表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
周辺の環境は大切です!
381/672

35.神秘的だ。でもなぁ。

無事な姿を目にしてホッとした瞬間、体から力が抜けた。


「会えた~」


ん?

嬉しいのか、凄い勢いでこちらに駆けて来る親蜘蛛さん達。

待て、ちょっと勢いが凄くないか。

止まれるのか?

いや、止まる気があるのか?

無いよね!


「身体強化!」


ドゴッ。


「ぐっ」


強化をした体に響く振動と衝撃。

身体強化が、間に合ってよかった。

本当に、よかった。


「加減をしろ!」


バチッ!

バチッ!

バチッ!

バチッ!


親玉さんの怒った声に視線を向けると、お尻を叩かれたのか後ろ脚でお尻をさすっている4匹の姿が見えた。


「ごめんなさい。嬉しくて」


親蜘蛛さんがそっと俺の顔を見る。

ほとんど表情が変わらないのに、しょぼんとしている様子が分かるのが不思議だ。


「ははっ。まぁ、いいよ。無事でよかったよ。怪我とかしてないか?」


「大丈夫です」


親蜘蛛さんの頭を撫でると、嬉しそうにお尻がちょっと揺れている。

それがまた可愛い。


それにしても、まだ体がじんじんしているような気がする。

強化してても衝撃は響くんだなぁ。

もし間に合わなかったら……考えるのは止めよう。

恐ろしい。


周りを見回す。


「ここが見習い達が作った、地下神殿か」


最初に目に飛び込んできたのは、白い石で作られた建物とその建物を囲うように広がる湖。

湖の向こうはよく分からない。

きらきらと何かが輝いているという事だけは分かるが、見ようと思っても見られなくなっている。

なんとも不思議な空間だ。


「それにしても、見た事がある建物なんだよな」


少し離れた所に立っている、白い柱が並んだ建物を見る。

教科書で見たし、テレビでも見た事があるな。

ギリシャにある……えっと。

パ……パルム、ロン?

ちょっと違うような気がするな。

パルムオン?

パルテラン?

パルテノン……。


「パルテノン神殿だったか?」


一番しっくりくる、ような気がする。

他国の歴史なんて興味なかったからな。

正確には勉強が苦手だったんだが。

でもたぶん、パルテノン神殿で正解のはずだ……おそらく。


「似てるよな」


テレビで見たパルテノン神殿はあちこち崩れていたけど、こっちのは崩れていないな。

建物に近付こうと歩き出すと、目の前にさっきまで遠くに見えていた建物が現れた。

あれ?

そんなに歩いていないのに、なんで建物の傍に来てるんだ?

何かの魔法か?


「どうした?」


「一気に建物まで来たから、何があったのかと思って」


後ろを振り向くと、さっき立っていた場所が遠くに見える。

やっぱり、一瞬で建物に近付いたようだ。


「先ほどいた場所からここまで、一気に移動できる魔法がかかっていたようだ」


親玉さんの言葉に、なるほどと頷く。

だからいきなり目の前に建物が現れたんだな。


「変な空間だな」


「そうだな。まぁ、驚かせる効果はあるだろうな」


驚かせるか。

神秘的な印象を与えたかったのかもしれないな。


「随分とデカいな」


親玉さんが建物を見上げるので、その隣に立って同じように見上げる。


「そうだな」


遠くからでは分からなかったが、1本1本の柱も大きく威圧感がある。

しかも真っ白なので、神秘的ですらある。

作ったのがあいつ等でさえなかったら、心の底から感動できるんだけど。

残念ながら、あいつ等が作ったんだよなぁ。


柱が気になったので、傍に寄ってみる。

縦にデザインが施されていて、近くで見ても壮観だ。

ん?

あれ?


「うわっ、なんだこれ!」


真っ白な石で出来ていると思ったけど違う!

