10話
「俺が前世を覚えてるって言ったら、信じる?」
予想していなかった問に私が固まっていると、秋田君がさらに言葉を重ねてきた。
「……なんでそう考えたかによる」
私は一拍おいて、静かに答えた。
私は前世を覚えている。証明することなんてできないけど、これは確かに前世の記憶だと私は考えている。だから私は前世というものを否定はしない。しかし前世の記憶を持っていることがまれだということも理解しているから、簡単に肯定もできない。
だから、そう考えた理由を話せ、と彼に言う。
秋田君は不安そうな、縋るような視線を私に向け、ゆっくりと口を開いた。
「『秋田湊』じゃない人間の記憶がある」
そういえば秋田くんの下の名前は湊だった。
「……この世界にはない名称を知ってる」
「波留さんが歴史のテストで間違えて書いてた『関ケ原』や『徳川』もしってる」
そういえば、歴史のテストで間違えて書いたな……。そうか、秋田くんも知ってるのか。本当に前世を覚えてるのか。そうか。私がこの世界にない単語をテストで書いたのを知ってたから、私に話したのか。
「ねぇ、信じてくれる?」
「…………うん」
秋田くんが泣きそうな顔で笑った。




