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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
小学生編
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間切梓1

 妹の話をしようと思う。


 俺こと間切梓には3つ年下の妹がいる。小さい頃から写真が好きでよく外の景色を写真に収めていた。俺が常日ごろ目にしているものでも「綺麗」といって写真に収めるのだ。きっと妹にはこの世界が俺とは違ったものに見えているんだろうな。妹の見た目については、背格好は平均的だと思う。


 そして。そんな平均的な見た目の妹だが、身体能力はずば抜けている。足は速いし反射神経も良い。最近習い始めた護身術でも先生にべた褒めされているようだ。だが、妹は自分の身体能力に気がついていない。幼稚園でも運動会なるものはあった気がするのだが、何故だろうか。


 運動神経だけではない。頭も良い。勉強が好きなのか幼稚園のころから勉強を毎日していたからか、普通の子供より勉強が進んでいる。小学校の入試も答案を見せてもらったが満点だった。妹は委員長に選ばれたことを不服に思っていたようだが、仕方ないと思う。最初は入試の成績で委員長を決めているから。


 そんな優秀な妹だがだいぶ抜けているところがあると思う。自分の運動神経について気が付かなかったこととか。


 妹は体育祭でリレーの選手に選ばれていた。クラス別ではアンカーだ。そのリレーの最中、転んだ女の子を平然と抱き上げてゴールした上、救護テントにまで運んでいっていた。小学一年生の女子が同級生の女の子を、だ。しかも平然と走るもんだから応援席は呆然とする者半分、興奮するもの半分だ。俺は前者だった。

 俺が妹のスペックの高さに呆然としていると肩を叩かれた。振り返ったところにいたのは友人の一宮宏和だった。

「あの女の子すごいね」

「…………そうだなぁ」

「ん? なに、知り合い?」

「妹」

「まじかぁ」


 宏和は俺の言葉に目を見開いたあと、後ろの方を指差した。


「運動クラブの連中が狙ってるよ」


 指さされた者たちの目は獲物を見つけたときの獣のそれだった。


「…………」

「妹ちゃんこれから大変だね」

「……あぁ」


 上級生の魔の手から、妹を守らなければと決心した瞬間だった。


 お昼は家族で食べて、妹が唐揚げを幸せそうに食べていたのでこの時だけは俺も先程の光景を忘れて幸せな気持でご飯を食べれた。

 妹は午後のリレーでもその真価を発揮してぶっちぎっていた。上級生の目がさらに怖くなった。妹はリレーのあと姿を消していたので一安心だったが、帰ったら忠告しておかねばならないだろう。




 そういえば、妹は異常なまでに平凡を愛しているようだ。この金持ちばかりの学園に入った時点で平凡とはかけはなれてしまっている気がするが。

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