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異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
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07.長生きだからな。

「待て、今なんの話をしていた?」


アイオン神が、なぜか焦った様子で俺とオアジュ魔神のところへ来た。

一つ目による説教は終わったんだろうか?


「オアジュ魔神の家族を、この世界で生活させてみるという話だが」


「魔神の家族だぞ!」


アイオン神の様子に首を傾げる。

なんで、怒っているんだ?


「この世界に、魔族を増やすつもりなのか?」


俺が分かっていない事を理解したアイオン神が、分かりやすいように言葉を変えてくれたようだ。

だが、それの何が問題なのかが分からない。


「何か問題でもあるのか?」


力が増えるのは駄目だが、アイオン神の態度からそれとは違うような気がする。


「アイオン神?」


愕然と俺を見るアイオン神に、少し戸惑う。

まさか、こんな反応をされるとは。

でも、魔族をこの世界に増やしたら駄目なのか聞いただけだよな?

この質問の、なにがアイオン神を驚かせたんだ?


「魔族は神の敵という認識だからな」


テフォルテの声に右隣を見る。


「いつの間に来たんだ?」


ビックリした。

声を掛けてくるまで気付かないなんて……結界があるからと気が緩んでいるのか?


「オアジュ魔神が、主に懇願しているぐらいからだな」


「結構前からいたんだな」


「声を掛けようと思ったが、驚いてしまって」


「ん? 何に?」


「オアジュ魔神のあんな姿を見るのは初めてだったから。随分と奴は変わったな」


「あぁ、性格がかなり変わったよな」


俺からしたらいい方向へだけど……。

テフォルテと視線が合うと、ニヤリと笑った。

これ、ニヤリと見えるがたぶん普通に笑っているんだろうな。

元の作りが怖いと、普通に笑っても何か企んでいるような笑いになるから残念だよな。


「主、何か失礼な事を考えてないか?」


「ん? 元が怖いと全てがマイナスになるから残念だなと……」


あれ?

テフォルテにため息を吐かれた?

正直に答えたのに。


「我にそんな事を言うのは、主だけだ」


「そうか? まぁ、でも、見慣れればテフォルテも可愛い顔をしてるよな」


「…………」


ん?

テフォルテが目を見開いて俺を見ているが……なんで?


「どうしたんだ?」


「なんでもない。言われ慣れていないからびっくりしただけだ」


もしかして照れているのか?


「翔」


アイオン神が、お願いするような表情をするが首を横に振る。


「魔族が敵という認識みたいだが、俺には関係ないから」


この世界に、敵を増やしたくないと考えたんだろうな。

でも、俺にとっては敵じゃないし。

そもそも、この世界は神の見習いと魔神が作った世界だ。

核だって、光の魔力と闇の魔力のどちらにも対応した。

なら、どちらの世界の者がいても、この世界に迷惑を掛けないなら問題ないだろう。


「そうだが……でも、魔族だから性格は悪いぞ?」


「オアジュ魔神の前例があるからな、こっちに来たら変わるんじゃないか?」


あのやたら威張りくさっていたオアジュ魔神が、俺に頼み事をするようになるんだぞ?

こんなに変化するんだから、子供達だって変化するだろう。


「「確かに」」


あっ、アイオン神とテフォルテの意見が一致した。

くくくっ、お互いに言葉が合わさった事にびっくりしてるな。


「翔」


「なんだ?」


「まぁ、問題が無ければ……魔族が増えてもいいかもしれないな」


アイオン神の表情には、まだ迷いがあるのが分かる。

今までの常識を、ひっくり返すのは難しいようだ。


「そうだな」


あれ?

そもそも、アイオン神の許可は必要なのか?

いらないよな?

……まぁ、いいか。


「あっ! オアジュ魔神。お前の子は魔神か?」


魔神?

魔神の子だから魔神?

いや、それだったらアイオン神がわざわざ聞くわけはないな。


「いや、魔族だ。俺の子供達は特殊な力を持って生まれなかったからな。妻も魔族だ」


魔神は特殊な力があるのか。

オアジュ魔神にもあるんだよな?

