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アフタースクール・ゴーストバスターズ!  作者: 蒼木 空
四月一日 蓮 1年生 1学期
9/9

活動記録 ⑨ 昼食会合

遅くなってすみません……


「ウェルズは暮らしに困らない」との交互更新をするので、次話はまた何世紀か後になります……

「あっちっ違うの? バスケの話?」


 猿渡みちるは顔を真っ赤にしていた。


 見ているこっちが恥ずかしくなってくるような態度に、俺は手で目を覆って見ないようにするしかなかった。


「そう。バスケの事で話がある」


「えっ、どうしたの改まって」


「みっちー、今時間ある?」


 隠れていた月城が俺の顔を確認しながら摺り足で姿を現したので、軽い非難の視線を送ると、月城はあからさまに目を逸らして俺から距離をとった。


 そんな様子を苦笑いしながら見ていた猿渡は、右手首の腕時計をちらりと見る。


 特徴的な時計だと思った。


 夢の国の○ッキーが描かれた、赤と白と黒のプラスティックの時計。


 テレビか何かで見たような記憶があるから、有名な限定版なのかもしれない。


「うーん今は無理かな。お昼休みどう?」


「分かった、お昼休みだな。教室にいてくれるとありがたい」


「おっけー!」


「……えっ?」


 猿渡は体育館の扉を閉めながら手を振ってきた。


 俺も咄嗟に振り返したが、見えたかどうかは分からない。


「蓮君、青春してるねー」


「嫌味か」


 今の月城の言葉にはそんなニュアンスがあるように聞こえた。


「違うよ、良かったねって話」


 月城はスタスタと歩いて教室へと行ってしまった。


「あー、これは何か勘違いしているな……」





 #####



 朝のホームルームが始まって気づいたが、猿渡の席は廊下側から3列目、ほぼ教卓の前の列の前から3番目の場所だった。


 俺の名字が「わ」だから端っこなのに対して、あいつは「さ」だから妥当なところだろう。




 ──三時限目の終わりを告げるチャイムが鳴り、お昼休みの時間となった。


「今日の問題分からない人は後で聞きに来なさーい」


 数学の教師の腑抜けた声を聞きながら、俺はリュックから弁当を取り出して机の上に置き、待った。


 後ろから誰かに肩を叩かれた。


 この気配……陽子かッ?!


 俺は振り向いて咄嗟に構えた。


 この構えは宇宙人に攫われそうになった時に、彼らの地球慣れしていない目を誤魔化すために俺が編み出した!


「何やってんの、蓮」


 佐野だった。


「あ、いや、な、なんでもない。飯食おうと思ってただけだ」


「今日はお弁当持ってきたんだ」


「まあな。ちょっと用事があって」


「ここで食うなら一緒に食っていいか? テニス部の連中今日は強化練習会で休みなんだよ」


「佐野は行かないのか?」


「愚問だねぇ、蓮くんよ。俺は一応お前抜きで考えてテニス部1番手だぞっ! まだ力に自信がない人たちが行くんだよあれは」


「そうなのか……おっ、来たぞ」


 見ると、猿渡と月城がパンか何かが入った袋を持って教室に入ってきた。


「え? 蓮お前、女子と飯食おうとしてたの? 何なの? 死ぬの?」


「確かに相手はすでに死んでる」


「は?」


 月城は2人分の椅子を俺の机の横に持ってきて2人は座った。


「ども、佐野 翔平、よろしく」


「私は猿渡」


 何を思ったのか、佐野と猿渡は腕相撲するように互いの腕を組ませた。


「「ここまではテンプレ」」


 俺と月城は口を開けて見ているしか出来なかった。


「「えっ?」」


「俺とみちるは幼馴染だ。蓮と陽子みたいにな」


「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」」


 俺と月城は同じタイミングで叫んでしまい、教室は静まり返った。


 何かに引っかかったのか、月城は首を傾げて俺を見た。


「陽子? 陽子って、出雲陽子?」


「そうだけど、月城と陽子も幼馴染でしたなんてオチは今はいいぞ……というかその名を口にするな! 奴が来──」


「奴って、誰のこと?」


「ひゃっ!」


 後ろにいつの間にか気配があった。


 声で分かる、陽子だぁ!


