20.優秀すぎる……何があるんだ?
家の前に置かれた真っ黒な石のような物を見る。
これから長く付き合う物だし、名前でも考えようかな。
分かりやすいほうがいいよな……石ではないが、吸収石でいいか。
神力を吸収させているしな。
この世界に日本語が分かる奴がいなくてよかったかも、周りの仲間を見る。
……本当に。
森から丸い物体が、こちらに向かって飛んで来る。
見ると、森を飛び回って来ただろう魔物の石が、吸収石の上に乗るところだった。
次の瞬間、少し光って魔物の石から吸収石へ光が移動して消える。
「ん~、やっぱりイメージとちょっと違うな。まぁ、吸収石に集めると言う結果はあっているから問題はないが。イメージが上手く作れなかったのかな?」
大丈夫かな?
吸収石や飛び回っている魔物の石は、いつの間にか岩人形が管理してくれている。
いや、俺だって何度も魔力を流して変化が無いか確かめているが、岩人形が管理してくれていると安心感が違う。
俺1人だと不安しかないからな。
さて、俺や仲間達に影響を及ぼす神力も、ある程度森から消えた頃かな?
そろそろ3バカが残した物を探しに森へ入るか。
おそらく魔力で捜すより、神力を捜した方が早いだろう。
森を覆っていた壁も魔力では判別できなかったし。
俺が神力を使えたら、判りやすいのかな?
ん~、そんな簡単に神力って使えるのかな?
まぁ、時間がある時にでも試してみるか。
よし、森を調べるか!
とりあえず、森の中の神力を捜そう。
神力が多い場所に原因があるはずだ。
覚えた神力の力を思い出しながら、森全体に感知魔法をかける。
森の隅から光の線が反対の森の隅まで移動する。
「あれ? おかしいな」
もう一度、感知魔法を発動するが神力を見つけられない。
吸収石が視界に入る。
森から魔物の石が帰って来る……魔物の石、優秀すぎる。
まさか、森から神力を消してしまうとは。
「吸収ストップ」
魔物の石に帰って来るように魔法を発動。
しばらくすると森を飛んでいた15個の魔物の石が、吸収石を囲うように円になって地面に並ぶ。
すぐに魔物の石を持つ岩人形が、1つ1つ石を確認し始めた。
……優秀すぎるよな。
あ~、それよりもどれくらい待ったら新しい神力って生まれるのかな。
ちょっとお茶でも飲んで待つか。
親玉さんやコア達とお茶を飲みながらのんびりする。
時間にしたら1時間ぐらいかな。
感覚があっていればの話だが。
さて、もう一度感知魔法を発動。
お~、……えっ?
頭の中に浮かび上がった森の映像に数か所、白く光っている場所がある。
おそらく神力が多い場所だろう。
……一番光の強い場所が5か所、いや7か所かな?
次に光の多い場所が4……8か所。
それと微かな光だが、何か異様な印象を受ける場所が5か所。
全部で20か所か……3バカども多いわ!
と言うか、何が出て来るのか怖いな~。
さて、場所は……森の上から見た映像を魔法で忘れないように記憶する。
とりあえず近場から行きますか。
家から光っている場所までの方角を確かめる。
どうせ道は無い、まっすぐ突き進めばいいよな。
その前に、「吸収はじめ」
これで良し。
森へ入ると、コアとチャイ、2人の子供達で合計8匹。
そして親玉さんに親蜘蛛さん達と子蜘蛛さん達。
……お供が異常に多いような気がする。
おそらく魔力の使いすぎて倒れたのが原因だろうな。
心配かけて、申し訳ない。
まぁ、俺も心強いのでうれしいのだが。
森を走って、光っていた場所へ向かう。
走って……走って……走って。
場所は確かめたが、距離を調べるのを忘れていたな。
一番近いと思った場所も、遠かった。
「はぁ、この辺りかな?」
上から見た映像を思い出しながら、川の位置や木の位置で確認。
間違いないだろう。
周りを見回す。
おかしいな、この辺りに何かあるはずなのだが。
もう一度、神力を感知魔法で調べる。
……何かに邪魔されてうまく魔法が発動しない。
邪魔をされるのは、森の結界に次いで2回目だ。
間違いなく3バカが原因だろうな。
何を隠したいのか。
そうとうやばい物だったらどうしようかな。
まぁ、それよりどうやって見つけるかだが。
魔法は諦めて、周りを探索してみるか。
歩き出そうとすると、何処からともなく魔物の石が飛んで来る。
様子を見ると、俺達がいる場所から少し離れた場所の上空で、数回旋回を繰り返して飛び去った
「……あそこだな」
魔物の石が旋回した場所へ向かう。
どうして魔物の石は、場所が分かったのだろう?
後でこれも調べないとな。
少し崖になっている場所に穴が見える。
「洞窟か?」
近づくと、少し違和感を感じる。
何だろう?
チャイが穴に近づくと、バチッと言う音と共にチャイが弾き飛ばされる。
「ギャッ!」
「チャイ!」
弾き飛ばされたチャイのもとに走り寄って、怪我がないか確かめる。
結界が防いでくれたようで怪我はないが、弾き飛ばされた事に驚いているようだ。
コアが顔をすり寄せて、落ち着かせている。
チャイは数度頭を振って落ち着いた。
はぁ、よかった。
穴に近づいてみる。
親玉さんがカチカチと牙を鳴らして警戒を促してくる。
頭を数度撫でて、落ち着かせる。
おそらく結界だろう。
此処まで警戒するって、本気でやばいモノか?
第2章、20話突破。
総合評価、ブックマーク登録、ありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。