117.コアとチャイの子供
-コアとチャイの間に生まれた子供視点-
森を母様と父様と駆けて獲物をしとめる。
まだ1人では無理だけど、兄弟だけでキラーボボを仕留められるようになった。
キラーボボは森の中でも強い獲物。
これを1人で仕留められるようになるのが目標だ。
母様と父様は…うん、瞬殺って見ている方も気持ちがいいよね。
目標は父様を超える事!
母様は父様を追い越した後!
まだまだ頑張る。
獲物を住処まで運ぶとゴーレム達がすぐに解体をしてくれる。
ものすごい速いのであっという間。
…すごいな~。
そのまま食べても問題はないのでお昼などは狩った小さ目の獲物を食べる。
正直…ゴーレムも一緒に狩りに来てほしいなって思うぐらいには味が違う。
美味しいけどね。
一緒に生まれた兄弟たちも同じ意見みたい。
だから住処でのご飯がすごく楽しみ。
今日は主様がいるみたいだ。
母様と父様が尊敬してやまないすごい人。
人間なんだよね。
でも、ふわふわさんや飛びトカゲさん、マシュマロさんも尊敬するそんな方が人なんだろうか?
これは他の種の子供達の疑問でもある。
一度、父様に聞いたことがある。
一緒に親玉さんが居たのだけど、それについては父様も親玉さんも分からないらしい。
主様の魔力は不思議だ。
俺達子供たちはまだ魔力をしっかりと見分けることは出来ない。
できるのは同じ種か違う種かどうかの魔力の比較だ。
でも主様の魔力だけはこの住処にいるどの魔力とも違う。
やっぱり人間だからかと思っていたがどうやら違うらしい。
母様が教えてくれたのだが主様の魔力はいろいろ混ざりあっていると。
主様からは、人の魔力を探し出す事が出来る。
だがほかの種の魔力を探すと、これもまたあるらしい。
だから主様は人の姿をしているが、種族は不明だと。
そんな事があっていいのかなって思ったけど。
母様たち森の王やシュリさんたちの様子を見ていると、あまり気にしていないみたい。
主様が主様であるから尊敬しているって感じだ。
言われてみれば、俺達も主様がどの種だとか関係ないな。
ただ、ただ、すごい人という認識だから。
訓練をしようとする母様と龍さん達。
だけじゃなく親玉さんもやる気をみなぎらせて広場に集まる。
え、何が?
あぁ主様が今日はお昼から仕事の手を止めて見てくれているんだ。
だからと言って母様、それは俺達にはまだ早すぎます。
本気で逃げれば大丈夫?
いや、そういう問題ではないです。
親玉さん、それ当たったら死にますから。
逃げろ?
逃げられないように攻撃して逃げろって鬼ですか!
父様が止めてくれてよかった。
特訓は母様とはしないと心に誓ったんだけど、どうして広場に母様がいるかな。
……
森を駆ける。
その事を全身で受け止める。
数日前にあった世界樹への攻撃。
住処に世界樹が根を張った時、龍さん達は俺達に世界樹の重要性を教えた。
だから目の前で世界樹が苦しんでいるのを見て、世界樹が死んでしまうと全身が震えた。
今思い出しても震える。
兄弟たちと身を寄せても立っていることができず、座り込んでぶるぶる震えていた。
母様たちは気丈に見えたが、顔は強張り異常事態だということがひしひしと伝わった。
主様が駆けつけてくれた時、ホッとしたと同時に主様でもと言う思いで頭がぐちゃぐちゃ。
泣きそうと言うか泣いていた。
あの異常な中においても主様は、冷静に周りの俺たちに視線を向けて大丈夫と頷いてくれた。
それからは防御と攻撃と威圧で圧勝。
あまりの魔力量と速さにただ呆然と眺めているだけだった。
それに、初めて感じた主様の怒りをまとった魔力。
俺に向けられたわけではないのだが…恐ろしいと感じた。
あれが誰かに向かっていると思うと敵だけど……敵か、だったら問題ないな。
怒りも威圧も一瞬。
すぐにいつもの主様に戻っていた。
主様にとって今の攻撃でもあまり影響がないみたいだ。
その日の夜、森の王すべての魔力を合わせても主様の魔力には及ばないと母様に教えられた。
そうなのか…すごいな。
子供達だけが集まった時、どこまでも主様について行こうと確認をした。
これから頑張ってどんどん強くなろうとも。
何処で話を聞かれたのか特訓が厳しくなった。
母様、少しは俺達に優しさを!