 これが陽子の殺気……!


 蛇に睨まれた蛙のように、構えを取る予備動作さえ許されない。


 今の俺にとって「動作」は即ち「死」である。


 というか、なぜ陽子は怒っているんだ!


「面白そうな話だね! 私も混ぜてよ」


 陽子は椅子を持って来て俺の横に陣取った。


「空手の練習は?!」


「ご飯食うなって言うの?!」


「あ、それもそうだな!」


 ──俺は隣のポニーテールの猛獣をなだめながら(ほぼ噛み砕かれているが)元の話題に戻した。


「なるほど、私にバスケをして欲しいと……でもさ、もう1チームはどうやって作るの?」


「そこなんだ。猿渡を入れて一つのチームは出来るとしても、もう1チームが出来なくて困ってる」


「うーん……じゃあ──」


 月城が何かいいかけた時、


「私もやるよ」

「俺もやるよ」


 陽子と佐野が同時に言った。


 これは予想外だった。


「本当? ありがとう!」


「でも、これで7人か。まだ足りないな」


「私、少し考えていたことがあるんだけどいいかな?」


 月城が手を挙げていた。


「おう、どんどん頼む」


「蓮くんはさ、ちゃんとルールに則った人数を探しているよね? 5対5で10人。流石にそれは難しいと思うんだ。だからね! 今集まっている7人と、それから勲さんを入れた8人を半分にしてやるのはどうかな?」


 頷く皆と違い、勲という言葉を聞いた猿渡の動きが止まった。


 もちろん、勲という単語に反応したのだろう。


 猿渡の父がいると悟られるのは、今は何かまずい予感した。


「猿渡、ルール的には大丈夫なのか?」


 話を振って注意を逸らさなければ。


「…………」


「さわたり〜」


「え? あ、うん、正式にやる訳じゃないでしょ? なら大丈夫だと思う。チーム決めよっ!」



 ──チーム決めの結果はバランスの良いものになったと思う。


 チームAは、俺、佐野、陽子、柳生先輩だった。


 チームBは、月城、猿渡(娘)、八木橋先輩、猿渡(父)だ。


 バランスいい、かどうかは知らないがなかなか良いゲームができそうだ。


「いつやるの?」


 猿渡は右手にメロンパン、左手にペンを持ち、チームやゲームまでにやっておくことをメモに書いていた。


「なるべく早めがいい。バスケ部の練習がとっても大変なのは知っている上で聞くけど、体育館が空いている日はあるか?」


「うーん、無い、と思う。空いたとしても、夜遅くになっちゃうね」


「なら学校外のバスケコートを見つけるしかないな……」


 パンを頬張っていた陽子がモゴモゴと何かを伝えようとしていた。


「陽子分からん」


 俺に目線を送ってくる。


 ──幼馴染なんだからそれくらい分かるでしょ? と言いたいようだ。


 分かるわけないだろ!


