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異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
周辺の環境は大切です!
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101.色々な変化。

日課になっている浄化を行うため墓場へ行くと、ふわりと風が吹いた。

その風に、優しい花の香りを感じた。

視線の先には、死者の花。

ただし、その花の色は赤ではなく白。

真っ白な花弁を付けた死者の花。

しかも、真ん中の石がキラキラと柔らかな光を出して輝いている。

その光が白い花弁に当たって、とても綺麗だ。


「今日も綺麗に咲いているな」


隣を飛ぶ妖精に声を掛ける。


「本当に、今日も綺麗だね。あっ、あそこの花は昨日まで無かったよ!」


妖精の視線を追うと、新しい死者の花が咲いていた。


あの、桜命名「のろくろちゃん」が出現してから色々な事が変化した。

墓場には、沢山の白い死者の花が咲いた。

ただ、この花は不思議な事に触れない。

触ろうとすると、きらきらと光になって消えてしまうのだ。

なぜこうなってしまうのか、不明。

オアジュ魔神を通してオウに聞いたが、「分からない」と言われた。


そして、一番変わったのは呪詛だ。

呪詛の声は、今までの半分?

いや、半分以下に減った。

しかも時々、問いかけられるような言葉が混ざりだした。

初めて「苦しいの? 苦しいの?」と聞かれた時は、驚いてしまった。

焦って、「ごめん、俺には分からない」と答えてしまったが、正解だったのか不正解だったのか、いまだに答えは出ない。

そしてその日以降、「呪ってみる?」とか「こんにちは?」とか。

いや、「こんにちは」は呪詛では無かったな。

とにかく、これまでの呪詛とは明らかに変わってきた。

呪詛の声がしても、空気が重くならなくなったしな。

そのお陰で、妖精を連れて来ることが出来たのも、変化の1つだろう。


よく分からない変化も1つある。

それは、核の周辺の呪いなのだが、なんといえばいいのか1つの気配がバラバラになったというか。

別々の存在を感じるようになったというか。

とにかく、不思議な感覚を覚えるようになった。

まるで、沢山の存在がそこにいるような感じだ。


それは、のろくろちゃんにも言える。

見るたびに、纏っている気配が違うような気がするのだ。

まるで1日で何度ものろくろちゃんの何かが変わっているような、そんな印象。

まぁ、今のところ害はないので、様子見となっている。


あの初めての遭遇の次の日。

庭から桜の歓喜の声が聞こえた。

慌てて庭に出ると、のろくろちゃんが5匹、桜の周りを飛んでいた。

あの時の桜の喜びようは、凄かった。


最近は、桜と一緒に朝は特訓、昼から勉強と励んでいる。

特訓では武器の1つとなり、勉強の時は机に綺麗に並んでいた。

夕方になると居なくなるので、きっと元の場所に戻っているのだろう。


のろくろちゃんに触れたら、やはり呪いで黒くなるが誰も気にしなくなった。

子供たちだけでなく、最初はちょっと戸惑っていたシュリ達や飛びトカゲ達も。

獣人達は、まだちょっと引いているけど、いずれ慣れるだろう。

いや、慣らされるだろう。


「特に花が増えたくらいで変化は無いな」


まぁ増えていく死者の花が、少し気になるけど。

これは凄く役にたってくれているので、目をつぶる。


いつものように草原の中心に跪き、手を地面に当てる。

すっと地面が消え、闇が広がる。


「みんな、おはよう」


いろいろな存在を感じてからは、姿は見えないが誰かがいると思って挨拶をしている。

目に見える闇に変化はない。

だけど、感じるんだよな。

さまざまな気配を。


それにこの挨拶をすると、気配がざわざわ動いて聞こえてくる呪詛が変わるんだよな。

「おはよう」「きょうもあさ」「くるしい」「つらい」「はがいたい」「しにたい」「ころしたい?」

うん。

今日もまた、意味の分からない言葉が混ざっているな。

というか「はがいたい」とは?

もしかして「歯」?

