02.森です…見渡す限り木しかない!
…目が覚めた。
体が何だか、だるくて重い。
ん~何があったのかな…ってその前に、ここはどこだ?
起き上がって周りを…おぉ~木、木、そして木。
しかも樹齢何百年っていう記録を作りそうな大木がいっぱいある。
その大木の間にちょっと若い木、大木、若い木、若い木、大木。
…とりあえず、落ち着こう。
どこを見ても木々が見える。
くるっと一周して確認、森だな。
そしてなんだか体がだるくて、重く感じる。
しかもこの森、なんだか黒い影に覆われているように見える。
この重さ、何とかならないかな。
黒い影も気分が滅入る。
とりあえず、ここが森だとしてどこなんだろうか。
今までのことを思いだそう。
えっと、確か見習いという3人の声が聞こえたよな…うん、間違いない。
彼らが行った勇者召喚に…もしかして巻き込まれたのか?
勇者召喚……妹の読んでいる漫画に出てきたな。
聞いてもいないのに、隣に来ては満足するまで感想を喋りまくっていたから、なんとなく覚えている。
確か異世界に召喚して勇者……。
あ~ということはここは異世界…だったり…
えっと…俺ってもしかして帰れない?
…。
「くそったれ~!!!!」
イラっとした。
なので思いっきり叫んでストレス発散!
肺から思いっきり空気を押し出して…。
ちょっとスッキリ。
妹曰く「ため込むのはよくない!」ってテスト前に部屋から雄叫びが聞こえた。
何気にこの方法、ストレス発散におすすめなんだよな。
よし、現実を見よう。
ここはおそらく異世界…だよな。
異世界…妹の読んでいた漫画…確か定番ってやつがあるはずだ。
何だったっけ?
異世界の定番は…思い出せ、えっと…魔法だ。
ん、魔法!
あっ、魔物!
やばい、大声を出しちゃったよ。
周りを見て確認。
うん、いないね。
もう一度ゆっくり確認、怖いので。
いない。
「はぁ~…にしても、気持ち悪い」
起きてからずっと体に何かが、纏わりついている気がする。
しかも、体の中にじわじわと入りこむような…っておかしいか?
いや、そんな感じがするんだが…。
…黒い影も増えているような気がする。
とりあえず…異世界のどこだろう?
助けを求めたいが…見渡す限り木、それ以外が見えない。
深い森の中とかだったら、嫌だな。
それにしても気持ちがどんどん悪くなる。
今まで経験したことのない、だるさと気持ち悪さ。
…だるさと気持ち悪さって、昨日見た心霊番組の出演者のコメントみたいだな、え!…お化け?
黒い影が怨霊の呪いだったりして。
…異世界には見える呪いがあったりするのか?
「はは、まさか…ね。え、まさかだよね」
とりあえず悪霊退散…は違うよな。
言葉に出してみたけど変化なしというか、恥ずかしい。
えっと、確か漫画では…浄化魔法?
纏わりつくものに向かって小声で「いなくなれ! 浄化」っと、唱えてみる。
…はぁ…何をやっているんだ…冷静にならないと。
怨霊とか馬鹿だ俺…。
と言うか、そもそも魔法があるかどうかも分からないのに。
まったく…あれ?
…体が軽く…なってるような…。
ハハハ、まさか。
試しに目の前にある黒い影に向かって
「浄化」
…できてしまった。
浄化ができたということは…まじで怨霊? 悪霊?
ハハハ、魔法が使える世界か~
たまには現実逃避もいいかもしれない。
『グルル』
…現実を見ないと駄目らしい、後ろに何かいる。
主人公はただ今迷走中です。