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異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
周辺の環境は大切です!
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29.モモとスミレは健康です

えっと、これはどうしたらいいんだ?

ダダビスとギルスに呼び止められたのは、別にいい。

用事がある時は、気軽に声を掛けて欲しいから。

だが、片膝をついて謝られた場合はどう反応するのが正しいんだ?

「よきにはからえ」とか?

いや、冷静になれ。

これは武士語で任せるという意味だし、騎士とは全く関係ない!


「えっと、怒ってはいないから、立ってくれ」


そう、とりあえず立って!

周りから、視線を集めているから。

キミール達も焦ってるぞ。


「しかし」


「本当に、問題ないから。まだ、何も起こってないしな」


ダダビス達は戸惑った雰囲気だが、その場に立ち上がってくれた。

良かった。


「まぁ、彼については……」


やばい。

今は調べている最中だと言っていたから、何も考えてない。

ここで下手な事を言ったら、気にするよな。


「とりあえず様子見という事にしているから」


子供達を手懐けるみたいだけど、絶対に無理だし。


「あっ、場所を変えようか」


庭に子供達の姿がある。

という事は、先生達もこっちに戻ってくるだろう。

ワリアンに、今のこの微妙な状況は見られないほうがいいはずだ。


「分かりました」


緊張した表情で頷くダダビス。

本当に気にしなくていいんだけどな。


「だぁぁぁぁ」


バコン。


「うおぉ」


「「……」」


急に聞こえた叫び声と、頭の痛み。

バリっと頭にしがみ付くものを引きはがすと、子天使のモモが楽しそうに笑っていた。

ダダビスとギルスは唖然とモモを見つめている。


「お帰り」


「きゃっきゃっ」


視線を庭に向けると、フィオ神ともう1人の子天使スミレがふわふわと浮いていた。


「あの……」


ダダビスの戸惑った声に、この子達の事を話していないと思い出す。


「この子達は天使で、ちょっと色々あってこの姿になっているんだ。俺が抱っこしているのがモモで、あっちの浮いているのがスミレ。フィオ神に、この子達の健康状態を調べてもらっていたんだ」


大人の天使しかいないはずが、なぜか子供の姿になってしまった2人の天使。

心配事が増えたため、健康診断をフィオ神にお願いしたのだ。

問題が無かったらいいのだが。


「久しぶり。2人はどうだった?」


「問題はない。健康そのものだし、脳に異常もなかった。例の問題の原因は分からなかった」


健康なのは良かったんだが、原因不明か。


「そうか、ありがとう」


「いや。彼らがアイオン神が言っていた、教師達か?」


フィオ神の視線がダダビス達に向く。


「いや、彼らは先生達の護衛だ」


「護衛? そうか。時を司る神のフィオだ、宜しく」


「初めまして。エントール国、第三騎士団団長のダダビスです」


「結界警備隊のギルスです。よろしくお願いいたします」


ダダビスとギルスが胸に片手を当てて、頭を下げる。

そういえば、何度かこれを見たな。

騎士の礼なのかな?


