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異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
周辺の環境は大切です!

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32.ほどほどに

授業が始まって、10日目。

特訓と勉強。

両立が出来るのか心配だったけれど、特に問題はないようだ。

毎日楽しそうに、午前は広場で大暴れして、午後は大人しく勉強している。

運動した後の勉強だったので、寝てしまう子がいるかもしれないと思ったが、それも無し。

本当にいい子達だ。


「勉強は、楽しいか?」


夕飯の時間になり、集まって来た子供達に聞いてみる。


「「「「「うん」」」」」


元気に答える子供達に、笑みが浮かぶ。

年齢が少し上だったので心配したが、光、ウサ、クウヒも笑顔で頷いてくれた。

これなら心配する必要はないな。


「そうか。よかったな」


一つ目達が用意してくれた夕飯を囲んで食事が始まると、翼が楽しそうに話しだした。


「今日は、この世界の国について教えてもらったよ」


今日の当番は翼か。


「そうか。どんな国があるんだ?」


子供達の発表も、ここ10日の間で少し変化を見せた。

どうも話す順番が出来たようなのだ。

変化があったのは、授業が始まって4日目。

それまでは全員で話していたのだが、風太が1人で話し出したのだ。

「あれ?」と思って他の子達の様子を見るが、楽しそうに風太の話を聞いている。

そのまま様子を見ていると、残りの子達がフォローに回っている事に気付いた。

なんて、いい子達なんだ! とこっそり感動してしまった。


「人の国は、エンペラス国と言って。王様は……えっと」


翼の視線が少し彷徨う。


「ガンミルゼ王だよ」


「そうそう、ガンミルゼだった」


紅葉がそっと翼に言うと、翼が何度も頷く。

可愛い。


「そうなんだ」


「そう、このガンミルゼ王は獣人の奴隷制度を撤廃した立役者で、凄く決断力のある人なんだよ。で、森の神が何度もガンミルゼ王を守ったから、森の神に守られていると言われているんだ」


ん?

森の神に守られている?

森の神って俺だよな?

俺が何度も助けた?

いつ?


「主、どうしてガンミルゼ王を助けたの?」


桜の質問に笑顔を返す。

知らない。

一切、そんな記憶はない。

でも、そう思われていた方が良いのか?

奴隷制度を撤廃した立役者なら、恨まれているだろう。

俺が守っているという事で、狙われる回数が減るなら下手な事は言わないほうがいいよな。

王が殺されたら、エンペラス国が不安定になるかもしれないし。


「エンペラス国に必要な人物だったからだ」


「どこが?」とか「どうして?」とかは、聞かないでくれ!

答えられないから!


「遠い場所の人の事まで主は分かるんだね。凄いな」


紅葉の言葉に胸がチクチク痛む。


「はははっ」


「主の言う通り、彼はエンペラス国に必要な人物です。判断力、決断力、そして何より人を見抜く力。すべてにおいて最高です」


一つ目の言葉に、頭の中で拍手喝采する。

ありがとう一つ目のリーダー、素晴らしいフォローだ。


「ガンミルゼ王がいるなら、エンペラス国は大丈夫だね」


太陽の言葉に、一つ目が首を横に振る。

えっ、違うの?


「王都周辺は、王の監視がよく行き届いているので問題ないですが、森の周辺の村には不安要素があります。未だに奴隷制度を復活させたいと思っている者達がいるんです。徐々に王都の近くの貴族に手を伸ばしています」


はっ?

そんな者達がいるのか?

ウサとクウヒに視線を向けると、ウサの手がギュッと握られている事に気付いた。


「屑どもが」


ウサに不安を与えやがって。


「「「「「……」」」」」」


ん?

子供達が戸惑った様子で俺を見つめている事に気付く。

あ~、失敗した。

不安を与えてしまったかな。

えっと。


「ガンミルゼ王が、そんな屑……不穏な存在の事を把握すれば、何とかしてくれるさ。だから、二度と奴隷制度は復活しない」


屑どもは王都の貴族に手を伸ばしていて、王都周辺は王の監視がしっかりしているんだろう?

