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神様が与えてくれたもの

作者: 冬迷硝子
掲載日:2021/04/07


きっとこの上には神様が居る。

私は信じている。

このステンドグラスの上には神様が居るって。


「あぁ、主よ、真なる主よ。わたしに救いの手を」


両手を天に伸ばす。

ぐぅーんと。

背伸びをする時のように。

そして目一杯空気を吸い込む。


「すぅぅぅぅーー」


眼を瞑り、またしばらくして息を吐く。


「ふはぁぁぁーー」


眼を開く。

深呼吸。

これが私なりの深呼吸。

神様を崇め、

その空気を沢山吸い込む。

そうして新しい日が始まる。

良いことあるといいなって思える。

ステンドグラスのお花さんは今日も凜々としてて綺麗ね。

下を向くと小さな小人さんがこっちをじぃーと見ていた。


「あらら、どうしたのかしら。迷い込んじゃった?」


体勢を下げてそう訊くと、

ささーっと逃げて行った。

きっと忙しいのね。

小人さんも気持ち良い今日の1日をどう過ごすか楽しみなんだわ。

そう、きっと。

神様に忠誠を誓った私になら分かる。

小人さんも他の小人さんも、

みんな今日という新しい1日をどう過ごすか楽しみにしてる。

あぁ、なんて気持ちいい朝なんだろう。

まるで蕾から新しい花が開いたみたい。

息を吸って息を吐く。

新鮮な空気。

おいしい。

さぁ、私の新しい一日はどう過ごそうかしら。

楽しみ。

両手を目の前で組み、今一度、目を瞑る。


「主よ。今日という新しい日が良い日になることをここに」


シスターは、聖服を翻し教会を出た。

ちりが舞う風。

シャッターの閉まった商店街。

ガラスが割れ、戸は焦げて、灰と化した住家。

植物の垂れ下がる街の門。

枯れた噴水。

一本の花ひらいたタンポポ。

そこにひっそりと立てられた墓は―――。

彼女のもの。


「さぁ新しい今日という日に花を咲かせましょう」

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