王は死に民は飢え
これは、はるか遠い昔のとある小国のお話で、
この小国は広大な荒野の中にある国であり、
わずかに採れる砂金を売って、獣の肉や野菜を買い
石を砕き煮詰め塩を手に入れ、干し肉や漬け物を作り、
木の実を挽いたパンとともに食べ、細々と暮らしていました。
しかし、ある時期から砂金が採れなくなっていき、
それから数年後、とうとう砂金が尽きてしまいました。
それに困った国民たちは、代わりとなる獣を探し
食べることの出来る草花を調べましたが、
ただ広がるのは荒野のみ、食糧になるのは
パンにして食べていた木の実だけでした。
これに困った国民たちは閃きました。
「この広大な荒野を開墾し、野菜や穀物を作り、
穀物を飼料として家畜を育てればいい」と。
そのことを王に進言すると、王はこう言いました。
「我が臣民がこの地を開くのならば、
我も臣民とともにこの地を開こうではないか」と。
そして国王は自らの衣を売り、粗末な衣を見に纏い、
国民たちに農具や種、肥料を買い与え、
国民たちとともに木の実を挽いたパンを食べ、
国民たちの先頭に立って、荒野を開墾しました。
されど、まいた種が芽吹くことは無く、
国民たちは飢えに苦しみ、国は弱っていった。
そんな時に国王は、国民たちにこう言いました。
「我が臣民たちよ、耳を傾けてくれ。
我は今より自害し、天上へと向かう。
しかし、我は臣民たちのことが心配でならない。
ゆえに、我からの最後の勅命である。
我が身を食らい飢えを満たし、
我が血を啜り渇きを癒せ」と。
国民たちはこれを拒否したが、近衛兵の
「私たちも国王陛下とともに、天上へと向かう。
そして、これは国王陛下の勅命である。
・・・私たちの血肉も食らいなさい
そして、何としてでも生き残るのだ」という、
言葉により、国王と近衛たちの亡骸に、
国民たちは群がり、涙を流し王の肉を食らい、
近衛たちの血を啜り、飢えと渇きを癒した。
・・・だが、国民たちは罪悪感にさいなまれ、
満たされることの無い、飢餓に苦しみ、
とうとう国民は、たった一人になってしまいました。
〜とある吟遊詩人の歌物語より〜
ん? 何で国民がたった一人に、
なってしまったって言いきれるのかって?
・・・話してあげよう、ついて来て。
ここまで来れば大丈夫かな?
国民がたった一人になったって、
言いきれるのか・・・だったよね?
・・・理由は簡単さ。
僕ガ、ソノ生キ残リダガラダヨ♪
君ハ、トッテモ美味シソウダナァ・・・♪
・・・イタダキマス♪
・・・コノオ話ヲ見テイルソコノ君
コノ物語ハ、他人ニ話シテハイケナイヨ?
・・・僕ガ君ヲ食ベタクナッチャウカラネ♪