「丁寧にどうも」


「あ~、モモ! スミレ! 戻って来たんだ」


「だぁぁぁ」


胸元にいたモモが、勢いよく太陽達の下へ飛んで行く。

そして、太陽の隣を歩いていた翼の頭にへばりついた。


「うわっ、モモ!」


ふらつく翼を光が慌てて支えている。

太陽達もちょっと焦った様子を見せたが、すぐに笑ってモモにかまいだした。


「ぱう」


スミレがふわふわと俺の上に飛んできた。


「スミレ、お帰り。太陽達のところへは行かないのか?」


「あぅ」


俺に手を伸ばしてくるので、羽に気を付けながらギュッと抱きしめる。

柔らかくて、赤ちゃんのようだ。

実際には、赤ちゃんよりは大きいのだが。


フィオ神に預ける少し前、モモとスミレは、ほんの少しだが話せるようになっていた。

子供達も話が出来ると喜んでいたのだが、急にしゃべれない元の状態に戻ってしまったのだ。

あの時の子供達の、焦り方は凄かった。

成長も遅く不安が重なったため、フィオ神に相談し健康チェックをしてもらう事になった。


「主、どうだった? モモとスミレは大丈夫なの?」


桜は、俺の腕の中にいるスミレを見つめる。


「モモとスミレは健康だったよ」


「それならどうして、大きくならないの? 言葉は?」


誤魔化しても駄目だし、正直に話した方が良いよな。


「それは分からなかったんだ。ただ、脳にも問題は無かったから、心配しなくていいからな」


「そうなんだ。いっぱいお話したかったのに」


「モモもスミレも、俺達の話している事は理解してるぞ?」


返事はさっきのように「はう」や「あぅ」だが、こちらの話を理解しているのは分かる。

だから余計に、話せない原因が分からないんだが。


「そっか。それならお話は出来るよね?」


「あぁ、出来るな」


嬉しそうに笑う桜に、スミレが笑いだす。

腕から飛び出したスミレは、桜に手を伸ばす。

桜がスミレを抱きしめると、他の子供達のところへ行った。


「原因は全く思いつかないのか?」


フィオ神を見ると、子供達の様子を微笑ましそうに見つめていた。


「ん? 考えられるのは力の影響だな」


「力?」


「あぁ。この世界の力はここ数ヶ月で、かなり変わっただろう?」


闇の魔力や魔神力が、世界に流れた事を言っているんだよな?


「そうだな」


「それに対応するためじゃないかと、あの子達を見たスーキャー神が言っていた」


「スーキャー神?」


「天使たちの体について研究している神の1人だ。天使の専門家だ」


天使の専門家。


「天使は、神が作った存在ではないのか?」


「そうだが、作ったのは大昔で色々と分からない事が増えている」


つまり、天使の情報が正しく引き継がれなかったという事か。

他にもそういう事がありそうだな。


「フィオ神が大昔と言うと、凄い年月を想像するな」


「ははっ。凄い年月か、確かにそうだな」


視線を感じて、周りを見る。

あっ、ダダビスとギルスの事を忘れていた。


「ダダビス、ギルス、悪い。えっと、場所を変えて話そうと言っていたんだったな」


それにしても、どこで話そうかな?

家に招くと、何かあったとワリアンに勘繰られるかな?

考えすぎかもしれないが。

家以外だと……森しかないな。


「森に行こうか」


「えっ? 森ですか?」


ん?

どうしてダダビスはそんなに驚くんだ?

森は駄目なのか?

でも、獣人達は森の中でよく見かけたから、森に慣れていると思ったんだが。


「駄目か?」


「いえ、大丈夫です」


「それなら、行こうか。フィオ神は、ゆっくりしてってくれ」


「そうさせてもらうよ」


フィオ神がリビングに入って行くのを見送ってから、森へ向かう。

俺が歩き出すと、後をついてくるダダビスとギルス。

その後をコアとチャイが当然とばかりについて来る。


庭から広場の横の道を通って、畑の真ん中に作られた道を歩く。

のんびり歩くと、森までは凄く遠いな。

いつも一気に走り抜けるから思わなかったけど、遠すぎる。

そっと後ろを窺う。

庭や広場からは離れているので、話をしても聞こえないだろう。


「ワリアンの事だが」


「はい」


急に話を始めたが、ダダビスの返事はしっかりとしていた。


「子供達を手懐けるのが最初の目的みたいだ。だが、それは失敗する」


「失敗ですか?」


俺が断言したのが不思議なのか、ダダビスが確認するように聞いてくる。


「あの子達は、警戒心が強いから無理だよ。近くに、バッチュと言う一つ目もいるしな。だから彼がここで脅威になる事は無い」


俺の言葉に2人は頷くが、まだ心配事があるようだ。

たぶん、ワリアンが王の紹介だからだよな。


「たとえ彼が何をしたとしても、個人の問題だ。紹介した者に責任を取れなんて言わないよ」


ダダビスが、俺の言葉に安堵した表情になったのが分かった。

ギルスは……ちょっと分からないが、体から力が抜けたようだから大丈夫だろう。


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[気になる点] 前話の感想でも誰かが言ってますが今話でもギルスがガルスになってる箇所あり
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