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異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
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54.オルサガス国 ハーフの騎士4

―オルサガス国 下っ端騎士ナピスラ視点―


オップル総隊長が膝を突く姿に呆然とする。

あんなに恐れていた人物が、こんなに呆気なく潰れるなんて。

しかも、オップル一族の隠れ家を把握し呪具の設計図まで確認しているなんて。


「凄すぎるだろう」


「そうでしょう?」


えっ?

今の声は誰だろう?

初めて聞いた声だったよな?

ん?

傍にいるのは……アビルフールミ。

そう言えば、リーダーからは親アリさんと呼ばれていたな。

いや、まさかね?


「リーダーは、ちょっと行き過ぎな部分が……主に対してはかなり行き過ぎていますが、主が絡まない限りは優秀です。まぁ、ちょっと天然なところもありますが」


アビルフールミだった。

それより天然?


「そうなんですね。あの、運んでくれてありがとうございます」


お礼を言うのを忘れていたな。


「いえいえ、なるべく揺れないように運びましたが、大丈夫でしたか?」


「はい」


なんだか、凄く丁寧なアビルフールミだな。

もっと凶暴なイメージだったけど。


あれ?

謁見の間から出ようとしている者達がいるな。

王の許可は出ていないよな?


「おや、どこへ行くのですか? 帰るのですか?」


リーダーの言葉に、隠れながら移動していた貴族数名が飛びあがったのが見えた。

驚くと、本当に体が浮いたりするんだな。

あれは、物語の中だけだと思っていた。


「いえ、あの……我々は――」


「許可は出していないが、どこへ行くのだ? アルミス。トオリア。アッガテ」


3人は王の言葉に下を向いた。

周りは気付かなかったみたいだが、睨みつけるように王を見た事に驚いた。


「アルミス? トオリア? アッガテ? どこかで聞いた名前ですね。どこでしょう?」


リーダーの言葉に、3人が勢いよく顔をあげる。

項垂れていたオップル総隊長も、微かに肩が揺れたような気がした。


「あぁ、思い出しました。オップル一族の情報は多いので思い出すまでにちょっと時間が掛ってしまいました。すみません。しかもバッチュが、毎日、毎日オップル一族の情報を持って来るので、情報を更新するのが大変なんですよ」


もしかして森の神は、オップル一族を集中的に調べているのか?

しかも今の言い方は、バッチュという専任がいるような感じだった。


「彼ら3人は、オップル一族が隠し持っている配下と言うべきか手下と言うべきか分かりませんが、オップル一族のために動く一族ですね。アルミス・オトルのオトル家と、トオリア・パチュリのパチュリ家は主にオップル一族に反感を持つ者達を暗殺する一族です。アッガテ・ミシェは……オップルのために動く事は報告がありましたが、まだ詳しくは調べきっていないですね。アッガテはどんな仕事を請け負っているんですか?」


いま、凄い事を聞いた気がする。

気のせいかな?

気のせいだよな?

だって、間違いなくオップル一族の闇の部分だったよな?

それをまさか、あんな普通の事を言うように言うだろうか?

しかも最後、本人に仕事内容を聞いたよな?

あれ?

耳がおかしい?

それとも頭か?


「違います! 我々はオップル一族とは関係ありません! 違うのです。本当です。王よ、信じてください」


うわっ、びっくりした。

声をあげたトオリアという貴族を見る。

血の気が引いた顔で、王に向かって何度も違うと叫んでいる。

王を見ると、なんとも言えない表情をしてリーダーを見ていた。


「違う? 何が違うのですか? 8日前にもあなたの母親であるトオーラ当主が、バチュテ当主に『2人処理しましたので、もう大丈夫です』と、木の実と肉のパパという店の個室で会って報告したではないですか。だから間違いなくパチュリ家はオップル一族の駒ですよ。トオリアも既に、オップル一族のために仕事をしているでしょう?」


木の実と肉のパパ?