 諦めたのか、しっかり口に入っているものを飲み込んでから、水分を口にしてもう一度話し出した。


「ぷはー。1つ知ってる。私がよく通ってる空手道場は公園にあるんだけど、その中にバスケコートが2つあったような気がするよ」


 俺はぱっと思い出した。


「あー!あそこか!」


 小さい頃はよく兄弟で遊んだことがある。


 町の外れにある、木々が生い茂った自然豊かな公園だ。


 物騒な噂はあるが、今は置いておこう。


 しかし、問題は、


「幽霊をどうやってそこまで連れて行くかだよなー。月城、彼を町の外れまで連れて行くのって難しいのか?」


 陽子と佐野の顔が一瞬険しくなった気がする、しかし冗談だろうと思われたのか、2人仲良くそれぞれのパンを頬張った。


「簡単だよ?」


「あっ、そうなの。それじゃあ日付なんだけど、俺は今週の土曜日にしようと思ってる。来れない人は遠慮なく言ってくれ」


「私は大丈夫」

「俺も多分大丈夫」

「私も大丈夫だや」

 ……楽しくなってきて興奮しているのか月城は。


「私もこの日はバスケ部の練習早めに上がるから、大丈夫」


「よし、大丈夫だな。なら猿渡の部活ことも考えて午後2時半にその公園のバスケコートに集合だ!頑張るぞー!」


「「「………」」」


「……ひどい」


 ……せっ、先輩たちには日付の確認を取っているから、場所と集合時間を伝えるだけでいいというところで話はまとまった。



 #####


「あっ」


 と言う間にその日がやってきた。


 午後1時50分。


 ──来るのが早すぎただろうか。


 俺は公園のバスケコートの前にあるベンチに腰掛けている、まだ誰も来ていない。


「バスケかぁ……」


 バスケをやるのは初めてだ。


 いや、語弊があるな。


 ()()()バスケをやるのは初めてだ。


 体育の授業で何回かやったことはあるから、ルールも覚えている。


 ただ、バスケのボールはどうも好きになれない。


 デカくて、硬くて、地味に重く、テニスボールの可愛らしさと比較したらもう。


「よっ」


「いでっ!」


 突如視界の外から現れたバスケットボールが股間にクリーンヒットしてしまい、ベンチから落ちた俺は身を捻らせて悶えた。


「あ、ごめん」


「さ、猿渡か……」


 何笑ってんだこいつ、俺今死にかけているんだけど!!


「蓮君早いねー、いつからいたの?」


 しかもさりげなく名前で呼んでいるし!


「さ、さっき着いたと────」

「っていうのは冗談」


「……えっ?」


 猿渡はベンチの俺が元いた場所の横に腰掛けて、ボールを抱きしめた。


「蓮君なら早く来てると思ったんだー。聞きたいことがあってね」


「……な、なんだ……」


 こっちはそれどころじゃないんだよ!


「今回お祓い部に依頼した幽霊って、私のパパでしょ」


「…………」


「そうなんだね」


 いやそうだけど! そうなんだけど!


 猿渡の顔を見ると、嬉しそうだが、しかし悲しそうな顔をしていた。


 猿渡はボールをさらに強く抱きしめ、ゆっくり俯いてから言った。


「もしかして……私のパパが来るから私を呼んだの……?」


「…………」


 こ、答えたいんだが!


 答えたいんだが、痛みが今一番のピークを迎えている!


 そんな俺の様子も知らず、猿渡が嬉しそうな声でへへっと小さく笑ったのが聞こえた。


 震えているようにも聞こえた。


「……あ…がと…」


「……い、今何て?」

 集中できなくて全然聞き取れなかった!


 もしかしたら大事なことを言っていたのかもしれないのに!


 パパ大嫌いなのー! とか


 まじ蓮君サイテー! とか!


 俺がベンチの前でうずくまっていると、何人かの足音が聞こえてきた。


「あ、蓮君、みんな来たよ?」


「えっ、四月一日君? なんでみっちーに土下座なんてしてるんだや?」


 月城さん!

 違うんですよ!


 というか()()って、なにちょっと興奮しているんですか!


 バスケのことですよね!

 バスケ出来るから興奮しているんですよね?!


「うわ……四月一日君、猿渡ちゃんに何かしたの……」


 この声は八木橋先輩!

 違うんです!


 さっきこいつに大事なところを!


「おい蓮、ナニを頼もうとしてたのか知らないけど、流石に公衆の面前ではどうかと思うぞ」


 佐野、お前は後で殺す。

「○ッキーの限定腕時計」

このネタ分かる人いましたかね?


詳しくはダン・ブラウン著

ラングドン教授シリーズを読んでみてください。

ちなみにシリーズの中ではダヴィンチコードが一番好きです。

映画化もされましたよね。

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