84.神の順位
―リーダー視点―
カルアタ神に案内をされながら、神国の様子を窺います。
少し離れた場所に神や神族がいるようですが、あまり力を持っている者はいないようです。
それにしても、サブリーダーの依頼を無事に済ませられた事にホッとしました。
「なるべく早く調べて欲しい」と、お願いされていましたからね。
しかしアイオン神もカルアタ神も、あの「魔石もどき」に違和感を覚えていたようですね。
私もサブリーダーも気付けなかったので、すこし悔しいです。
ですが2柱も、主ほどではありません!
あの「魔石もどき」を見た主は、少し険しい表情をし「これは魔石では無い」と断言しましたから。
そして、すぐに魔石を結界で覆いました。
なんでも、不穏な気配を感じたそうです。
さすが主です。
神より鋭いです。
ただ、主の言葉にサブリーダーが衝撃を受けてしまいました。
ワザとでは無いとしても、不穏な物を主に渡してしまったのです。
彼の落ち込みようは凄かったです。
今は少し落ち着きましたが、あの「魔石もどき」を作った者を見つけたら……何かするでしょうね。
私は、ただ見守るだけです。
まぁ、ちょっと手伝う事はするかもしれませんが。
それよりも今は命花です。
どんな花なのか気になります。
主も気にしていましたからね。
それは呪界にも、不思議な植物が育っているからだと思います。
もしかしたら、何か関係があるかもしれません。
「んっ?」
神達が集まっているのですが、どうやら我々を見ているようです。
何でしょうか?
少し嫌な視線です。
私が呪界から来たと気付いたのでしょうか?
いえ、それはあり得ませんね。
だって今の私からは、神力と光の魔力しか感じないはずですから。
主の特別な結界は、神ぐらいでは見抜けません!
では、なんでしょう。
彼等の視線から感じるのは、嫌悪感や畏怖ですね。
……凄く、不愉快です。
ちょっと殺気でも送って見ましょうか。
「すまない」
おや?
カルアタ神を見ると、申し訳なさそうな表情で私を見ています。
彼もあの視線に気付いたのでしょう。
「問題ないです」
仕方ないので、カルアタ神に免じて許してあげます。
まぁ、許すのは今回だけですが。
「彼等は、上級神だったのだが俺が中級神に落としたんだ」
……あれが中級?
「だから俺に対して怨みがあるんだと思う」
「なるほど。身の程知らずという事ですね」
「えっ? 身の程知らず?」
カルアタ神が驚いて私を見るので、力強く頷きます。
「えぇ、実力が無かったから上級から中級に落とされたのに怨むなど、愚か者のする事です。ですがカルアタ神は、彼等に恩情を与えたのですか?」
「……えっと」
カルアタ神が戸惑った表情で私を見ます。
気付かれるとは思わなかったみたいですね。
「リーダー。どういう事だ?」
アイオン神は、こちらを見ている神達を見ても分からないようです。
「あそこにいる神達は、どう調べても中級ではなく下級の力しかありません。それを中級にしたという事は、可哀そうと同情したのか、恩を売っておいたのか。まぁ、彼等はそれすら気付いていないようですが」
「はぁ?」
アイオン神が鋭い表情で、カルアタ神を見ます。
どうやら、そんな事をしては駄目だったようです。
これは、余計な事を言ってしまったかもしれません。
「どういう事だ? 全てを正すと言っていたのに」
「それは」
カルアタ神が言葉に詰まり、視線をアイオン神から反らします。
もしかして彼の独断でしょうか?
それは問題ですね。
それにしても、神達の視線が鬱陶しいです。
許そうと思いましたが、ちょっとだけ殺気を送っておきましょう。
行動には結果が伴うものです。
おや?
一番右の神が倒れてしまいました。
おかしいですね。
それほど強い殺気を送ってはいないのですが。
「カルアタ神、説明してくれ」
アイオン神の言葉に、困った表情を返すカルアタ神。
もしかして、独断ではなく誰かが決めた事に従ったのでしょうか?
そうだとしても駄目だと思いますが……何か事情があるのでしょうか?
「カルアタ神、彼等のレベルが中級の条件に当てはまらない事は分かっているのですか?」
「もちろん。ただ、仕方なく」
カルアタ神の様子から、嫌々だった事が分かります。
神達を見た表情から嫌悪感がにじみ出ていましたから。
「上級や中級の条件は何なんだ?」
えっ?
アイオン神の言葉に驚きました。
どうやら彼女は忘れているようです。
一応、神達が持つ記憶装置の共通認識として「条件」が記録されているんですが。
まぁ、学んだのは遥か昔ですからね。
思い出さなくても仕方ありません。
「神の順位分けは、神力の量と濃さで決まるんです」
そして量と濃さを見極めるのは、ある特殊な目を持つ神達だけ。
そしてカルアタ神は、その特殊な目を持つ1柱です。
「あれ? どこかで聞いたような」
そうでしょうね。
アイオン神は切っ掛けがあれば思い出しそうですね。
「説明を続けますね……」
私の言葉に頷くアイオン神。
途中で、思い出して欲しいですね。
説明は面倒くさいので。
「最初に重要になるのは『神力の量』です。決まった量は私にはわからないので100と仮定すると、どんなに濃い神力を持っていても量が100未満の場合は、全員下級神です。そして100以上になると、濃さに関係なく中級神となります。そして上級を目指すなら『神力の濃さ』が重要になって来ます」
アイオン神を見ると、なるほどという表情です。
これは最後まで説明が必要みたいですね。
「上級になるためには、量が200になっても濃さが……そうですね。1から5で説明しますね。量がどんなに増えても濃さが1の場合は、中級神のままです。量が100のままでも濃さが5になったら、上級神となります」
ちなみに中級になれる神力の量は星を安全に作り出せる量となっていますし、濃さは星の維持を安全に出来る濃さです。
「あっ」
アイオン神を見ると、ハッとした顔になり、申し訳なさそうな表情で私を見ます。
どうやらようやく、思い出してくれたみたいです。
「リーダー、済まない。知っていたみたいだ」
「気にしなくていいです」
「それで、さっきの神達は中級神になっているが下級神なのか?」
「えぇ、神力の量から考えてそうですね」
私の言葉に、カルアタ神がため息を吐きます。
「一応、神力の量や濃さは極秘なのだが」
そうですね。
極秘です。
「まぁ、そんな事は気にしないで下さい」
あっ、呆れられました。
「そんな事より、どうして奴らを中級神にしたんだ?」
「今は神が少ないから」
なるほど。
「中級と下級では関われる仕事が異なります。制裁をしていったら、上級神と中級神が思ったより少なくて、仕事が回らない。だから仕事をさせるために、下級神なのに中級神とした。そんなところですか?」
私の言葉に肩を竦めるカルアタ神。
アイオン神は、頭を抱えてしまいました。
「落ち神のせいで、長い間神の順位分けは正しく行われてきませんでしたからね。上級神になれるのは、落ち神にとって利用できる神や、忠誠を誓った神。あとは、強いために上級にしないと不自然な神達だけでした。中級神になる者のほとんどが、落ち神の手の者ばかり。星が維持できずおかしくなった原因の1つですよね?」
カルアタ神を見ると、諦めたように頷いた。
「だから、下級神の訓練が強化されたのか」
それは知りませんでした。
アイオン神を見ると、苦笑されました。
何でしょう?
「なかなか、上手くいっていないけどな」
そうなんですか?
訓練方法を見て、神力や光の魔力での攻撃力のアップを狙いたかったのですが。
「ここです」
ようやく命花が咲く場所まで来たようです。
どんな花なのか楽しみです。