その店は噂で聞いた事があるな。

確か凄い高級店で、一度は行ってみたい店ランキングで毎回上位だったよな。

そんな高級店で、処理とか不穏な会話がされているんだ。

怖いな。


「えっ……なぜ……」


トオリアがその場に座り込み、怯えた表情でリーダーを見る。

その視線を受けて、じっとリーダーがトオリアを見返す。

バタン。

あっ、トオリアが倒れた。


「どうやら興奮のし過ぎで、意識が無くなったみたいですね。まぁ、ゆっくり休めば大丈夫でしょう」


ちょっと違う気がする。


「さてアッガテ、あなたはどんな仕事を請け負っているんですか?」


あっ、話が戻った。


「リーダーは、気になる事があると、分かるまでしつこいよね。アッガテだっけ? とっとと答えた方がいいよ。今隠したって、どうせバッチュが調べているから分かる事だし」


あんちゃんが呆れた表情でリーダーを見ると、リーダーはちょっと不服そうな雰囲気になった。


「しつこくないでしょ。ただ、知りたいだけです」


つまりしつこいんだな。

アッガテを見る。

たぶん、逃げる方法を探しているんだろうな。

もう、諦めたらいいのに。


「アッガテ。早く言ってしまった方がいい。色々と知られているみたいだからな」


不意に声をあげた男性に視線を向ける。

服装から、彼も貴族のようだ。


「煩い。黙っていろ、バンガロス」


「バンガロスは、アッガテの地位を狙っているらしいですよ。ただ、オップル一族からはあまり信頼を得ていないようですね。過去に何かありと書いてありました」


リーダーは、どこまでこの国の事を知っているんだろう?

王を見ると、頭を抱えている姿が見えた。


「えっ、いや、違いますよ。アッガテの地位なんて狙っていませんし過去については既に償っています」


バンガロスは首を横に振って否定するが、アッガテに睨まれて視線を逸らしている。

というか、バンガロスは今の言葉でオップル一族と関わりがあると言った事に気付いているのかな?


「黙れ、お前たち!」


謁見の間にオップル総隊長の大声が響き渡る。

彼は立ち上がり、ぶるぶると震えている。

そして、下げていた視線を上げてアッガテとバンガロスを睨みつける。


「黙れ」


「なぜですか?」


ん?

リーダーがオップル総隊長の前まで行き、腕を組む。


「なぜ黙る必要があるのでしょうか? 質問に答えてもらっていないのに」


あんちゃんが言うように、確かにしつこいのかもしれない。


「リーダー殿、失礼いたします。私はオルサガス国の宰相を務めるグルアといいます。リーダー殿にお手を煩わせてしまい申し訳ありません。罪人の確保をしたいのですが宜しいでしょうか?」


「罪人? あぁ、彼らの事ですね。どうぞ、構いませんよ。私は部外者なのですから気にする必要はありません」


いや、一番気にすると思う。


「ありがとうございます。騎士団長。オップル、アルミス、トオリア、アッガテ、バンガロスを捕まえてください。アルアは騎士団長と一緒に行って、尋問の手配をして下さい」


「はい」


あの人が宰相なのか。

威厳があるな。

隣にいるのが、右腕と言われている弟のアルアかな。

謁見の間にいた騎士達が、今呼ばれた者達を縄で縛る。

少し抵抗を見せたが、アルメアレニエに傍に寄られ腰を抜かしていた。

騎士の中にも、腰を抜かした者がいたがそれは、まぁしょうがない。


「グルア。アルアに任せると、捕まえた者達が全員殺されるかもしれませんよ?」


「えっ? ……なぜですか?」


宰相の眉間にくっきりと皺が出来るのが見えた。

そして、アルアを睨むように見た。

睨まれたアルアは、体を震わせながら数歩後退る。


「アルアという名前は、10日ほど前の報告書で見ました。彼はオップル一族のバチュテと契約を交わしています。王の周辺とグルアの周辺の情報と引き換えに、邪魔な存在を始末してもらっているんです。最近では騎士団に、自分の命令に従う手駒が欲しいとお願いしてましたね」


あっ、宰相から魔力があふれ出した。


「お前だったのか、我々を裏切っていたのは!?」


「ひっ、あっ、ちがっ」


こわっ!

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― 新着の感想 ―
[一言] やべーよ全員処罰したら組織が穴だらけだよwww まあ、ほっとく方がよほど有害だから処すしかないんだけど。
[一言] 400話おめでとうございます。 リーダーが厭味なく純粋に疑問に思って尋ねてたり、知ってることを全部ぶちまけているのが面白すぎます笑。 有能な部下がいる国との対比が凄い。心底王が気の毒でならな…
[良い点] ゴーレムさん達有能過ぎる しかも個性的な性格のせいかみんなキャラが立ってて好き [気になる点] 陛下の周り、まともな人材残るんだろうか 陛下とグルアこそ有能なゴーレムさんが必要… [一言]…
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