傍で見ると、半透明になっている。

しかも半透明の柱の中に、何かがいる。

テニスボールほどの大きさの青いふわふわしたものが、柱の中を泳いているのが見える。


「これは凄いな。泳いでるのか? 生き物か?」


俺の興奮した声に、コアやチャイも柱の傍に来て中を覗き込んだ。


「確かに生き物がいるが、これはなんだ? チャイ、分かるか?」


「分かるわけないだろう? ふわふわしてるな」


コアとチャイが不思議そうに首を傾げてじっと柱の中を見る。

2匹は知らないようなので、水色を探す。

水色は龍なので、何か知っているかもしれない。


「水色、柱の中のこのふわふわ泳いでいるものが何か分かるか?」


「ん~、たぶんこれは妖精だと思う」


えっ、妖精?

これが?

もう一度、柱の中を見る。

青いふわふわした……妖精? らしきものが、泳いでいる。


「あぁ、これが妖精か。こんな姿をしているのだな」


コアの言葉にチャイや親玉さんが頷いている。

どうやらコア達は、妖精がいる事は知っていたが形までは知らなかったようだ。


「これが妖精。……妖精って、人に近い形をしているイメージだったんだけど」


小さくて、人の姿に似ていて羽があって。

まぁそのイメージは、妹と一緒に見ていたアニメの中の妖精なんだけどな。

そういえば、この世界の精霊もアメーバみたいな姿だったな。

アメーバには目と口があったけど、この妖精にはあるのかな?


「妖精には、目や口はあるのか?」


「ある。ただ妖精の口は気を付けた方がいい」


気を付ける?


「牙が2重に並んでいて鋭いし、噛みつかれるとなかなか離れなくて大変な目に合うんだ」


水色の言葉に首を傾げる。

えっと、それは妖精の話なのか?

2重に並んでいる牙とは、何?

妖精には、そんな口があるのか?


「妹が知ったら、ショックを受けるんだろうな」


それに、噛みつかれると離れないって凄いよな。

凄い傷になりそう。

というか、それだけで済むのか?


「指だったら引きちぎられたりして」


「いや、それは無い」


良かった。


「奴らの顎は強い。だから一瞬でかみ砕く」


本当の妖精は、凄く恐ろしい生き物なんだな。

テレビの前で、「あの妖精の笑顔、最高! 可愛い!」と言っていた妹よ。

現実はシビアだぞ。

そう言えば、ウサギの獣人も可愛らしいとは随分と違い強面だったな。


指をかみ砕く妖精か。

妖精には、絶対に近付かないようにしよう。


「主、どうしたんだ?」


親玉さんが不思議そうに俺を見る。


「ははっ。ちょっと衝撃を受けただけだ、大丈夫」


俺の言葉に、皆が首を傾げる。


「俺の知っている妖精と、本当の妖精の姿がかなり違ったから、驚いたんだよ」


「主の知っている妖精はどんな姿なのだ?」


コアが興味津々という表情を見せる。

チャイも耳がぴくぴく動いているので、興味があるようだ。

似たもの夫婦だな。


「小さい人みたいな姿で羽があるんだ」


「その姿の妖精もいるが、主はその妖精をどこで見たのだ?」


「えっ? 人型もいるのか?」


水色の言葉にちょっと興奮してしまう。

やはり、馴染みは……それほどないが、妹が可愛いと言っていた妖精も、見てみたい。


「あぁ、いる」


そうなんだ。

可愛い妖精もいるのか。


「実際に妖精は見た事は無いが、俺が前にいた世界では、想像の産物として人型の妖精が登場する物語があったんだ」


「そうか。随分と恐ろしい物語があったんだな」


……恐ろしい?

それって人型の妖精が登場するから出た言葉だよな。

えっと?

人型の妖精って、恐ろしい生き物なのか?


「人型の妖精は、なんでも食べるからな」


たべる?

それって……世の中、知らない方が良い事もあるよな。

うん。

妖精がどんな姿をしていても、近付いては駄目という事だけ、覚えていよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 待機してるはずのコアとチャイが一緒にきてますよー
[気になる点] 三十四話でお留守番になったコアとチャイが一緒に来ている
[一言] 人型妖精 DODの赤ん坊思い出したわ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