それならいずれ、ガンミルゼ王が彼らの事は把握するはず。

時間は少しかかるかもしれないが、問題は解決されるだろう。


「分かりました」


分かりました?

不思議な返答をした、一つ目のリーダーを見る。


「大丈夫です、主。ガンミルゼ王には優秀な宰相のガジーがいますから」


「そうだな」


良く分からないが、優秀な人物が仲間にいるなら大丈夫だろう。

仲間は大切だからな。

それにしても、奴隷制度か。

二度と、ウサたちの様な子供達を作って欲しくはないな。


「あの、主?」


あっ、翼の発表の途中だったんだ。


「邪魔をして悪い。他にはどんな国があるんだ?」


ホッとした様子の翼に、悪い事をしてしまったと反省する。

最後まで話は聞かないとな。


「えっと、獣人の国はエントール国と呼ばれていて、王様はエスマルイート」


エスマルイート王か。

にこやかで、抜け目のない雰囲気だったな。


「昔は森とすごくいい関係が築けていたんだって。森の王とも親しかったらしいよ」


「そうなんだ。それは知らなかったな」


仲が良かったのか。

昔の様な関係に戻れるかな?


「あと、獣人は穏やかな性格の人が多いんだって」


翼の言葉に、ダダビス達を思い出す。

確かに、穏便に事を納めようとしている気はするな。

ただ、穏やかかと聞かれると少し違和感がある。


「エントール国は、今の王様になって生活水準も上がって安定しているんだって」


エンペラス国のように、不安要素は無いという事かな?


「そうでもありませんよ。エントール国の貴族の中に、エンペラス国に対して怒りを抱いている者達がいます」


獣人達を奴隷にしていたから、それは仕方のない事かもしれないな。

というか、一つ目はちょっと黙ってよう。


「彼らは――」


「一つ目、後で詳しく教えてくれないか?」


「はい?」


話を切った俺を、不思議そうに見る一つ目。


「この時間は、翼の話を聞きたいから」


俺の言葉に頷く一つ目のリーダー。

分かってくれたみたいだな。


「彼らは何? 彼らがどうしたの?」


風太、終わらせようとしたのに……。


「えっと……」


困った様子で俺を見る一つ目。

苦笑して翼を見ると、風太のように興味津々の表情で答えを待っていた。


「続きを頼む」


今日の説明係の翼が聞きたがっているんだから、仕方ない。


「彼らは問題ありません。ですが彼らを利用して、エントール国を乗っ取ろうとしている者達がいるのは問題です」


げっ、国の乗っ取りの話になった。

マジで?


ガシャン。


うわっ、びっくりした。

誰だ?


音が聞こえた方に視線を向けると、顔色を悪くした獣人達が一つ目のリーダーをじっと見ていた。

あ~、もしかして極秘情報だったのか?

それは悪い事をしてしまったな。


「それは、本当ですか?」


ダダビスの声が震えている。


「何がですか?」


「国を乗っ取ろうとしていると」


ん?

……まさか、乗っ取りの話を知らなかったのか?

それだとビックリだろうな。


「本当です。主犯格は残念ながらまだ不明です。ですが、エルフの国に匿ってもらっている、エントール国の元宰相ヴィスルイが仲間である事は分かっています。ヴィスルイの仲間が、エントール国内で色々と暗躍していますね。一部の者達の間で、人を奴隷紋で縛り人同士で戦わせるという話まで出ていると聞きました」


最悪だな。

というか、一つ目のリーダーさん。

どうしてそんな重要な情報を知っているんだろう。

まさか、エントール国に不法侵入なんて……してるんだろうな。

確実に。

おそらく他の仲間達も。

まぁ、バレないようにほどほどにと後で注意しておこう。


あっ、翼の話が途中だったけど大丈夫かな?

うん、大丈夫そうだ。

というか、バッチュに不法侵入の方法なんて聞かないの!

バッチュも、面白可笑しく話さない!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 読みやすく流れがとても良いです。 [一言] いつも楽しんで読んでます。 一つ目リーダーカッコいい‼️
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