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異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
綺麗になったら修復です!
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66.光と闇の魔力

月明かりで仄暗い中、ゆっくりと庭を歩く。

上空に視線を向けると無数の星が見えたが、元の世界で見た天の川はそこには無い。

その事に、いつもほんの少し落胆する。


「日本にいた時は、気にもしなかったのにな」


今日、色々な事がわかったが、そのせいで寝られない。

俺が崇められているとか、世界が未完成だとか。

未完成の世界の神は死ぬとか……。

本当、ここ数日にギュッと色々詰め込み過ぎだ。

世界は、俺にもっと優しくてもいいと思うんだけどな。


「頑張ってるんだから」


知らない所に飛ばされても、出来る事を頑張ったし。

飛ばされた原因が神だと分かっても、彼らに怒りをぶつける事はしなかった。

まぁ、無駄だと思ったからだけどな。

今だって、やれることはやろうと思っている。

なのに……。


「後から、後から……いい加減にしてくれ。はぁ、本当に面倒くさい」


怒りを吐き出す事が出来ないのは、結構しんどいんだな。

俺は、苛立ちを言葉にしてすっきりするタイプだ。

ムカついた事を、大声で言う。

妹直伝のストレス発散方法だ。

この世界でも、何度かこの方法で気持ちを切り替えた。

だが、今の俺がそれをすると大変な事になる気がする。


「力か……」


体内に感じる膨大な力。

アイオン神の話を聞いた時に、その力がぞわりと動いた事に気付いた。

初めての感覚で少し戸惑ったが、これを外に出しては駄目だという事は分かった。

そしてその力が、俺の感情とリンクしている事も理解した。


「力が強いと、怒る事も出来なくなるんだな」


アイオン神も上級神だから、そうとうな力を持っている。

彼女も、怒りを外に出さないように気を付けているのだろうか?


「力があるのも、考え物だな」


この力があるから、この世界でも生きてこれたのは理解しているが、あり過ぎる力は問題を生む。

今は問題しか生んでないな。


「俺自身がこの力を完全にコントロールしたら、少しは問題解決に繋がるんだろうか?」


ずっと、放置し続けてきた力。

元の世界には魔力がなかった。

だから、どこか馴染めずにいた。

ただ、そうも言っていられないよな。

しかし、コントロールって……どうやるんだ?

それに、コントロールしたところで、強くなり過ぎた力を弱める事は出来るのか?

……あれ?

俺の力は、今はどう言う状態なんだろう?

まだ増えているのか?

それとも強くなっているのか?


「コントロールの前に、現状把握が先か……」


そう言えば、この世界に魔力があって自分も使えると分かった時に、誰かに教わりたいと思っていたな。

子供たちの前に、俺に教師が必要なのではないか?

ダダビスに会いに行って、俺の教師を先に紹介してもらおうか?


「……ダダビスに頼り過ぎかな?」


相手をしてくれたからと言って、調子に乗り過ぎたら駄目だよな。

彼は獣人の国の騎士だ。

教師を探してほしいとお願いした事も、かなり迷惑になっているはず。

でも、他に……そう言えば人の国の王。

残念ながら、アイオン神から聞いた名前は忘れてしまったが、なんでも俺に感謝をしているらしい。


「たしか『前王を倒せたのも、奴隷を解放できたのも俺のお陰』だとか言っていたな。何をしたのか、ある程度は訊いたが、全てただの偶然というミラクル。なので、ちょっと心苦しいが頼ってみるか? ただ、王なんだよな。会いに行って、すぐに会えるわけないよな」


でも、俺はどうやら崇められているみたいだし、それを使えばすぐに会えたり……あっ、無理だ。

人の国をめちゃくちゃにした俺が、彼らの国で崇められるわけがない。

王には感謝されていても、国の中では恨まれているだろう。

特に奴隷解放は、人にとって衝撃だったはずだし。

人の国に近付くのはやめて……。

あれ?

でも前に行った時は、敵意を向けられなかったよな?

そんなに恨まれてはいないのか?


