表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
小学生編
73/232

おまけ1 間切と悪夢

入れ忘れた話。


流血表現あり。暗いです。




 血が、流れている。



 倒れ込んだ妹の腹部から止めどなく流れている。





 男に刺され、その後すぐに刃物を抜かれたせいもあってか、血が止まらない。




 人はある程度血を失うと死ぬ。




 胴体には重要な器官が詰まっている。重要な血管だってある。まずい。そこを傷つけられていたら。




 体がうまく動かない。



 救急車を呼ばなければならないのに、体が動かない。






 動けない俺の目の前で、妹の体からはどんどん血が流れでていた。





 このままじゃ妹は。






「っー!!」



 目を開けるとそこに妹はいなかった。


 夢か、と胸をなでおろす。嫌な汗をかいた。




 妹が、波留が男に刺されてから一週間が経った。妹は元気にしている。生きている。それはわかっているけれど。



 あの日の光景が忘れられない。




 妹が刺された。俺がいたのに。



 もし妹が反撃しなかったら。男のナイフがもう一度その身体に突き立てられていたら。ブザーの音に気がついた大人たちが男を取り押さえてくれなかったら。茜さんが救急車を呼んでくれていなかったら。



 実際には妹は反撃したし、男のナイフも一度受けただけだし、ブザーの音に気がついた大人たちが男を取り押さえてくれたし、茜さんは救急車を呼んでくれていた。



 ありえないことだとわかっていても何度も考え、恐怖してしまう。




 駄目だな。このままだとまた夢を見そうだ。一度水を飲んで、落ち着いてから寝よう。


 俺はそう考えてキッチンへと降りた。キッチンには水を飲んでいる波留がいた。


 生きている。


 凄く顔色が悪いけど。



「波留」

「兄さん……うわ、顔色悪いね」

「お前もな」

「ははは」



 妹の顔色が悪い理由はわかっている。2日前にもあった。



「……兄さん、一緒に寝てもいい?」

「あぁ」


 妹からの申し出に頷く。水を飲んだら少し落ち着いた。

 二人して階段を上がり、俺の部屋のベッドに潜る。



「落ち着く……」

「それはよかった」


 それから、少しだけ雑談をして、妹が寝たのを確かめてから、俺も妹を抱きしめて寝た。





 温かい。







 妹は男に刺される夢を見るそうだ。




 トラウマになっているんだろう。まだあれからあまり日が経っていない。2日前、一緒に寝たときに教えてくれた。俺と一緒に寝ると安心するそうだ。それが少しだけ嬉しかった。





 ……もう二度とあんなのはゴメンだ。












 夢を見る。


 男に刃物で刺される夢。


 この間のことがあったからだろう。



 しかし、この間の記憶を再現した夢じゃない。








 私の、死に際の、記憶を再現した夢だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