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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
中学生編
96/232

19話 ゲームの話2

「? 波留さんどしたの」

「……気にしないで」

「ん。で、山内くんは二つ年下。このルートに入るためには2年間誰ともフラグを建てないかつ銀杏会メンバーとそこそこ仲良くなってることなんだよね」

「うん」

「これがなかなか難しいし、その後も一年で攻略しなきゃならないから難易度が高い」


 そっか……。山内くん……。君もか……。そうだよな。あんなに可愛いんだもんな……。


「山内くんは可愛い顔してる。慣れてくると甘えたになる。そして人間不信」

「人間不信?」

「山内くんは初等部の頃に不審者に車に乗せられて怖い思いをしたから、人間不信。っていうか、知らない人間が怖い。登下校は車だし、一人で出歩くことがあまりできない」


 今度は頭を抱えた。知ってる。似たような出来事がこの間あった。


「あと実はSっ気がある」

「…………」

 そんな情報は知りたくなかった。


「彼のルートでも木野村さんがでてくるよ」

「木野村さん頑張り過ぎじゃない?」

「働き者だね。木野村さんは後輩が心配で突っかかってくるよ。このルートでは同級生は巻き込まれないね」

 このルートでもいいかな、と秋田くんはぼやく。そだね……。



「で、そんな働き者の木野村さんだけど、俺が見た感じゲームと現実とではだいぶ人格が変わってるよね」


 またページを変えて文字を書き始めた秋田くんが言う。そうなんだろうか。私はメールとかするだけだし、学校での木野村はあまりよく知らない。同じクラスになったことないし。態々絡みに行ったりもしないからな。初等部一年のときはなんか騒いでた気がするけど。


「そう?」

「うん。ゲームだともっと高飛車な感じ。銀杏会男子二人と仲良くなりそうな奴らは率先して潰していくような」

「こっわ」


 え、木野村ってそんな過激……いや過激だったな。そういや最初私も警戒してたわ。でも今は私に漫画を勧めてくるような立派な漫画好きに……。


「今は穏やかなお嬢様って感じになってるんだよね」





 秋田くんと私との間に木野村についてのイメージの差が生じているようだ。穏やかなお嬢様? 漫画について語るメール文なんて「これ! すごく感動するわ!! 特に十五巻最後のシーンが特に……!」みたいなハイテンションだぞ。穏やかとは。


「私が知ってる木野村と違う……」

「えっ」


 私がぼやけば秋田くんがメモを取る手を止めてこちらを見てくる。私はなるべく木野村が漫画好きだということを隠して話した。がんばった。


「そっか……なるほどね。波留さん、今話した中でゲームと違う事柄ってある?」

「まず辻村くんの姉は二人とも生きてる」

「……そういえば噂すら聞かなかったな。辻村くんが落ち込んだ様子もなかったし」

「それと山内くんはこの間不審者に車へ乗せられそうになって逃げたところを私の弟が保護した」

「……」

「赤坂は犬っぽい。逃げると追ってくる」

「波留さん、今まで彼らと関わったことについて詳しく教えてくれる?」


 秋田くんが、今まで見たことないくらい真面目な目をしていた。


 私は今までのことを要点をかいつまんで秋田くんに報告した。思えばいろいろなことがあった。うん。私はけっこう彼らと関わってる気がする。関わるつもりはなかったはずなんだがな。


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