「どうだったかな……いまいちよく思い出せない。未知の世界を覗く感覚で、興奮してたのかも」


一度自分の目で、人の国を確かめておく必要があるかもしれないな。

子供たちが人の国に行って、嫌な思いをしたらイヤだからな。


「そろそろ、戻るか」


それにしても、暑い。

あと数日もしたら、今年一番の暑さが来そうだな。


「あれ? 誰かいるな」


リビングに人影が見える。

あの身長という事は、光か?

どうしたんだ?


「そう言えば、ここ2日ぐらい光の様子がおかしいんだよな」


体調が悪いのかと心配したが、特訓中の姿を見る限り問題はなさそうだ。

一つ目たちに訊いても、特に異常はないと言っていた。

ただ、不意に思いつめたような表情をしているんだよな。


「訊いても、誤魔化されたしな。でも、気になる……」


光と言えば、彼の力も気になるんだよな。

ここに来た時より、不安定になっている気がする。

俺の魔力が満ちている森にいるから、コアたちや水色たちはかなり不思議がっていた。


「光には、まだ話せていないんだよな」


精神面の影響で、声が出せないのに。

力まで不安定になっているなんて、言えないよな。

とは言っても、このまま黙っている事は出来ない。

魔力が不安定になると、身体に影響があるらしい。

いつ、話をするべきか。


「光、寝られないの……ん?」


リビングに入り光に声を掛けるが、彼の手を見て言葉が止まる。


「あれっ?」


見間違いじゃないよな。


「……っ」


光の息を吸う音が異様に耳に付いたので、視線を光の手から上に向けると怯えた表情の光がいた。


「大丈夫だ、光」


正直戸惑ったが、光の表情を見ると自然と言葉が出た。

良かった、すぐに反応できた。

でも、なんで?


「……」


怯えた表情の光に、ゆっくりと1歩近付く。

これ以上怯えさせないように、表情の変化に気を付けながら、もう1歩。

正直、驚いた。

光の手が、黒く光っているんだから。

あの黒い光は、闇の魔力を閉じ込めた魔石のヒビから溢れた物に似ている。


「大丈夫だよ」


光のすぐ傍まで来ることが出来た事に、ホッとする。

まだ怯えてはいるが、近付くことは出来た。

光の手に視線を走らせると、やはり魔石を握りこんでいた。

どう見ても、ケルベロスの卵に闇の魔力を閉じ込めた魔石を近付けた時と同じ現象が起こっているよな。


「体は大丈夫か?」


視線を光と合わせると、じっと俺を見つめた後に頷いた。

よかった。

しかし体に異常がないという事は、闇の魔力が光の体に馴染んでいるという事だよな。

どういう事だ?


リビングに入って見たのは、棚の近くで片手を黒く光らせている光の姿だった。

正直すごく驚いて、叫びそうになった。

あそこで、我慢が出来てよかった。

もし叫んでいたら、光を完全に怯えさせただろう。


「魔石に、ヒビでも入ったのか?」


俺の言葉に、光の首が横に振られる。

違うのか?


「……」


俺が首を傾げると、光が手の中の魔石を見せてくれた。


「確かに、ヒビは入ってないな」


それなら、どうして黒く光っているんだろう?

それに、魔石を握っていた光の手を見て気付いたが。

魔石から溢れている黒い光が、光の手に少しずつ吸収されているように見える。

そっと、光の様子を見る。

不安そうにしているが、顔色も悪くないし視線もしっかりしている。

闇の魔力が体内に入っても問題ないらしい。

おかしいな。

アイオン神が、闇の魔力とこの世界の者は合わないと言っていたのに、どうして光は平気なんだ?


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― 新着の感想 ―
[一言] えぇ、それも忘れてるのかー・・・・・ 主人公が半神?状態になったせいで記憶が消えるという設定は勇者ギフトと同じでヘイトがたまりやすいですね。
[一言] 思いっきりデカイ異空間の部屋を作ってそこで、思いっきり叫ぶ…のはダメなのか?
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