表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

6回目のはじめまして

 その日世界に音が響いた。


 魔剣が空に飛び散り、小さな星となって人々の元へと戻っていったのだ。

 でも、それだけじゃなかった。

 誰も聞こえない、でも、砕け散るような。



 猛スピードで飛ぶ二つの黒い影、その一つは、宙舞う青いるか。

 剣を振りかざし、叫んだ。


「まて! 今度こそ追い詰めたぞ、この世界は僕が壊させやしない!」


 余裕の表情で攻撃をかわしながら黒いローブの男が答える。


「ははっ! もう遅いよ! 既に楔は打たせてもらったからね、時間の問題さ。俺の方は今度こそ退散させてもらうよ、精々頑張るといい。」


 ローブの男はそう言い残すと開いたゲートに飛び込んだ。


「ま、まて!逃がすか!」


 閉まりかけたゲートに青いるかが飛び込む。


 そして夜は何時もの静けさを取り戻した…



 誰もいない真っ暗な街路。


 この時間に外を出歩いているのは私くらいでしょ? とメイド服を着た女は思った。


 カチャカチャ


 真っ暗闇に響く、小さな金属パーツが擦れる音。

 誰にも見つかる訳にはいかない。だから、急いで作業を終えなくては。


 これで6度目……既にあの時から10年は経とうとしている。独りでいることに慣れてしまいそうになっているのが辛かった。

 次に狙うのはその辺の魔物とは違う。紛れもなく人族だ。


 「マイマスター……」


 胸にぶら下げたペンダントをぎゅっと握りしめる。


 もし、この場にご主人様がいらしたら……いったい何度そんなことを考えただろうか。まだ、傍らにいるべき人は、ここにはいない。


(私はシーフじゃないもん、人を拐う(さらう)術なんてわかりません!)


 心の中では、上手く行くかどうか考えないようにするのが精一杯で、それでも不安を振り払って作業を進めた。


 「これでいいよー、誰も引っ掻からないなら他を当たればいいもん」


 誰も聞こえないよう呟く(つぶやく)、これは単なる独り言。

 街路にはあからさまに怪しげな輝きを放つ宝石が取り付けられる。


 きっとかかるとしたら、相当な守銭奴か、あるいは途方もない間抜けか、どちらにせよ期待はできない。むしろ、世界にとって不要な人族を間引くのにちょうどいいかもしれない。



(そうに違いありません! だったら、私は良いことしてるってことですね! 俄然、自信沸いて来ましたよー!)



 未だに姿の見えない自分のご主人様に思いを馳せて、女はこの罠にかかる愚か者のことを期待する決心を済ませる。



 「よし、これで終わり! 待っていて下さいねマイマスター! この私、ちょっとお家に帰ります!」


 そう言うと、女は背中の翼を広げ夜空に飛び出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