39.巨大な虫…糸を巻き巻き
巨大な虫が一斉に視線を向けた。
…逃げたい。
なぜここに?
…親玉さんに何かしたかな? 俺。
いろいろ頭の中を駆け巡っている間に、親玉さんが巨大な虫の1匹を俺の前に持ってきた。
サイズは120㎝ぐらいある、本気で逃げたい。
しかしここは親玉さんを信じて、この子は大丈夫…きっと。
「ぅわ!」
とっさに腕で顔を守る。
巨大な虫から何かが俺に向かってきた…攻撃?
攻撃が収まったので腕を下ろすと…?
腕に無数に絡んだ白い――
「糸??」
腕には無数の糸が絡んでいる。
…なるほど糸か。
確かに糸がほしいと言ったな。
…攻撃ではなかったのか、びっくりした。
俺が想像したのは綿のような糸になる素材。
現実、糸を吐く巨大な虫。
…まぁ糸にする手間が省けたと思えば…きっと納得できるはず。
親玉さんが忙しなく動いて糸を回収していった。
何だろう?
……
巨大な虫を家に持って帰ることにする。
一緒に来ていたチャイとクロウの背に巨大な虫、各2匹。
…なんだか見た目が…
様子を見ていると、巨大な虫は親玉さんの指示に従っているように見える。
不思議な光景だな。
家に帰ってさっそく巨大な虫の糸部屋を2階に作成。
エサとなる葉も一緒に持って来たので部屋の一角に置く。
糸として使うのに必要なものを考えて作っていく。
重要な糸を巻きつける棒。
あとは…岩人形を新たに2つ作成。
糸を巻いて巻いて~
よろしくお願いします。
岩人形が動き出した。
巨大な虫は岩人形が近づいたときにビビっていた。
可愛いのに、今度の岩人形は目を三つ目にしてみた。
通常の場所と額の部分に一つ。
仕事別でなんとなく。
学生の頃に日本の妖怪にはまっていた、懐かしい。
順調に巨大虫から糸が棒にクルクル。
クルクル、クルクル。
うん、糸を確保した。
糸はなめらかでかなりきれいな糸だ。
服にするのも岩人形にお願いすればできるはず…
ただし、その工程をどうすれば?
編み物の工程なんてまったく思いつかない。
糸が絡み合っているイメージしか思い浮かばない。
ベッド以上の難題が…。
……
すごい、ベッド作成チームの岩人形。
なんだか俺が想像していたより、しっかりしたベッドが出来上がっている。
しっかりとした木枠の中にしっかり組み込まれた横板。
風通しの隙間もあるすのこタイプ。
俺がのってもびくともしないロータイプベッド。
しかも、コアたちの分まで。
ん?マットレスがないから隙間があったらダメでは?
急いで板を加工して岩人形に仕上げてもらった。
ごめん、俺のイメージミスです。
1体の岩人形が、座っている俺の肩をたたいて励ましてくれた…あれ?




