41 エピローグ 〜この世の果てで滅びの唄を唄う者〜
──────前回までのあらすじ─────
第一章、エピローグです……
ここまでお付き会い頂きましてありがとうございます。 あらすじはもう無粋なので省略させて頂きます。 それではまた後書きで……
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※主人公ユリウスは、故あって偽名シンを名乗っております。 地の文がユリウス、会話がシンなどという状況が頻繁に現れます。 混乱させて恐縮ですが【ユリウス=(イコール)シン】という事でよろしくお願いします。
どこか遠いこの世の果て── そこは訪れる者も無い人跡未踏の秘境の地にある高い塔の中──
「見つけた! 見つけたぞっ……! まさかそんな所にあったとは……」
ローブ姿の老人が狂ったように歓喜の声を上げていた。
そこは塔の最上階、巨大な天体望遠鏡が備え付けられたドーム状の部屋だった。 しかし、老人が覗いていたのは真鍮製の輝く望遠鏡ではない。 丸テーブルの上に台座で固定されている巨大な水晶球…… 老人は一心不乱にその中を覗き込んでいるのだ。
「いや、しかし誰かが使ったのだからいつまでもそこにはあるまいっ……! すぐに遣いを送らねばっ……!」
「北の辺境で一瞬だけ光ったと思った時は、時間が短くて正確な位置が割り出せなんだ」
「今回は輝きも継続時間も桁違いだ‼︎」
その部屋の天井付近には、何故か大きな蜂の巣がぶら下がっていた。 直径3mはあろうかと言う球状の巨大な蜂の巣だ。 老人が呪文のような物をぶつぶつと念仏のように唱えると、その内部から何千何百ものスズメバチが弾けるように飛び出した。 そして同時にドーム状の屋根が開き、塔の最上階から外界に向け一斉に飛び立っていったのだ。
それら全てが、超小型の『自律思考型自動人形』だとは誰が信じよう。
「見つけた…… 見つけたぞ! 【賢者の石】をっ‼︎」
老人は石床に刻まれたいくつかの魔法陣の中から、ひとつの上に立った。 すると一瞬にして塔の最上階から最下層にある地下室へと転移する。 それは【転移罠】を応用したエレベーターだった。
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そこは── 扉も窓も何もない、明かりさえも灯らない真の暗闇…… 部屋と呼んでいいのかさえわ分からない異様な空間だった。
暗く狭い石造りの玄室に大きめの石の寝台がひとつ。 そこはまるで古代遺跡の地下墳墓のようだ。
それは── その石の台の上に身動きひとつせず静かに横たわっていた。
それは── 自分がいつからここにいるのか何故ここにいるのか、何も覚えてはいなかった。
覚えているのは……
マスターの命令は絶対だと言う事……
自分には大切な【使命】があると言う事……
マスターの命令は絶対だと言う事……
そのためには自分に欠けた何かを取り戻さなくてはならないと言う事……
そして、マスターの命令は絶対だと言う事……
……ただそれだけだった。
彼はその【使命】のためだけに生まれ、その時のためにここでこうして待機しているのだった。
その時、床に刻まれた魔法陣の紋様が輝き出し、その光の中からローブ姿の老人が現れた。
それが彼のマスターだった。
「目覚めよ、アダム! お前の【使命】を果たす時が来たぞ!」
アダムと呼ばれたその人影は、内部でオフにしていた動力回路を静かにオンにした。 心臓部の【|人造・命の樹の実《Artificial fruit of the tree of life 》】から全身にゆっくりと魔素が流れ、体の隅々にまで充填されてゆく。
老人の訪れと共に石室内に魔法の明かりが灯される。 その人影は全裸で、10歳くらいの少年の姿をしていた。 彼は、ゆっくりと上半身を起こして無表情に口を開いた。
「おはようございます、マスター」
「見つけたぞ! ついにっ……! お前に欠けた最後の部品── 【賢者の石】をっ‼︎」
その瞬間、彼の双眸が赤い光を宿して鈍く明滅した。
「アダム…… 我が愛しい最高傑作…… 最強最悪の【アダマンタイト・ゴーレム】よ!」
「行けっ! そして【賢者の石】をこの手に取り戻すのだっ‼︎」
「イエス、マスター…… 仰せのままに」
アダムと呼ばれたその【アダマンタイト・ゴーレム】の少年は── 何故か【チタニウム・ゴーレム】の少女と瓜二つだった……
これで最初に用意した第一章、41話は完結です。 ありがとうございました。
予定では第一章投稿中の一ヶ月で第二章を執筆する予定だったのですが、やはりそう簡単ではありませんでしたね……(汗) もしよろしければ、保留なさっていた評価などを一旦付けて頂けましたら幸いです。 そしてまた、第二章の方も目を通して頂けましたらこれ以上の喜びはありません。
それではまた、本当にありがとうございました!
─────次回予告─────
第ニ章 第42話 プロローグ ~ティータイム(仮)〜
乞う御期待!