まさかな。


まだ8割強は、人を呪う言葉とつらいという訴えだけど。

それでも少しずつ変わっていく呪詛に、苦しさから解放されているのではないかと、ちょっと期待している。


「みんな、今日も色々な言葉をありがとう。それと、俺は殺したくないよ。皆と仲良くしたい。そうだ、桜が朝から喜んでいたよ。今日は6匹になったって。ありがとう」


昨日まではのろくろちゃんは5匹だったけど、今日は6匹だった。

桜のテンションが高かったな。

ただ、ちょっと不安になった。

まさか、このままのろくろちゃんが増え続ける事は無いよな?

もしそうだと、困った事になりそうだ。


『ふふっ』


あっ、あの声だ。

呪詛とは明らかに違う声。

今日は機嫌がいいのか、笑い声みたいだな。


「さてと、浄化をするか」


ゆっくりと、地面に触れている手から力を流す。

ゆっくりと確実に闇の中に広く。

身体の中から、どんどん力が抜けていくのが分かる。

ふわりと風が流れ、花の香りが強くなる。

死者の花を見ると、花全体が淡い光に包まれていた。


「ありがとう」


死者の花は3日か4日に1回、浄化の手伝いをしてくれる。

今日のように、花全体が淡い光に包まれると俺の力が増すのだ。


「今日はこのぐらいかな。浄化」


目の前の闇が淡い光に包まれていく。

死者の花が協力してくれた日の浄化の光は、いつもより柔らかい。


『ふふふっ。きれ……』


きれ?

切れとか?


『綺麗、綺麗』


なんだ、綺麗か。

確かに綺麗だよな。

残念な事に、すぐに闇に戻ってしまうけど。


光が消えた空間を見る。

まだまだ呪いは濃く闇は深い。

それでも、変化が起きている。

その変化が、あの場所に囚われている者達から苦しみを取り除いてくれればいいのだが。


「皆、また明日」


地面から手を離すと、スーッと闇が閉ざされていく。


「相変わらず、魔力が空っぽだ」


死者の花に協力してもらえるようになり、浄化の範囲はかなり広がった。

でも、まだまだ。


ため息を吐きながら、寝っ転がって空を見る。

ゆっくりゆっくり魔力が溜まっていくのを感じる。

最近、力の戻りが少しゆっくりのような気がする。

まぁ、それでも他の人よりかはかなり早いのだろうけど。


「限界か」


力を、かなり無茶苦茶に使っている。

だから、いつか何かが起こるかもしれないと思っていたけど。

力の戻りが悪くなるとは。


「まぁ、でもまだ少しだけだし」


まだ大丈夫だろう。


あれ?

そういえば妖精はどこへ行ったんだ?

寝ている状態で、周りを見回す。


「……何をしているんだ?」


見つけた妖精は、花の前でずっとふわふわと飛んでいる。

何か意味があるのか?


「そろそろ座れそうだな」


ゆっくりと体をおこす。

ん?

待てよ。


「魔力の戻りは遅くなっているけど、動けるようになるまでの時間が短くなっているような気がする」


前までは、体に力が入るまでに時間が掛っていた。

こんなに短時間で座れなかったはずだ。


「体は……動くな」


立ち上がれてしまった。

やっぱり、動けるまでの時間が短くなっている。


「効率よく力を使えるようになったのか?」


だから力が溜まってなくても、体が重く感じなくなったという事か。

……悪い事じゃないからいいか。

うん。

身体は重いより、軽く動く方が良いもんな。

よしっ、問題なし!

早く動けるようになるのは、良い事だ。

……たぶん。


「妖精、帰ろう」


「うん」


「死者の花の前で、何をしていたんだ?」


妖精がいた場所の死者の花を見る。

周りの死者の花と特に変わった所は見られない。


「光が一番綺麗だったんだ」


出ている光が一番良かったという事か?

もう一度、振り返って死者の花を見る。


「問題がありそうだった?」


「それは大丈夫」


「そうか」


明日、確かめたらいいな。


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― 新着の感想 ―
[一言] 翔さんが早く安らげますように(>人<;)
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