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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
小学生編
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おまけ3 とある休日

おまけ。ふと思いついた話。



「あー……これは……」



 右を見ても左を見ても、見知った顔はない。



「また迷子か」



 とある暑い夏の日、私はまた迷子になっていた。


 ちなみにここは動物園だ。圭がライオンを見たいというので兄と一宮さんに連れてきてもらった。そして私は迷子。


「携帯はー……あ……ない」


 持ってきた気がしたんだが、ポケットにも鞄にも携帯はなかった。家においてきたかな。

 取り敢えず何処か目立つ場所に行こうと園内の地図を開く。何処がいいかな。









「……」

「…………」


「お姉ちゃんいないね」



 少し目を離した瞬間に波留が消えた。


 圭の頼みで動物園に来て、夏休みだからか人が多い中、俺は圭と、宏和は波留と手をつないで園内を回っていた。しかし、気がついたら波留がいなかった。人混みで手が一瞬離れてしまい、その瞬間、どこかへ行ったそうだ。波留は瞬間移動でもできるのだろうか。


 俺達三人は少し端に寄って辺りを見回す。いない。


「携帯に電話かけるか」

「あ、お姉ちゃんの携帯、僕が持ってるよ!」


 何故だ。


「お姉ちゃん家に置いていったから、渡そうと思って」


 そして渡しそびれたと。なるほど。波留にはそろそろ携帯を携帯する習慣をつけさせないと不味いな。


「歩き回って探すと入れ違いになったりするしなぁ」

「波留ちゃん小さいから人混みにいたら見つけ難いよね」


 波留はまだ子供だ。大人も多いこの園内で人混みの中にいたら見つけ難いことこの上ない。波留が身長180cmとかだったら見つけやすいんだが。



「どうするかなぁ」



 波留ならどこに行くかな、と地図を広げるとある文字が目についた。





『迷子の呼び出し』






「……」

「…………まさかそれ使うの?」


 一番楽な方法だと思う。









 さてさて、これからどうするかな。



 梟の銅像の下で地図を広げながら考える。歩き回ってもいいけど、すれ違ったら残念極まりないし。かと言ってここで待っててもこの広い園内、兄たちがここにくるかわからない。どうしようかね。



 私が思案していると、近くに設置されていたスピーカーが音を立て始めた。はて。



 その音、放送内容は迷子の案内。




 そして、その迷子は私だった。



 私は地図で場所を確認して、兄たちがいるらしい場所にダッシュで向かった。









 前世を含めた私の人生で初めての迷子の呼び出しは、穴があったら入りたいくらい恥ずかしかった。

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