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異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
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100.そのままで

―闇の中―


気持ちいいな。

これにずっと包まれていたい。

でも、消えちゃう。

悲しい、悲しい。


でも大丈夫。

また来てくれるから。

それに、気持ちのいいモノが増えた。

すこし、すこし増えている。

気持ちのいいモノを運んでくる声。

あの声が……。

なんだろう?


むかし……むかし?

そう、ずっとずっとむかし。

……がいっぱいだった。

……?

今は、くるしいが、いっぱい、たくさん。

でも、少しずつ変わっていく。


ずっと、どこかへ出たかった。

たぶん、そう。

でも、もうここでもいいや。

だって、ここにも気持ちのいいモノが届くようになったから。

それだけでもいい。


でも、本当はあの声の傍に行きたい。

行けたらいいのに。

行こうとしたら、何かが邪魔をする。

壊そうとすると……まっくろになる。

真っ黒は駄目!

なにが?

……分からない。

でも、まっくろは駄目。


会いたい、会えないかな?

会えるようになればいいのに……。


ふふっ。

ん?

誰かが笑っているの?

えっ、誰かって誰?


あれ?

なんだろう、みえる?

みんなが、みえる。


一緒だったのに、バラバラだ。

あっ、ゆっくり消えていく子がいる。

でも、嬉しそう。

そうか、もう苦しくないんだ。


みんな、消えた方がいいの?


ああ゛、それはやだぁ。

また黒くなっている。


会いたいな。

何か知っているかな?

会いに行けないかな?


みんなで行ったらこわいこわい。

でも、もしかしたら。

いや、変わらない。

ふふふっ、会いたいね。

会いたいね。


あれ?

ここ、どこ?

真っ暗なあそことは違う。

なんだろう、これは……ひかりだ!


「……これ、何か……るか?」


この声、知っている。

会えた?

もしかして会えた?

あっ、こわい、こわいこわいこわいこわい、また拒否される!

いやだ、いやだ。

会えたのに。


「……どうしたんだ? こ、用事が……?」


目の前にいるのに聞こえない。

でも、拒否してない。

拒否してない?

してないね。

うん。

みんな、拒否されていないみたい。


「うわっ」


あぁ~、やっぱり駄目? 

だめだめだめ。


怖いけど、この声の人をちゃんと見たい。

そう、見たいんだ。

ずっと、ずっと見たかった。

だって、気持ちのいいモノを運んでくれたから。


あっ…………おれが、わたしが、みんながちゃんと見えている。

見てくれている。


だれも、見てくれなかったのに。


ん?

あれ?

他の皆はどこ?

一緒にいたみんながいない。

離れちゃった?


「……森に、いるのか?」


あっち。

みんな、きた、おこる?

どうしよう。


「目、1つ」


1つ……1つ。


届いた!

目、1つにした方が良いの?

お礼に少しだけ。


「お前、目の数を自由に変えられるのか?」


『……うん』


僕は分かるよ。

でも、もう時間が無いけど。

気持ちのいいモノをありがとう。

ようやく、ここから離れられるんだ。

あの苦しみから解放してくれてありがとう。

残った子達をお願いします。


『…………』


「俺の言っている言葉が理解出来る?」


『……んっ……』


ごめんね、もう逝くね。

本当に、ありがとう。


あっ、消えた。

消えちゃった。

でも、ぽかぽかしてる。

そうだ、これはいいモノだ。


「……なんだ? 呪い……」


のろい。

その言葉、いや。

なんだか、すごくいや!


「……森で…………」


みんな!

なになに、なにかあったの?

離れた子、みんな……ちがう、あたたかいね。

みんなの近く、あたたかい風。

会ってみたい。

ん?

みんなで行く。


いた、みんな……おおきい。

あの風はどこ?

どこ?

いた?

いない……いたよ。


「主だ~! 見て……れた」


怒っている!

拒否、きょ……?

あの子からあたたかい風、気持ちのいいモノに似ているね。

みんな、うれしそう。

この子。

他の子もあたたかい風。

ふわふわする。

ふわふわ、ふわふわ、うれしい。


そう、うれしい。

これ、うれしい。


「あそぼう!」


みんな、わたし、おれ、拒否されない。

みえている。

ちゃんと、見てくれている。


そう、見てくれて認めてくれた!

