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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
中学生編
82/232

7話




「あれ、いいん…………波留さん、今日お弁当なんだ」


 秋田くん、今委員長って呼びかけたな。


 秋田くんは私を波留さんと呼ぶことにしたらしい。まぁ秋田くんには「早く委員長に復帰してね。波留さんってなんか照れる」と言われたが。照れるなら別の呼び名を考えてほしい。


 さて、そんな秋田くんが見ているのは私が持ってきた弁当だ。今日は購買でお昼を買って教室で食べよう、と言うことになったので各々購買でご飯を買ってきている。そんな中私は弁当。そりゃ気になりますよね。


「そだよ」

「それ、波留ちゃんの手作り?」

「いや、母さんと一緒に準備した」


 机に広げられた弁当をマジマジと見てくる美野里ちゃんに答えれば彼女はへぇ、と感心したように声を漏らした。因みに母親は私の弁当を作るなら、と自分と父の分も作っていた。


「美味しそう……」

「ありがとう」


 私的には早苗ちゃんが買ってきたそのよくわからないサンドイッチが気になるけどね。何が入ってるのそれ。


「あれ、間切も弁当なのか?」


 4人で話していると篠崎がひょいっと私の頭上から顔を覗かせてきた。


「君も?」

「うん。…………ここの食堂とか、胃と精神にクるから」


 私はボソリも呟いた言葉を聞き逃さなかった。そうだよな。やっぱりそうなるよな。

 他の外部生の所へ向かう篠崎の後ろ姿を見ながら、私は彼に共感を覚えた。仲間。



 その後、のんびりと皆でご飯を食べ、眠くなりながらも午後の授業を受けた。早苗ちゃんが買ったサンドイッチは美味しかったらしい。







 放課後、昼休みに美野里ちゃんが「そういえば中等部は屋上に行けるらしいよ」と言っていたのを思い出したので一人で屋上へと向かう。中等部の校舎の屋上には行ったことがない


 階段を登り、屋上への扉を開くと、それはいとも簡単に開いた。


 屋上の周りには頑張って登らなければ超えられそうにない高さの柵が取り付けられている。それ以外は何もない場所だ。地べたに座るのが平気なら晴れの日にここでお昼ご飯を食べても良いかもしれない。


 誰もいない屋上をウロチョロしていると扉がある場所の上に登る梯子を見つけた。あれだ、よく漫画とかで誰かしら登って昼寝とかしてる場所。

 今までの登ったことがないそこに興味がそそられたので梯子を登る。




「…………」

「こんにちは、間切さん」



 登った先には寝っ転がっている生徒会長がいた。わぁ、本当に上で寝る人いるんだ。


「こんにちは会長」

「どうしてこんな所に来たんだい?」

「探検に」


 私が上に登ると会長は身体を起こした。私としては会長がここでゴロゴロしていた理由が気になるところだ。


「そう。ここ、誰も来ないから気楽なんだよね」


 太陽の光を反射してキラキラと光る会長の髪に目を細めながら会長の近くまで行く。眩しい。


「気楽ですか」

「うん。私は会長だし、この見た目だからね。学校内だと常に気を張ってなきゃいけないから。たまにはダラダラしたいよね」



 この人も大変だなぁ、なんて考えながら空を見上げる。快晴。


「良い天気だね」

「そうですね」




「そういえば今日は早くに帰らなくてよいのかい?」

「いきなりなんですか」

「今日は夕飯の当番じゃないのかい」

「私は今日当番ではないので」

「そっかぁ」


 なんでこの人、うちの夕飯が当番制なの知ってるんだろう。兄が話したんだろうか。兄は家のことをあまり外では話さなかった気がするが。……うん。気にしないでおこう。



 風が吹いて空を眺める会長の髪がふわりと靡いた。






 翌日、学校へ行くといつも私より早くに学校へついているはずの秋田くんが居なかった。HRが終わっても来なかった。



「先生、秋田くんは今日お休みですか?」


 私と同じように秋田くんのことが気になっていた美野里ちゃんと一緒に聞きにいけば、担任は「あー、秋田は……」と少し溜めてから口を開いた。




「昨日の夜、家の階段から落ちて以降目を覚まさないらしい」




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