どんな力なんだろう?


「そうか。魔族か。魔神の特殊な力の心配はしなくていいな」


それって魔神の場合は、特殊な力に気を付けろという事だよな。

次の魔神に会った時は、気を付けよう。


「そうだ、アイオン神には子供はいるのか?」


オアジュ魔神にいるなら、アイオン神にもいるかも。


「62人の神族と1人の神がいる」


……62人に1人?

つまり、子供は63人もいるという事か。

何となく聞いたんだけど、凄い数字が出てきた。

いや、長生きだからな。

これぐらい普通なのか?

そしてやっぱり神族という呼び方で合っているんだな。


「旦那は神なのか?」


「旦那? パートナーの事か? 今はいないが、神の時もあれば神族の時もあったな」


旦那という呼び方はせずにパートナーと言うのか。

それに、神の時もあれば神族の時もある?

長く生きていれば気持ちが変わる事もあるか。


「神は、パートナーが1人という決まりがあったな」


オアジュ魔神の言葉にアイオン神が頷く。

そうなんだ。

魔神というか魔族は、同時に何人も妻がいてもいいみたいだったけど違うんだな。

あれ?

さっきアイオン神は「神の時もあれば神族の時もあった」と言ったよな?


「あぁ、パートナーに対して誠実であれという事らしい。ただし、別れてから別の者とパートナーになる事は出来るから、人生でたった1人という事じゃないけどな」


まぁ、そうだよな。

ものすごく長い人生だもんな。


「そうだ、主」


「どうした?」


「新しい大地に、何を作るつもりなのか聞いておきたい」


「では、畑をお願いします」


今のは俺じゃない。

左を見ると、農業隊が期待した雰囲気でオアジュ魔神を見つめている。

畑か。

確かに、新しい大地で生きていく者達のために必要だが、最初に畑なのか?

もっと他に必要な物があるような気がする。


「いえ、そうではなく。もっと大きく考えてください」


大きく?


「では、新しい大地を森に変えて、必要に応じて開拓していけばいいと思います。それから新しい大地を陸続きにする予定はないですか?」


陸続きか。

今は飛んで行くしか、方法が無いからな。


「森なら数日あればできます。陸続きにするのは少し時間がかかりますが、出来ます」


森は数日で出来るんだ。

凄いな。

それより、俺に聞いて来たのに、俺は放置で話が進んでいるんだが……。

まぁ、新しい大地をどうするかなんて考えてなかったから、いいけど。


「それなら、それでお願いしますね」


「分かりました」


農業隊に神妙に頷くオアジュ魔神に笑いそうになるが、それよりも態度や言葉遣いが気になる。

どうしてオアジュ魔神は、農業隊にそんなに丁寧なんだ?


「オアジュ魔神と農業隊の間で何かあったのか?」


俺の言葉にオアジュ魔神の顔色がすっと悪くなる。

えっ?

本当に農業隊は彼に何をしたんだ?


「オアジュ魔神の主への態度が気に入らないと、攻撃されながら追い掛け回されたんだよな」


テフォルテが楽しそうに話した内容に、オアジュ魔神と3回目に会った時の事を思い出す。

それまでの態度と違って、話し方も態度も丁寧でどこか不気味に感じたから、元に戻してもらったんだよな。


「あれは怖かった。魔界に帰ろうとすると、邪魔されるし、どこに行っても気付いたら、傍にいるし。あらゆる方角から攻撃は飛んでくるし」


それは怖いだろうな。

農業隊を見ると、満足気に頷いている。

それに苦笑が浮かぶ。


「ほどほどにな」


農業隊の頭をポンと撫でると、ちらっとこちらを見て頷いた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 農業隊による矯正(*´ω`*) ゴーレムさん達さすがです!!!
[良い点] さすが農業隊・・・w [一言] 暑い日がつづきますが体調に気を付けてがんばってください^^
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