呪いでもいい。

呪いでも認めてくれた。

見てくれた。


「あそぼう」


あそぶ。

ん、あそぶ、なに。


「桜、追いかけっこに黒い呪い……なんていえばいいんだろうな」


くろいのろい、俺、私?


「のろくろちゃん」


きこえる?

よく分からないけど、聞こえる。


「のろくろちゃん? 桜、それはもしかして名前なのか?」


「そうだよ。だってこんなに可愛くてカッコいいんだから、名前も可愛くてカッコよくしなくちゃ」


「桜が、俺並みにネーミングセンスが無いなんて」


「ん? 主、何か言った?」


「いや、でも呪いだしな」


のろい、わかる。

だめなこと。

きらう。

やっぱりだめ。


「別にそんな事はどうでもいいと思う」


「えっ?」


「だって、触って呪われても浄化したらいいだけだし。それに、この黒くて可愛い目がいっぱいの子を拒否するなんて、ありえない!」


なんだろう、すごく、すごくうれしい、いいきもちになる。

この子の傍に来ると、暖かいふわふわがいっぱい。


「桜はそうとう気に入ったんだな」


「そういう翼も、この子達の事は結構好きだろ?」


「太陽、当たり前じゃないか。俺は不思議な存在が大好きだ!」


あっ、暖かい風が増えた。

増えた。


「主は、呪われた時の心配をしているの?」


「まぁな。桜は全く気にしてないみたいだけど、ウサも気にならないのか?」


「ん~、特に気にしないかな。だって浄化の訓練になるし。それにね。この子達から攻撃的な気配をまったく感じないの。ただちょっと興奮した時かな? 呪いの気配が濃くなるけど、それぐらいだし。触られて呪っちゃうのは、個性と言う事でいいかなって」


「こ、個性か」


あたたかいな。

あたたかくて気持ちいい。


「まぁ、皆が気にしないならいいか。確かに、この子からは苦しみが伝わって来ないんだよな」


「苦しみ?」


「そう。この世界の為に犠牲になった者達が、この世界の中心に閉じ込められて今も苦しんでいるんだ。呪いは苦しみを生む物だと思っていたけど。でも、この子達は、苦しんでいないよな。それなら、このままでも大丈夫か」


あっ、そろそろもどるみたい。

もっと、みんなと暖かい風を感じたいのに。

もっと、もっと、もっと。


「あっ、消えそう!」


「そんな! 帰っちゃうの? まだ見ていたかったのに! また来てね! 絶対だよ! そのままでいいからね」


「桜。必死過ぎるだろう」


「煩い、雷。絶対だよ」


だめだめ。

なんだろう、この子、俺に私にみんなに手を伸ばして来る。

だめだよ。

触れたら、きっと、きっと。

えっ、だめだめ。

ふれちゃう!


あぁ、触れちゃった。

あぁ、黒くなっていく。


「大丈夫。浄化! ほら!」


あれ?

あれ?

あれ?

あれ?


「またね。ぜったいまた会ってね。と言うか、すぐに会いに来てね!」


あれ?

あれ?

あれ?

あれ?


あれっ、ここは真っ暗。

戻ったんだ。

ここに、気持ちのいいモノはない。

でも、ふわふわぽかぽかが、残っている。


ふふっ。

不思議なところ。

あたたかい、あぁ温かい。


あれ、ねむい。

どうしてだろう。

眠たいの。

これはずっと、ずっと、ずっと昔に忘れたはずなのに。

だって、いらないから。

これをしたら、みちゃうよ。

なにを?

何を見るからやめたんだろう。

また見るかな?

嫌だな。

でも、眠い。


『このままでいいって。違う、このままがいいって。優しい場所。不思議な存在。皆でまた行こうか』


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― 新着の感想 ―
[良い点] 良いお話でした。次回も楽しみに待ってます。頑張って下さい。 [一言] コミカライズ買っちゃいました。
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