を起こして加藤をジーッと見つめる。
加藤は知らんふりして黒板とノートをすごい速さで交互に見ている。
どんだけ動揺してんのよ。
「私のことみてたでしょ」
問い詰めるように言い放つ。
加藤の動きが完全に止まってる。
まるで石像みたい。
もっと問い詰めてやろうとすると、
いいところで授業終了のチャイムが鳴る。
それと同時に加藤が立ち上がって走り始める。
「ちょっと!待って!」
次の体育の着替えを持って走り去ってしまった。
もっと遊びたかったのに。
加藤の机の上には散らかったシャーペンと全く板書の書かれていないノートが開かれていた。